EVENT 2020年7月18日

今だからこそ、人とのつながりを オンラインでも広がる交流「Zoomでしゃべランチ」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で思うように外出できない日々が続く中、弊社では5月19日発行号にてオンラインでつながりを作る東大生の取り組みを紹介した(こちら)。その中の「Zoomでしゃべランチ」「Zoomで教授としゃべランチ」を運営するのは、昨年度まで開講されていた前期教養課程の主題科目「ココロのトリセツ」の参加学生たちだ。運営に携わる教員と3人の学生に、開催した後の手応え、課題などを聞いた。

(取材:黒川祥江)

 

「Zoomでしゃべランチ」のポスター(画像は細野特任助教提供)

 

 「Zoomでしゃべランチ」「Zoomで教授としゃべランチ」は、さまざまなテーマに沿った交流イベント「駒場しゃべランチ」のオンライン版だ。「駒場しゃべランチ」は昼休みに学生や教員が集まって自由にしゃべりながら昼食を取ることができるイベントで、例年は駒場Ⅰキャンパスの初年次活動センターで開催されている。この企画を始めたのは「ココロのトリセツ」の担当教員である細野正人特任助教(東大大学院総合文化研究科)。きっかけは東大に赴任して人と人とのつながりが弱いと感じたことだという。「せっかく世界的にも有名な教員がいるのに話すまでのハードルが高く、学生同士の科類や学年を超えた雑談の場も少ないと思いました」。「駒場しゃべランチ」は学生や教員のつながりを深める場としての役割を果たしていた。

 

 しかし、今セメスターは新型コロナウイルスの感染拡大防止のためキャンパスへの立ち入りが禁止され、対面での交流が不可能になった。特に東大に入学したばかりの1年生が、クラス以外のつながりを持ちづらいことに「危機感を抱いた」と話すのは大久保紗佳さん(理Ⅱ・2年)。「授業以外で学生や教員と気軽に話せる場が必要だと感じました」。サーカー壽梨さん(PEAK・4年)も、オンラインであっても雑談の場を設けることで「人とのつながりを増やしたい」と思ったという。有志の学生3人と細野特任助教が中心となり、Zoomを使用した「しゃべランチ」の開催を決めた。

 

 参加者の反応は上々だ。何度も参加してくれる学生がいたり、参加申し込みフォームに「こういうことを聞いてみたい」「楽しみにしている」という前向きなコメントが添えられていたりと効果を実感しているという。永沼くるみさん(文Ⅲ・ 2年)はZoomの機能に注目する。マイクとビデオのオンオフの切り替えは参加者の自由で、聞いているだけでも構わないが「普段対面ならあまり発言するのが得意ではない人でも、チャット機能を使うことでコメントを出しやすくなっているのが良いと思います」

 

 オンラインで開催することで参加者の幅も広がった。対面で昼休みに実施していた昨年度までは、駒場生以外が参加することは難しかったが、今回は他キャンパス所属の学生の参加も見られる。

 

 複数回開催する中で話題は少し変化していった。学生のみの「Zoomでしゃべランチ」では、はじめは当たり障りのない世間話が中心だったが、最近は前期課程の学生が後期課程の学生に進路相談をするなど個人的な話題も出てきている。参加者によって毎回雰囲気は大きく異なり「アップデートしていくというよりは、違いを楽しむようにしている」と細野特任助教。

 

 参加者を尊重し、リラックスしてもらうために、運営側に対面での開催とは異なった対応が求められる場面もある。実際に対面していれば自然に会話を始めやすく、何人か同時に発言しても聞き分けることができるが、Zoomでは司会進行がより重要になる。サーカーさんは「Zoomだと『他の人が話すのにかぶってしまうと失礼だ』と遠慮する人が多いようで、円滑なコミュニケーションをとりづらいこともある」と指摘する。マイクをオンにしていてもあまり発言していない人には話を振って、話したい人が話せる機会を作るよう心掛けているという。参加した教員から「反応が分かりづらい」といった声が寄せられたこともあったため、永沼さんは「できるだけビデオはいつもオンにして、うなずく、笑うなどの反応が見えるようにしている」と工夫を語った。

 

 運営側は参加者への細かい配慮をしつつも「自分自身も楽しい」と口をそろえる。大久保さんは「人数にこだわりはありませんが、新規の参加者が来て新たな出会いが生まれるのが特にうれしいです」。家にこもりがちになる中で、さまざまな教員の話を聞いて未知の分野に触れることができたり、東京以外の場所にいる学生が今いる場所を紹介してくれたりと、「しゃべランチ」は視野を広げる機会にもなっている。「何度も参加していますが、今だからこそ一層『しゃべランチ』の価値を実感しています」とサーカーさん。細野特任助教は「対面で話したい気持ちはありますが、全く会えないよりはオンラインでも会えた方が良い」と話す。「今回のZoomでの企画運営にも、以前から授業で接していた学生が参加してくれました。さまざまな人とつながり、関係を深めていくことは、社会が変化していく中でもやはり変わらずに大切なのではないでしょうか」

 

 7月8日に今学期の「しゃべランチ」は最終回を終えた。今後の活動継続に向けて、参加者へのアンケートなどを通して、振り返りを行っている。

 

 「参加者が真面目で、昼食を食べているのが自分だけのときもある」と笑う細野特任助教。「誰でも気軽に参加していいので、もっと多くの学生に参加してもらいたいです」

 

駒場しゃべランチのTwitterアカウント

@shabelunch

 

四本裕子准教授を招いた「Zoomで教授としゃべランチ」のポスター(画像は細野特任助教提供)
和歌山に留学中の東大生が参加した「Zoomでしゃべランチ」のポスター(画像は細野特任助教提供)

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