ニュース

2021年11月20日

謎多き研究室インターンの実情を探る

 

 長期休みに研究に携わるインターン生を募集している研究室があることをご存知だろうか。研究に携わって報酬を受け取ることに魅力を感じながらも、情報や身の回りの経験者が少ないために申し込むことをためらった学生は多いだろう。そこで、研究室でのインターンの実情を探るべく、本年度、夏休みに前期教養課程の学生を対象にインターン生を募集した仲田泰祐准教授(東大大学院経済学研究科)と、仲田研究室でインターンを経験した学生Aさんに話を聞いた。(取材・佐竹真由子)

 

インターンの仕事で社会に衝撃を 

 

 仲田研究室は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立を目的とした数理モデル分析に取り組んでいる。インターン生の仕事は、論文から集めたアンケート結果などを扱うデータ分析、プログラミング、数理モデルの作成と分析。研究成果は報道されたり政府会議に提出されたりしており、間接的には世論や政策に影響を与える重大な仕事だ。実際の研究に携わりながら経済政策について学べる貴重な機会で、プログラミングの技術を向上させることもできる。勤務期間は夏休みの8週間で、労働時間は週に37.5時間。

 

 インターン生は、無給のボランティア生と同時に東大の学務システム「UTAS」を通して6月に募集された。時給は1020円。希望者は募集要項の指示に従って2通のメールで志望動機や関心のある学問分野、プログラミング経験などを送信する。後日個別面接をし、今年度仲田研究室は5名を採用した。

 

 仕事はコミュニケーションツール「Slack」またはオンラインでの個別ミーティングを通して、それぞれのインターン生の技能や仕事の難易度に合わせて、締め切り付きで割り振られる。研究室は長期的に研究に携わるアシスタント、短期で採用されるインターンを合わせた約10名から20名からなるが、仕事は各自が自宅で行うため、研究室で顔を合わせる機会はないという。しかし、希望すればSlackを通して他のインターン生やアシスタントに質問したり互いに交流したりすることが可能だった。

 

 インターン生を募集する目的について、仲田准教授は「研究にはアシスタントが必要だからというのが理由ですが、前期課程の学生に研究に関心を持ってもらうこと、インターンでの経験を通して技術を持つ人材を育てることも目指しています」と語る。

 

 Aさんは「探しているデータを見つけるまでは大変でしたが、データさえ見つかれば分析は難しくないことが多かったです。一方で、プログラミングについては、普段使っているものとは異なるプログラミング言語を用いることが求められたため非常に苦戦しました」と語る。インターン開始から1週間ほどは、難易度が高いプログラミングの仕事を与えられた上に、研究室のオンライン会議を見学することを求められるなど忙しく、起きてから寝るまでずっと仕事をしなければいけないほどだったという。

 

 インターンに応募する学生にとって、他のアルバイトや日頃の勉強との両立は大きな課題だ。仲田准教授は「インターンとして採用された学生には、期間中はインターンに専念してほしい。実際は規定の時間働くだけでは足りないほど仕事が多いため、一つの仕事が終わるとすぐに連絡して新しい仕事を求めてほしい」と話す。Aさんも、日頃のアルバイトの回数を調整してインターンに集中したという。

 

 前の仕事が終わった人を研究室のアシスタントが募集し、呼び掛けに応じると仕事を割り振られる。Aさんは、いつ連絡が来るかわからない中、仕事を引き受けようと意気込んだため、他の予定を立てづらかったという。しかし、会議などを通して研究室の雰囲気を知ることができ、実際の研究の様子からも刺激を受けたため「インターンを経験してよかったです」と語った。

 

 

経験や技術より意欲と関心を

 

 Aさんは、インターンに応募した時点ではプログラミングを勉強し始めて3カ月ほどしかたっておらず、求められている水準でのプログラミングができるかどうか不安だったという。仲田研究室の夏のインターン募集要項によると、インターンへの応募資格は「経済の研究とプログラミングに強く関心があること、プログラミングの経験があること」だが、実際、どれほどのプログラミング経験が求められているのだろうか。

 

 仲田准教授は、技術はもちろん高い方が良いが、より重要なのは学習意欲や研究内容への関心の高さだと語る。「データ分析やモデル分析を通して社会に衝撃を与えることに関心がある人はぜひ積極的に応募してください。最低限の経験があり、自学自習によって能力を伸ばすことができると見込んだ学生を採用しています。週に40時間近くプログラミングをする生活を2カ月続ければ実力が伸びるはずです」

 

 Aさんは、実際に難しい仕事に苦戦した経験から、仕事を自分一人で抱え込む状況を避けることが最も重要だと語る。「インターンに応募する前に、相談やプログラミングの質問に答えてくれる相手を見つけておけば安心です」

実際にインターン生が作成した図表(仲田研究室提供)

 

仲田泰祐(なかた・たいすけ)准教授(東京大学大学院経済学研究科)

12年米ニューヨーク大学大学院博士課程修了。Ph.D.(経済学)。米連邦準備制度委員会調査部主任エコノミストなどを経て、20年より現職。

 

【記事修正】2021年11月21日午後15時3分 記事の表現を一部修正しました。

 

 

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit
hidari_handle




TOPに戻る