イベント

2016年6月22日

「情熱カンファレンス 総合診療医に挑む」 五月祭 医学部企画イベントレポート

 今年で89回目となる*五月祭が5月14日(土)15日(日)の二日間本郷キャンパスにて開催された。様々な企画がとり行われ、模擬店やステージパフォーマンスで盛り上がる中、年代問わず人気を集めた企画がある。東京大学医学部五月祭企画だ。東大医学部では毎年4年生が中心となり、五月祭にて様々な企画を行っている。2016年度の医学部企画全体のテーマは「情熱医学」。最先端の医療展示や手術などの体験企画、健康について考える講演会、医師と考える症例検討会など様々な企画が行われ、来場者数は2日間でのべ1万人を超えた。

 

*五月祭:毎年5月に本郷・弥生キャンパスで開催され、今回で89回を数える伝統ある学園祭。

 

 5月14日(土)の午後、「情熱カンファレンス」が医学部本館3階大講堂にて開催された。情熱カンファレンスは別名「ドクターG企画」。NHKの病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」を模した企画で、総合診療医として実際に活躍する医師が示す難解な症例に医学部生や研修医が挑み、病名を突き止めた。

*カンファレンス:医療用語で症例検討会を指す。

(文・久野美菜子 撮影・石井達也、久野美菜子)

 

カンファレンス

参加者と意見交換する徳田安春先生

 

そもそも総合診療医とは?

 

 「総合診療医」という医師がいることをご存知だろうか?総合診療医とは、診断のプロとして横断的な広い知識を持ち、また感染症や救急医療など臓器を特定するのが困難な領域への対応を得意とする医師のことである。例えば、「胸がいたい」という症状1つ取ってみても、考えられる疾患は多岐にわたる。心筋梗塞などの心疾患の可能性もあれば、気胸や肋骨骨折の可能性もある。このように、原因がわからない症状や、診断のついていない疾病を持つ患者を診察し、臓器別専門診療科の垣根を超えて幅広く病気を診ることが総合診療医の仕事だ。

 

総合診療医に挑む

 

 今回の企画は3部に分けられ、第一部は徳田安春先生((独)地域医療機能推進機構 総合診療顧問)、第二部は西村真紀先生先生(高知大学医学部 家庭医療学講座 特任准教授)、第三部は生坂政臣先生(千葉大学医学部附属病院 総合診療科 教授)が登壇した。3人とも現場で活躍する総合診療医だ。研修医、医学部生、一般の参加者は患者役を演じる講師から聞き出した病歴や身体所見の情報や、実際の症例をもとにスクリーンに写し出された画像から、考えられる疾患を推定し診断に至るまでのプロセスを学んだ。

 参加者からは、「病気についての理解が深まった」「医療機関に受診する際に医師に伝えるべきことが整理できた」「総合診療医がもっと広まってくれると良い」などといった感想が多く寄せられた。謎解き感覚で病名を探り当てる今回の企画。医療を身近なこととして考えるきっかけにしてほしいという企画者の願い通りの企画となったようだ。

 

【五月祭 医学部企画イベントレポート】

「情熱医学企画展 “医学を身近に”医学部生の情熱と奮闘」 五月祭 医学部企画イベントレポート

「人はどこまで生きれば幸せか」為末氏の語る医療と幸福とは? 五月祭 医学部企画イベントレポート

「ヘルスケアを日常に」山本雄士氏の語る理想的な医療のあり方とは? 五月祭 医学部企画イベントレポート

理想の医療とは?為末大氏×山本雄士氏×膳場貴子氏による対談 五月祭 医学部企画

「情熱カンファレンス 総合診療医に挑む」 五月祭 医学部企画イベントレポート

koushi-thumb-300xauto-242

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る