キャンパスライフ

2021年6月21日

各学部4年生に聞く 学生生活紹介(農学部・薬学部・医学部編)

 東大の特徴である進学選択制度。後期課程の情報が足りないと感じ、迷っている2年生もいるだろう。本企画では、各学部の4年生に進学した理由、学部での授業、学生生活について話を聞いた。3S1タームの時間割も参考にし各学部の全貌をつかんでほしい。今回は、農学部・薬学部・医学部について紹介する。

(取材・石橋咲、黒田光太郎、清水琉生)

 

理Ⅱ→農学部環境資源科学課程 農業・資源経済学専修

 

川瀬 翔子(かわせ・しょうこ)さん

 

 農業経済学を学びたいと決意したきっかけは、高2の米国留学。食堂のごみ箱に大量の残飯が捨てられている光景を見て衝撃を受けた。食品ロスが問題となっている一方で世界には飢餓に苦しんでいる人がいることに違和感を覚え、食料分配について考えたいと推薦入試で入学した。

 

 前期教養課程では、必修の授業はもちろん「教養の幅を広げたい」と「トライリンガル・プログラム」の中国語の授業や法学部のゼミなど、進路に必ずしも直結しない授業にも取り組んだ。

 

 農学部の農業・資源経済学専修に進学後は、水産や林業、畜産といった多岐にわたる農学の授業を受講。「ひとくくりに農学といってもいろいろな分野があることを学べました」。農業・資源経済学専修は文科出身の学生が全体の約3分の1を占めており、理系教科の負担が少なく比較的自由に授業を組めるのが特長だ。経済学の初歩的な授業も受講できるため、前期教養課程で履修していなくても問題はないという。印象的だったのは、3年次の「地域経済フィールドワーク実習」。1年間、日本の農村地域で調査を行い、論文を書く授業だ。昨年度は新型コロナウイルス流行の影響で現地への訪問はかなわなかったが、オンラインで山形県白鷹町の地域コミュニティーについて調査した。「町の公民館がコミュニティーセンターに変わったことで、地域活性化にどのような影響があったか調べました」

 

 農学部では、人類の生の根幹にある「食」とそれを支える農林水産業について多様な切り口から考える。その特性を生かした「One Earth Guardians 育成プログラム」にも参加しており、100年後の地球と人類の共生についてさまざまな分野の学生や研究者、実業家と対話を重ねている。

 

 農業・資源経済学専修を卒業後は8割程度がコンサルや保険会社など多様な業種に就職するが、川瀬さんは東大か海外の大学院の修士課程で農業経済学を専攻する予定だ。博士課程への進学も検討しており、その後は農林水産省に就職し、将来的には国際連合で農業や食に関わりたいという。「衣食住が保証されていなければ、その上の幸せはない。全ての人が栄養バランスの良い食事を取れる世界を作りたいです」

 

 

理Ⅱ→薬学部薬科学科

木野 有希斗(きの・ゆきと)さん

 

 幼い頃から人間の体の「不思議」に興味を持っていたという木野さん。高校の理科では物理・化学を選択したものの、生物に興味があり、大学では生物について学びたいと思っていた。薬学に関する最新研究について専門の教員らが語る前期教養課程の授業が面白かったのが、最後の決め手だったという。

 

 薬学部は薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)の二つの学科から成る。薬学科は薬剤師の養成を目的とする一方、薬科学科は薬学研究を主目的とするという違いがある。しかし学科を決めるのは3年次の秋頃で、実際にカリキュラムが分かれるのは4年次の夏頃のため、専門的な勉強をする中で自分の適正に合わせて進路を考えることができる。

 

 カリキュラムには物理など、一見すると薬学とは関係ないような科目も含まれる。「さまざまな科目を学ぶことができるので、自分が面白いと思える分野を見つけることができると思います」と木野さん。一方、多くの科目が2Aセメスターに集中しており「一つ一つの授業にしっかりと取り組むことができませんでした」と不満もこぼれた。

 

 学生間の縦横のつながりは緊密だ。実習時に4年生や修士・博士課程の学生が手伝いに来てくれて、その際に実習の内容以外に進路などについても話を聞くことができる。また、多くの学生が同じ教室で朝から夕方まで大抵同じ必修の授業を受けることになるので、自然と仲良くなることが可能だという。さらに、例年は陸上運動会や水上運動会、スキー合宿など授業外でも同学年の学生と交流するイベントが多い。コロナ禍の昨年度は例年通りに行うことはできなかったが、感染防止対策を行った上で屋外で行うスポーツ大会は実施できたという。

 

 多くの学生は学部卒業後、大学院に進学する。さらに修士課程を修了した学生の半数程度が博士課程に進学するという。卒業生の就職先としては、製薬会社や食品会社、官公庁などが多い。

 

 木野さんは炎症を抑える免疫細胞について薬剤研究を進めたいという。薬剤研究を通して長期的な課題に解決策を提案していきたいと語る。薬学という壮大な世界に足を踏み入れてはいかがだろうか。

 

 

理Ⅲ→医学部医学科

 

赤井 佑生(あかい・ゆうせい)さん

 

 小学生の頃からの憧れであった臨床医を目指して理Ⅲから医学部医学科へ進学した。進級後すぐ、新型コロナウイルス流行の影響により、多くの実習科目が先延ばしに。一部の実習科目はオンラインとなった他、変則的に座学がSセメスターに集中し、苦労したという。他大学の医学部とは違い、後期課程の4年間に学びが凝縮されているため「最初から負担は重い」と漏らす。遅れて始まった解剖学実習で、検体の扱い方を学び解剖手順を習得していく中で、医者になるという実感を覚え始めたという。

 

 2〜4年次の1〜3月には、学生の自発的な学びを推進する「フリークオーター」という制度があり、一般病院での臨床現場の体験など、医療と接する機会を得られたり、研究室で実験をして研究の現場を体験したりと各自の興味に沿った経験を積める。赤井さんはオンラインで手術の様子を見学したという。通常のカリキュラムでは研究室配属はないものの、研究室へ通い、早くから最先端の基礎研究を体験できる「MD研究者育成プログラム」もある。学生の意欲があればサポートしてくれる体制があると話す。

 

 医学科生同士のつながりは「主に前期教養課程で同じクラスだった友人や実習でのグループ、同じ部活に所属するメンバーがベースになっている」と赤井さん。4年生の終わりには、臨床実習の参加に合格が必須となる共用試験がある。学科での授業や試験の内容と共用試験の内容が異なる部分もあるため、学科の試験勉強と両立させつつ計画的に学習を進めている。

 

 卒業後の進路は臨床医を志望する学生が最も多く、まずは研修医として全国の病院で経験を積む。次に研究医を目指す学生が多い。医学以外の知識を活かして、医療現場を支えるシステムを作り起業した卒業生もいるという。自身は、臨床に携わり、時間をかけて経験を積みながら多くのことを学び、長いスパンで目指す医師像を設計し体現していくつもりだ。4年次の1年間で取り組む、共用試験に向けた学習の中で各分野の知見が一通り得られるため、その後具体的に決められたら良いと考えている。「決め打たず、まずはやってみて、学びつつ見極めていきたいです」

 

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