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2022年4月16日

東大入学式、2年連続で規模縮小開催 河瀨氏祝辞が波紋

 

 2022年度学部入学式が4月12日午前、日本武道館(千代田区)で挙行され、約2800人の新入生が参加した。新型コロナウイルス感染症流行に伴い、参加者は2年連続で新入生に限定。会場の模様はオンラインで中継された。午後には大学院入学式も挙行され、約2300人の新入生が参加した。学部入学式では映画作家の河瀨直美氏が来賓として登壇。祝辞の内容が一部メディアに取り上げられ、インターネット上で波紋が広がった。

 

 式辞を述べた藤井輝夫総長は東大の起業支援の取り組みや、先進技術を実用化して社会課題の解決に結び付けるディープテック型のベンチャー企業に言及。「本学での起業をめぐるポジティブな語りと対話の輪のなかに、一歩足を踏み出してみて下さい」とした。同時に起業をめぐるナラティブ(人々の認識の基盤となる「物語」のこと)の中でケアの分野に光が当てられていないとし「起業や実業は、単なる自己利益の追求にとどまるものではなく、経済活動を通じて他者へのケアを実践し、公共性や社会における連帯を担うものとならなければなりません」と述べた。

 

式辞を述べた藤井輝夫総長

 

 来賓の河瀨氏は祝辞で、自身が映像制作に出会った頃の経験を述べ「当たり前に思っていることの奥に『ものの真理』が隠されていることを信じて、突き進んでください」とメッセージを送った。また先日金峯山寺(きんぷせんじ)の管長と対話したことに触れ、河瀨氏が感じた管長の「言わんとすること」として「例えば『ロシア』という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか? 誤解を恐れずに言うと『悪』を存在させることで、私は安心していないだろうか?」と発言。この発言は一部メディアに取り上げられ、東大の教員らも批判的なSNS投稿を行うなど、インターネット上を中心に波紋が広がった。

 

祝辞を述べた河瀨直美氏

 

 この他、森山工教養学部長が式辞、東大校友会会長の宗岡正二氏が祝辞を述べた。入学生総代は文Ⅱの呉徳朗(おお・なるあき)さんが務めた。

 

 本年度の学部新入生は文Ⅰ424人、文Ⅱ376人、文Ⅲ500人、理Ⅰ1161人、理Ⅱ564人、理Ⅲ102人で計3127人。このうち女性は651人で20.8%。留学生は36人だった。

 

 東大は例年、創立記念日に当たる4月12日に日本武道館で学部、大学院の入学式を実施している。20年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて実施が取りやめられたが、昨年度は対面開催されていた。本年度は19年度以来となる家族らも来場できる形での開催が目指されていたが、3月10日に見送りが発表された。入学式当日は耐震性の観点から閉門されている赤門が開門され、写真撮影をする新入生らの姿が見られた。

 

 式辞、祝辞の全文はいずれも東大の公式サイトで閲覧できます。

 

4月26日午前1時55分 記事追記

東大、人選の経緯などは回答せず

 

 東京大学新聞社は河瀨氏の人選や祝辞に対する大学の受け止めについて東大に取材を申し込んだが、26日までに取材を断られた。河瀨氏に祝辞を依頼した経緯や学内外からの反響に対する受け止め、祝辞に対する評価などの質問事項を示して依頼したが「祝辞依頼者選定の経緯については公表しておらず、ご質問にはお答えできません」などとし、直接の取材、書面での回答ともに回答を得られなかった。

 

【記事修正】2022年4月17日午後9時25分 表現を一箇所修正しました。

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