就活

2022年9月16日

【官庁訪問2022】東大出身者が語る 国家公務員の仕事 ②国土交通省事務系・技術系・外務省

 

 毎年多くの東大生が受験する国家公務員採用総合職試験。国家公務員を志す学生にはもちろん、まだ進路に悩んでいる人にとっても国家公務員自らが語る職務の実情やその素直な感想は参考になるだろう。東大出身者に、現在の省庁を選んだ経緯や担当する業務内容、就活生へのメッセージを聞いた。

(構成・葉いずみ、取材・山﨑聖乃、葉いずみ、川端萌)

 

国土交通省(事務系)

 

インフラの海外展開で社会を明るく

 

 「一度きりの人生、どうせなら明るく生きたい」タイプで「暗いニュースばかりの社会を変えたい」という思いが根本にあると話す。社会貢献を考える民間企業は多いが「みんなを明るくすることを正面から捉えるのが国家公務員」だと感じ、学部3年次に国家公務員志望を固めた。

 

 将来を明るくするには経済発展が欠かせない一方、人口減少に歯止めが利かない状況下では海外進出が重要だと考えた。経済発展、海外進出という観点から外務省、国交省、経産省の3省を検討。各省のイベント参加後、官庁訪問では外務省と国交省に絞って訪問し、より自然体でいられるという理由から最終的には国交省を選んだ。  

 

 現在は国土政策局で途上国の国土計画の策定支援に関わっている。途上国に国土計画に関する日本の知見を提供すると同時に日本企業の質の高いインフラを各国に導入するよう推進し、インフラの海外展開を図っている。

 

 最近は、都市問題や持続可能な都市開発のための先進的な取組事例を各国と共有し、未来の都市のあり方について議論を行う国際会議「世界都市フォーラム」関連の業務が多い(4月取材当時)。議題内容の検討からフォーラム当日のコロナ対策に関連する細かい手続きまで、準備が忙しいと話す。

 

 このような国際会議の企画立案でも、自分からさまざまなアイデアを出せる環境が魅力の一つ。企画立案の経験は少ないながら、周囲に相談しつつ試行錯誤で進めているという。

 

 省庁では若いうちから重役と話したりプレゼンする機会が多く、度胸が必要という話も。大学時代にダンスサークルで人前に立つ経験を多くしたことで、あまり緊張しないそうだ。

 

 「正直入省前は頭が固い人が多いイメージでしたが、実際はフランクな人ばかりで安心しました」と良い意味で職場のイメージは裏切られたという。今後も日本経済回復のためにインフラの海外展開を進めたいと展望を語る。

 

 国交省の特徴は、一つの組織内でも道路を造る、ダムを造る、鉄道を動かす、空港を造って航空行政をする、自動車の管轄……と業務内容が非常に幅広いこと。港湾局、住宅局、観光庁を経て現在の所属に至る自身の経験も踏まえ、国交省は興味の幅が広い人に向いているという。「毎回、転職のようなレベルで業務内容が変わります」。一つのことに縛られない環境がとても楽しいのではないかと語る。

 

 国家公務員を志望する学生に対しては、早いうちから説明会やイベントに参加しミスマッチを防ぐべきだとアドバイスを送る。自分と相手を共によく知ることが大切だという。特に、自分の頭で考える機会になるグループディスカッションなどのイベントへの参加を勧める。「話を聞くだけだときれい事のみで分からない部分もあると思うので。自分の頭を使って考えたときに夢中になれるかが大切なのではないでしょうか」

 

南澤佑典(みなみざわ・ゆうすけ)さん 国土交通省国土政策局総務課 総合職試験=法律 15年法学部卒

 

国土交通省(技術系)

 

現場を持つからこそできる仕事を

 

 激甚化する災害やインフラ老朽化などの社会課題に取り組むため、インフラ関連の仕事を志望。ゼネコンなどの民間企業では案件単位の仕事になるのに対し、国では設計から施工まで一貫して手掛けられる。総合的に国土の全体像を描ける点に魅力を感じ、国家公務員を目指した。

 

 インフラ関連業務は財務省や経産省でも可能だ。その中でも国交省を選んだ理由は、国交省のみが一級河川や国道など、政策を実行できる現場を持っているからだという。政策立案などの上からの仕事だけでなく、より実践的で地域に根差した現場での仕事もできる点に引かれたという。

 1年目は出雲河川事務所、2年目は広島国道事務所に配属。堤防整備や河道管理、国道2号のバイパスの設計やトンネル工事発注など、現場での仕事を幅広く行った。「現地の人と話す機会が多く、自分の仕事の地域への影響の大きさを実感しました」

 

 その後霞が関の本省に移り、基準作りや政策立案に関わった。3年目は、国がインフラの工事や設計を民間企業に発注する際に結ぶ契約の基準作りをした。「最近では、賃上げを約束した企業が契約しやすくなるよう、新たに基準を変更しました」。4年目は「高速道路の暫定2車線区間の4車線化」などの政策立案を行った。高速道路の車線数を増やすことで通常時の渋滞や事故を防ぐだけでなく、土砂崩れなどの災害時に交通の流動性が確保しやすく、災害対応力が強化される効果もあるという。5年目の現在は技術系の人事を担当している。

 

 人々の安心安全の維持に、現場を持ちつつ関われる点が国交省の魅力。一方公共事業を扱う以上、地域住民全員が事業に賛成することはなく、対立構造は避けられない。「さまざまな意見を踏まえた上で国と地元の落とし所を探り、良いものを作るのは大変です。しかし同時に、自分たちにしかできないことだとやりがいも感じます」

 

 国家公務員は残業が多いイメージがあるが、早く帰宅するよう上司が積極的に促すなど、徐々に改善を実感するという。「一年中全員が忙しいわけではなく、繁忙期と閑散期があることも知ってほしいです」

 

 大学で得た土質力学や水理学の知識は現場での業務の際、学んでおいて良かったと感じるが、知識が業務で必須なわけではないという。「土木専攻者だけが働いているわけではないので。分からないことを考え調べる能力などの方が一層重要です」

 

 今後も道路関連業務を続け、インフラ老朽化が進む中でその維持管理費用をどう捻出するかという課題に取り組みたいと話す。3Dモデルを用いた設計施工や画像認識による路面の点検など、建設行政におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応も進めたいという。  

 

 国交省や官僚に少しでも興味があれば、人事院や各省庁のウェブサイトから積極的に情報を得て、仕事を知ってほしいと話す。

 

 「職業のイメージだけで判断するのは機会損失になりもったいないです。どんな仕事ができるのか、自分がやりたいことが本当にその就職先でできるのかを積極的に調べて、後悔のないようにしてください」

 

中園翔(なかぞの・しょう)さん 国土交通省大臣官房技術調査課 総合職試験=工学 18年工学系研究科修了

 

外務省

 

国を背負い、歴史を作る

 

 父親の影響で、幼少期から日本や世界の歴史に触れる機会が多かった八百さん。中学生の頃に司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読み、国を背負い歴史を作る外交官の仕事に憧れを抱いた。東大入学後は教養学部の国際関係論コースに進学し、東アジアの戦後残された課題について考えるように。この地域に安定的な秩序を築きたいという思いから外務省を目指した。

 

 学部2年次の夏に外務省のインターンシップに参加。「人当たりが良く、話が面白い人が多かったです。この人たちと一緒に働きたいと思いました」。また「日本の公式見解が作られる過程を間近で見ることができ、わくわくしました」と、外務省での勤務に対する熱意が高まった。

 

 公務員試験の準備を始めたのはサークル活動が落ち着いた3年次の夏と、遅めのスタートだった。苦手科目の数的処理を重点的に勉強するなど要点を絞った勉強を行い、3年次の秋に行われた総合職試験(教養区分)に合格した。

 

 入省後八百さんは外務省の中国・モンゴル第2課で勤務することに。政治的案件を取り扱う第1課に対し、第2課では経済的な案件を取り扱う。入省当初は、電話対応や外部からの依頼を起案し上司に報告する「決裁」窓口中心の業務内容だったが、徐々に担当案件を任されるように。「自分が関わった案件がテレビで報道された際は感動しました」

 

 個人が自由な雰囲気の中仕事を行う外務省は、東大の国際関係論コースの雰囲気に非常に似ているという。個性的な人が多く、服装も比較的自由だ。「自分が考えていた公務員のイメージとは違いました」と話す。

 

 好奇心旺盛な人にとって、外務省は最適の場所であるという。外交は政治、経済、文化といったさまざまな要素が絡み合い、展開される。多様な分野の知識を積極的に吸収し、継続して勉強する能力が入省後も活躍する。               

 

 大学時代はロシア語を第二外国語として選択していたため、入省時に行われる言語選択では第一志望にロシア語を選択。東アジアへの関心から第二志望に中国語を記入した。結果は中国語となり、一から中国語の勉強をすることに。「最初は大変でしたが、週に2回、3時間ずつ行われる研修でしっかりとサポートを受けられます。少人数で中国語を学べる点と、周りに遅れているという焦りから、言語の勉強は順調に進みました」

 

 2年間の本省勤務が終了した現在は、3カ月の語学研修に参加中だ。今後は2年間中国で中国語を学び、1年間米国で英語を学ぶ。その後2年間は中国の在外公館で勤務をし、再び霞が関の本省に戻る予定だ。「今後は研修を通じて中国という国の仕組みや現地の考え方を理解し、本省に戻った際の政策立案に反映したいです」と話す八百さん。国家公務員を目指す学生に対し「国家公務員は、刻々と変化する世界で日本の取るべき方針を見極めるスケールの大きい仕事をする、やりがいのある職業です。少しでも興味があれば、ぜひ公務員試験に挑戦してみてください」とエールを送る。

 

八百美織(やお・みおり)さん 外務省中国・モンゴル第2課 総合職試験=教養 20年教養学部卒

 

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