部活・サークル

2018年1月21日

スピンから見る平昌五輪「フィギュアスケート」の見どころ

 2月9日から開催される平昌オリンピックに合わせ、東京大学運動会の各団体に競技の見どころについて執筆してもらいました。今回は「スケート部フィギュア部門」による寄稿です。

 

写真はスケート部フィギュア部門提供

 

 2018年の平昌オリンピックでは、フィギュアスケート競技として、男女シングル、アイスダンス、ペア、そしてそれらの総合力で競い合う団体の五つの競技が開催されます。どの種目もそれぞれ魅力的なのですが、今回は、男女シングルに焦点を当てて、見どころをご紹介します。

 

 シングルの競技では、ショートプログラム・フリープログラムの二つの演技を行います。二つのそれぞれの演技について、技術点と演技構成点の合計点からルール違反行為を減点してスコアを算出し、その合計によって勝敗を決定します。技術点は、実施したジャンプ、スピン、ステップなどについて、要素ごとに採点されます。フィギュアスケートの試合では成否がはっきりしているジャンプに注目が集まりがちですが、ここでは普段あまり取り上げられないスピンにスポットを当ててみたいと思います。

 スピンは、一定の場所で回転する技です。一つの試合では、ショートとフリーで三つずつのスピンを行うことができて、実施したスピンの種類と獲得したレベルによって決定される基礎点に、GOE(出来栄え点)を加減したものが得点となります。例えば、2014年のソチ五輪で優勝した日本の羽生結弦選手は、フリーの三つ目のスピンとして、足換えコンビネーションスピンに挑戦して、レベル3を獲得し、基礎点3.00にGOEとして0.64を加えた3.64点を獲得しました。

 

 スピンのレベルは、13のレベル要件のうち、その要件の定義に忠実に実施できた項目の個数によって決まります。五輪に出場する選手の多くは、最高難度のレベル4を獲得できるように、一つのスピンにつき最低でも四項目のレベル要件を満たせるスピンを準備しますが、実際に試合ですべてのレベルを認定してもらえるとは限りません。一見ミスのないスピンに見えても、実際にはレベルがとれていない、ということもあります。ソチ五輪の男子シングルでは演技中の三つすべてのスピンでレベル4を獲得できたのは、ショートで29人中3人、フリーで24人中2人だけで、優勝した羽生選手も、レベル3のスピンが二つありました。演技後のインタビューで「スピンでとりこぼしがあったのがよくなかった」とコメントしている選手がいますが、回転数や足の高さ、膝の曲げ具合などの細かい定義に従ってすべてのスピンで予定通りのレベルを獲得するのは、大変なことだということです。

 

 しかし、それでも最近はレベル4を揃える選手が増えてきていて、特に女子シングルではかなりの選手がレベル4を獲得してくるので、基礎点では差がつかなくなってきています。そのため、スピンが得意な選手は、GOEをより多く獲得できるように工夫しています。スピンのGOEは、スピンの回転の速さや安定性、ポジションの美しさに加えて、スピンの前後の動きや音楽との調和、オリジナリティーなども評価されます。

 では、ここからは平昌オリンピックでの活躍が注目されている選手のスピンをご紹介します。

 

 女子シングルの優勝候補の筆頭、ロシアのエフゲーニァ・メドヴェージェワ選手は、スピンも圧巻です。スムーズな回転に加えて、スピンの前後にも難しいステップを入れるなど、コントロールされた精緻なスピンが光ります。昨年12月のグランプリファイナルで優勝するなど、今季シニアに上がったばかりながら優勝候補に名乗りを上げた、同じくロシアのアリーナ・ザギトワ選手も、質の高いスピンをする選手です。イタリアのカロリーナ・コストナー選手は、長い手足を生かしたユニークなポジションのスピンが魅力です。特に、プログラムの最後に予定している手で膝を支えて後ろに持ち上げるスピンは、まるでオルゴールの人形のように優雅で素敵です。

 

 日本の選手に目を向けてみると、宮原知子選手は、ポジションを変えるときの移行がスムーズで、回転が速く軸がぶれないのが強みです。また、左右両方向への回転ができる非常に珍しい選手で、一つのスピンで両方向への回転をするコンビネーションスピンを得意としています。坂本花織選手は今シーズン、イリュージョンという上体から軸足でない方の足を一直線にして斜めに回転するスピンで何度かバランスを崩すシーンがありましたが、五輪では持ち味のパワフルさと勢いを生かして、スピンでも楽しませてくれるでしょう。

 

 男子シングルのカナダ代表、パトリック・チャン選手は、派手なバリエーションはあまり取り入れずに、基本的なポジションでの回転の美しさを生かした独特の構成のスピンが特徴です。特に、足を後ろにあげてTの字型で回転するキャメルスピンはとても洗練されていて、チャン選手の魅力が生かされています。スペインのハビエル・フェルナンデス選手は非常に質の高いスピンをする選手で、スピンに入るときに一度跳び上がり着地したら直立の姿勢で回転するフライング・アプライトスピンという珍しいスピンを取り入れています。高速な両足で回るクロスフット・スピンなど、短い時間に見どころが詰まった無駄のないスピンで、見る人の集中を切らさないテンポの良さも持っています。

 

 日本の羽生結弦選手は、ドーナツのように丸くなって回転するドーナツスピンなど、柔軟性を生かしたポジションの美しさに目がいきますが、曲にあわせて手を動かしたり、スピンの前後に動きを入れたりするなど、総合的な工夫が見られる選手です。股関節が柔らかいため、しゃがんだ姿勢で回転するシットスピンが得意で、一番好きなスピンなのだそうです。宇野昌磨選手は、スピン自体の質も高いですが、スピンの手の使い方にも宇野選手の色が入っていたり、ポジションの転換を曲にあわせて行ったりするなど、試合ごとに印象的な動きを加えて洗練させていくので、毎回ひきつけられます。田中刑事選手は、以前よりもスピンの回転が安定してきたので、オリンピックまでにさらに磨きをかけてくるでしょう。

 最近のフィギュアスケートのテレビ中継では、演技と同時に採点も放送されるようになりました。画面左上に表示されるアイコンによって、スピンのレベルやGOEなどの採点をリアルタイムで見ることができます。平昌オリンピックでは、スピンにも注目しながら、今までとは違う視点でフィギュアスケートを楽しんでみませんか。

 

東京大学運動会スケート部フィギュア部門

高松 未来

 

【団体のホームページ】

Facebook(https://ja-jp.facebook.com/ut.figureskatingclub/

フィギュアスケートは観るのも楽しいですが、やるのはもっと楽しいです! 東大スケート部には、小学生からフィギュアスケートをやっている部員もいますが、大学でフィギュアスケートを始めた部員も多く、大学始めの選手でも2回転ジャンプやレベル3のスピン、表現力豊かな演技ができる選手が何人もいます! フィギュアスケートに興味を持ったら、ぜひいつでもご連絡ください! 体験・入部、お持ちしています!!!

 

【東大運動会平昌五輪寄稿】

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