部活・サークル

2024年3月23日

【寄稿】男子ラクロス部スタッフ特集2 目指すは日本一のTS組織

 

 躍進を続ける東京大学男子ラクロス部 (通称BLUE BULLETS) 。昨シーズンは4年ぶりに関東準決勝に進出し、学生チャンピオンの日本体育大学との名勝負を繰り広げた。東大生がスポーツで日本一になる。そんな夢物語を本気で叶えるには、選手だけでなく、スタッフの力も不可欠だ。男子ラクロス部に脈々と受け継がれるスタッフマインドとそのユニークな仕事内容を3回にわたる特集でお伝えする本企画。第ニ弾の今回はMG(組織に迫った。(寄稿=東京大学運動会ラクロス部男子・尾崎綸保、画像はすべてラクロス部提供)

 

 東大ラクロス部のスタッフはチームスタッフ(TS) と呼ばれ、2024年2月現在、3学年の計14名で活動している。練習の運営をはじめとしてグラウンド内外で幅広い業務をこなすマネージャー (MG) 、選手の怪我(けが)のリハビリやフィジカル面の強化を担当するトレーナー(TR) 、自チームや他校をデータで分析し勝利へ繋げるアナライジングスタッフ (AS) と、職務内容によって3つのチームに分かれ、それぞれの専門性を磨いている。

 

【第一回はこちら】

第一回では、選手の怪我(けが)のリハビリやフィジカル面の強化を担当するトレーナー(TR)に取材しました。

 

【寄稿】男子ラクロス部スタッフ特集 学生の頂点へ!TR組織で未来を描く

 

 MGの仕事にどのようなイメージがあるだろうか。目立たない裏方? 選手のお世話役? 東大ラクロス部のMGは一味違う。彼女たちはとにかく頭の回転が早く、TSきっての肉体派でもあるのだ。MGの仕事は常にマルチタスクが要求される。グラウンドでは細分化されたメニューをスムーズに進められるようタイムマネジメントを行い、練習メニューに合わせてゴールやコーンを設置し、審判としてメニューに参加もする。

 

 ただコーンを置くだけと侮るなかれ。メニューごとに足でヤード数を測り、短時間で大きな五角形まで作り上げていく。加えて1つの練習メニューの設置を置きながら、次の設置まで無駄なくコーンを再配置できるよう、練習の先の先まで考えながらグラウンドを駆け回っている。このように効率的にグラウンド業務を進行するため、練習開始前に選手と打ち合わせをして、グラウンドの活用方法や練習中の連携の仕方を判断するなど準備にも抜かりない。限られた時間で選手が思う存分練習に取り組めるよう、常に頭と足を動かし続けている彼女達こそBBの陰の支配者なのだ。

 

 また、彼女達は目を合わせただけでお互いの考えていることがわかるという。練習中では、互いの目を見ただけですぐに一方のMGは選手のボトルに水を入れに行き、もう一方はコーンの位置を修正しに行くといった、以心伝心する姿はよく見る光景だ。

 

 グラウンド外でも部内の会計や荷物管理などに加え、六大戦やリーグ戦など数多くの定期戦や公式戦を滞りなく開催するために他校のスタッフと密に連携を取り合って試合を作り上げるなど、各方面での活躍を見せている。

 

コーンの設置にボール補充に、常に動き続ける堂前さん。その行動力と様々な仕事をこなす遂行力は部員達の尊敬を集めている

 

 しかし、MGの特筆すべきは運営面だけではない。彼女たちは部の雰囲気作りという面でも大きく貢献している。毎日練習に来て選手を間近から見ているからこそ、練習の雰囲気や選手のモチベーションにおけるMGの”声”の影響力は大きい。そのためMG全体として練習のタイムコールの声やナイスプレーに対する声出しなどにも力を注いでいるという。新3年MGの薮崎友那さんは次のように語った。

 

 「自分が一番変化に気がつけるからこそ、色々な人に目を向けて気にするようにしています。選手のここが変わったなとか、伸びたところとか、選手がしている部への貢献など、小さなことでも見つけて口に出すことで、選手に自分が見られているという意識を持って頑張ってもらえるといいなと思っています。」MGの部員との積極的なコミュニケーションは、部のチームワークの要にもなっている。

 

 東大ラクロス部の雰囲気に惹かれて入部を決めたという新2年MGの片岡愛海さんは、BBの仲の良さについてこう語る。

 

 「チームスポーツであるラクロスにとって連帯感は必要なことだと思うし、仲の良い組織は魅力的で周りからいいなと思ってもらえると考えています。部活で、週5で毎朝顔をあわせるからこそ深まる仲の良さは一生の宝物になると思います。」今の1年生も入部したての頃は部員同士距離があったが、彼女のプレーに対する反応やランチ企画(同期数人のグループでお昼ご飯を食べに行く企画)の開催によって仲を深めることができている。

 

 東大ラクロス部を支え続けるMGたちの原動力とは何なのか。主務として日々ラクロス部のために奔走している新4年MGの堂前季良さんは、部活のやりがいについてこう語った。

 

 「去年の武蔵戦が一番記憶に残っています。あれだけ一つになっている感覚を味わったことはありません。MGは試合中に勝ち負けに直接貢献できることが無いという感覚が強いですが、自分の声一つで、雰囲気を作れたことはとても感動しました。」

 

 FINAL4(関東準決勝)へ進出するためには、勝利するしか道のなかった武蔵大学とのブロック最終戦。なかなか点差がつかず、最後の最後まで緊張が強いられる厳しい展開となるも、執念の勝利を掴み取った。絶対に負けられないという緊張感の中で、選手とスタッフが一丸となり、勝利だけを見据えて戦った時間は何物にも変え難いだろう。

 

試合中のタイム管理を担う薮崎さん。彼女のよく通る声はチームの雰囲気を常に盛り上げてくれる

 

 最後に、今年度新たに設けられたTS長として、数々のTS改革に乗り出している新4年MGの松井絢彩さんに、今の野望について聞いてみた。

 

 「一番大きな野望は日本一のスタッフ組織です。それに向けて、今は他大学よりもMG、TR、ASが連携した流動的かつレジリエンスのあるTS組織を目指しています。今TRやASが担っている仕事でMGができる部分がもっとあると思うので、そういう仕事をMGが担うことでTRやASのできることを増やし、MGを含めたTS組織全体でできることを増やしていきたいです。」

 

 実際、松井さんの主導で撮影等のAS業務の一部をMGが共同で行うことで、ASがよりデータをとることに時間を割けるようになるなど、TSの可能性は着実に拡大している。また、TS内でのミーティングを増やすことで、TSという組織を強調した連帯を作り、全員で同じ方向を向いて頑張れるようにしたいとも語った。

 

様々なTS改革を試みる松井さん。色々な意見を取り入れる懐の深さと課題に挑戦し続ける姿で部員達を導いてくれる

 

 カレッジスポーツのラクロスならではのスタッフ組織。そこには単なるサポート役としてではなく、プレイヤーに引けを取らない情熱と洞察力で部を率いていくMGの姿があった。最高のMGたちによる最強のチームプレーに期待が高まる。

 

 今後も東大新聞オンラインでラクロス部の情報を発信していくのでぜひご覧ください!

 

<公式Instagram>

https://www.instagram.com/tokyomlax/

<公式HP>

http://tokyolax.com/wp/

 

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