
東大は1月28日、臨床カンナビノイド学社会連携講座(カンナビ講座)を巡る不祥事について、東京大学大講堂(安田講堂)で記者会見を開いた。東大からは藤井輝夫総長と相原博昭理事・副学長が出席。冒頭、藤井総長は「教育研究機関として、社会の信頼を著しく損ね」たとして謝罪し、事件の概要や処分、再発防止策を説明した。次いで調査を担当した國廣正弁護士が詳細な事実関係を報告した。約2時間半に及ぶ質疑応答の後、藤井総長は「不退転の決意」で改革に取り組むと述べた。
國廣弁護士は、カンナビ講座の佐藤伸一・元教授(東大大学院医学系研究科)と吉崎歩・元特任准教授(同研究科)は、連携先である日本化粧品協会の代表理事から高級クラブや風俗店などで接待を受けていたと認定。さらにカンナビ講座の研究費として連携先から東大に支払われる予定の約2億円のうち、実際に支払われたのは100万円だったと指摘し、東大は当初未払いの事実を把握できておらず、組織としての管理体制に大きな問題があったと述べた。
佐藤元教授は24日に収賄の容疑で逮捕され、吉崎元特任准教授も26日に同容疑で送検された。東大は佐藤元教授の行為を「弁明の余地のない不適切な行為」と判断し、最も厳しい懲戒解雇処分とした。吉崎元特任准教授は、25年3月末の同講座の廃止とともに雇用関係が終了していたため、処分の対象にはならないとした。
責任の明確化のため、執行部の処分も発表された。藤井総長は役員報酬の50%を1カ月、相原理事・副学長(経営企画、予算配分、教員人事、施設、病院担当)、齊藤延人理事・副学長(研究、懲戒担当)、角田喜彦理事(事務組織、人事労務、法務担当)の3理事は役員報酬の30%を1カ月、それぞれ自主返納した。医学系研究科の南學正臣研究科長は訓告とした。附属病院の田中栄院長は一連の不祥事の責任を取るとして1月27日付で病院長を辞任した。

春までにガバナンス体制の再構築へ
藤井総長はコンプライアンス違反を早期に確認し、対応できていたかを問い直す必要があると述べ、「抜本的な改革」に取り組む方針を示した。全学的なリスク管理の体制が不十分で対応が遅れたという認識から、現場(各部局)・管理部門(本部)・独立した監査部門からなる「三線防御」の体制を確立する。また、部局と本部を結びつける組織としてリスクコンプライアンス統括部を新設し、最高リスク責任者(CRO)のもと、学内のリスクとなり得る事案を集約する体制を4月を目処に開始する。研究教育の管理・監視体制は学部・研究科が中心に行われるが、本部も一体となって連携することで、全学的なガバナンス強化を図る。東大医学部附属病院については本部の直轄とする可能性も示した。東京大学新聞社の質問に対しては、改革に当たって学内構成員などに説明する機会を設けることも考えていきたいと述べた。
本件を受け、東大は昨年、社会連携講座や寄付講座などについて教職員約13,000人を対象に緊急アンケートを実施した。その結果、新たに倫理規定に抵触する接待などの事案が22件確認された。うち3件については現在懲戒処分の手続きが進行中だという。残る19件はいずれも1万円以内の常習性の無い事案であり、すでに注意が行われた。
現在東大は国際卓越研究大学(卓越大)について最大1年の継続審査中だ。卓越大の強化計画には「自律と責任のあるガバナンス体制」が求められるが、藤井総長は、卓越大の審査にかかわらず大学の教育・研究の基盤となるガバナンスの改革を進めたいと述べた。相原理事は、卓越大審査のアドバイザリーボードには、3月末までにガバナンス改革案を示し、さらに1年もかけずに実効性を示したいと話した。
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