インタビュー

2014年9月16日

「かっこいい」ではなく「何が価値を生んでいるか」を考えて ハプティック小倉弘之さん

東大経済学部を卒業後、竹中工務店、ボストン・コンサルティング・グループを経て、「人の暮らしを少しでもよくすること」を目標に、ハプティック株式会社を起業した小倉弘之さん。建築への思い、学生時代と今の就活の違いについて、話しを聞きました。

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−−−これまでのご経歴を教えて下さい。

2004年に、経済学部を卒業ました。その後は、3年半竹中工務店、3年ボストン・コンサルティング・グループにいました。その後、自分の仕事をはじめて、4年くらい経つという形です。

就活の時は、周りを見てもベンチャーを目指す学生はほとんどいませんでした。東大を中退してエルテスを立ち上げた菅原さんも、実は同じクラスでしたが、彼なんかは例外ですね。新卒でベンチャーに入るという選択肢はほとんどなく、そうした雰囲気もありませんでした。

今であれば、DeNAに入る東大生が多いと聞きます。流れとしては良い方向だと思いますが、それでもDeNAは、もうかなり大きな会社ですよね。また、ITと言ってGoogleに就職するという選択肢も、商社に就職することと、あまり変わりはないと思います。東大生は、ある程度の成功が約束されている分、リスクを追いにくいですよね。そこは非常にもったいないと思います。もっと小さな、アーリーベンチャーに行く学生が増えるのは、これからなのではないでしょうか。

−−−新卒で竹中工務店に入社されていますが、その頃から建築への思いがあったのでしょうか?

自分は経済学部でしたが、建築が好きだったのですよね。ベンチャーをやるということは、ある程度の「思い」が乗らないと続けられないと思います。今いる、乗りかかった道から、ダウンサイドに行く可能性がある道を選ぶには、「好き」が必要ではないでしょうか。

仮に竹中工務店に入らなければ、今の事業は始めていないと思います。そういう点で、大企業に入ることが必ずしも悪いとは思いません。それでも、今は大企業以外の道も増えているので、もし、私が今就職するのであれば、アーリーのベンチャーも選択肢にあったと思います。多様な選択肢の中から選択するようにしていってほしいですね。

−−−ボストンコンサルティンググループを辞めて起業する際に、不安や躊躇いといったものはなかったのでしょうか?

あまりなかったですね。リスクサイドばかり考えてしまうと、起業自体をためらってしまうので、あまり考えないようにしていたかもしれません。とは言え、最悪の事態は、ある程度想定していました。

−−−TODAI Foundersを見て、東大生にどういう印象を持ちましたか?

あれだけの数の学生が起業に興味を持っていたのは嬉しかったです。

まだ一方、学生のみなさんの間には、変なコンサル・投資銀行志望がありますよね。そうしたところに「かっこいい」という印象が持たれているようですが、それは違うのではないかという気がしますね。出雲さんのように、ミドリムシで燃料まで作ろうとしていることを見ても、何が価値を生んでいるかは、しっかり自身で考えて欲しいと思います。

その仕事が、自分がいなくてもできるかどうかを考えるといいと思います。コンサルや投資銀行の仕事と違い、ベンチャーの仕事は自分がやらなければならない仕事がほとんどです。自分の想いと、何を社会に価値として提供するかを考えていってほしいですね。

−−−これからの目標を教えて下さい。

やはり、今の事業・サービスを、より多くの人に届けていきたいです。

世の中へのインパクトって、価値の大きさと量という2つがあると思いますが、両方をバランスよく出していきたいです。例えば、自分たちのビジネスでも、「1年間で、すごいいい部屋をひとつだけ作っています」というのと、「年間何万戸、何十万戸も変えていく」のでは、インパクトが違いますよね。

やりたいことは、「人の暮らしを、少しでもよくすること」です。あくまで、リノベーションはその手段のひとつという位置づけです。

−−−最後に、東大生へのメッセージがあれば、お願いします。

自分が就職活動をした時、今流行のインターンシップもしていなければ、ベンチャー企業なんて考えてもいませんでした。

ベンチャーを取り巻く環境は、どんどん良くなっていると思います。やりたいことを考えて、興味の方向を誤らないような道を選んでいってほしいです。

(文・取材 オンライン編集部 荒川拓)

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