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2019年12月27日

【東大スポーツ2019総括】ラクロス男子 苦しみながらも関東準優勝 高い目標掲げて大きく成長

 今季の東大は苦しい時期が長く続いた。3〜4月に行われた六大学戦では5位に沈み、五月祭試合では、昨季のリーグ戦で快勝した一橋大学に敗北。しかし、予選リーグを苦しみながらも勝ち進むと、最終的には関東準優勝を果たした。苦戦から一転、好成績を収めた舞台裏には、今までになく高い目標への挑戦があった。

 

 

 従来の東大は、戦術を絞ってそれに合った技術を磨く方針を採っていた。大学4年間で身に付く技術に限界がある中での、現実的な路線。これにより特定の戦術の完成度を高められるが、戦術の幅が狭まって対策されやすいという欠点をはらむ上、到達できるレベルにも限界があった。ここから脱却するべく、今季の東大が目指したのは「選択肢」と武器を持つチーム。個々人が強みを生かすことで攻撃の選択肢の幅を広げるという、ラクロスの「理想形」と言える。

 

 しかし目標が高いだけに、実現は容易ではなかった。選択肢の幅を生かした攻撃のためには、高い判断力が必要となる。冬の間に準備を積むも、六大学戦やその後の練習試合では判断ミスが多発した。強みを持てない選手も多く、理想には遠い状態。それでもチームは最終像を見据えた練習を続け、例年以上に実戦を想定した戦術の試行錯誤を繰り返した、と黒木颯主将(工・4年)は振り返る。

 

 

 長い修行の成果がようやく出始めたのが、リーグ戦第3戦の立教大学戦。第4クオーターに4得点を奪い「表(ゴール裏の対義)からなら攻められるという自信ができた」。ランニングシュートも多く決まり、武器にできるという手応えを得た選手も。成長への足掛かりをつかんだ試合となった。

 

 一方の守備は、リーグ戦前はある程度機能していた。しかしこれは「個々の能力が高いために、うまく行っているように見えていただけだった」。リーグ戦初戦の中央大学戦で9失点して初めて、守備の方針が共有されていないという課題が明らかに。方針の言語化に注力し、立て直しを図った。

 

 そして迎えた準決勝の慶應義塾大学戦では、攻撃・守備ともに準備の成果が表れた。攻撃陣は、普段とは異なる陣形を採用。実戦を見据えた試行錯誤を繰り返してきたからこそ、自信を持って違う陣形で臨めたという。守備陣は抑えるべき相手、カバーする基準を明確に定めることで有効なシュートを打たせず、強豪を撃破した。

 

準決勝で慶大を破り、喜ぶ選手たち

 

 しかし、目指した理想形を完成させるには至らず、決勝では早稲田大学に完敗した。黒木主将は、強みを持つ選手の少なさが早大との差を生んでいると分析。東大には「自分はこういうプレーをしたい」という思いを持った選手が少なく、これが強みを持てないことの原因だという。今季の成長を知る下級生が強みを身に付けることで、さらに理想のチームに近づくことを期待したい。

 

(児玉祐基)

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