就活では多くの業界・企業を見た上で進路を選択することが重要だ。しかし多種多様な仕事について、社会人の話を直接聞ける機会は多くない。そこで今回は幅広い業界から六つの企業を訪問。東大の卒業生に仕事の内容ややりがい、就活時の経験などについて聞いた。インターネット上の情報だけでは知ることができない、業界や企業の魅力や実態を知って進路選択の参考にしてほしい。(構成・赤津郁海、取材・丹羽美貴)

「就職先を選ぶ際には、自分の興味関心を軸にしました」そう語る山口さんは、もともとエンタメが好きで、テレビやSNSを見ることが多かったそう。メディアやファッションビル、商業デベロッパーなど幅広く業界を調べるうちに、サンリオと出会った。
現在は広報課で勤務する山口さん。主な仕事の一つはメディア対応。ニュースリリースの発信や取材対応、PR発表会の企画・実施などを行なっている。テレビでキャラクターが出演したり、世間からキャラクターに関してポジティブな反応が得られたりすることが何よりのやりがいだ。「サンリオキャラクターの魅力や価値を世の中に届け、笑顔を生み出す手助けができているんだな、とうれしくなります」と笑みがこぼれた。その一方で、キャラクターの世界観を守るのも重要な仕事だ。メディアが取り上げたい側面と、会社として守りたいキャラクターの雰囲気が時にぶつかってしまうことも。仕事に就いた当初は板挟みになり、大変さを感じていたという山口さんだが、経験を重ねるうちにメディアに代替案を示せるようになったそう。「マイメロディ」や「クロミ」などのキャラクターや、「サンリオキャラクター大賞」の広報も担当している。
社内には壁やドアなどの至る所にサンリオキャラクターのイラストが描かれていて、どことなくほんわかとした空気が漂う。「社内の雰囲気は和やかです。『みんななかよく』という企業理念も浸透していて、困ったことがあればいつでも相談に乗ってもらえる良い環境で働けているな、と感じます。物理的に周りにキャラクターのぬいぐるみなどがいるのも和やかな雰囲気の秘訣かもしれません」多様な働き方を支える制度も整備されている。産前・産後休業制度や育児休業制度のほかに、SRHR休暇制度も昨年から導入された。男女ともに不妊治療や卵子凍結のために利用できるほか、更年期障害治療などのための休暇として利用することも可能だ。
就職活動を始めたのは大学3年次の夏。各社のインターンに申し込み、本選考の練習も兼ねて幅広い業界を経験した。インターンを通して、自分が興味を持てる分野で働くことの大切さを実感したという。就職活動ではエンタメが好きなことから「トレンドに敏感」とアピール。勉強してきただけではない、自分らしさを意識した趣味や経験を語った。サンリオに就職した決め手を山口さんは、「もともとサンリオキャラクターが好きだったことに加え、キャラクターを通していろいろな業界やコンテンツと関われることが、興味の幅が広かった自分に合っていると感じたからです。そして何より選考で出会った社員の方が良い人ばかりだったことですね」と振り返った。
「社内の情報を広く収集し、それを世の中の文脈やメディアが興味を持つ形にして届ける力は、今の仕事を通じて身に付いてきたと感じます」と話す。入社前までは、サンリオのキャラクターにまつわる職務をするイメージが強かったが、実際は扱うコンテンツの幅が非常に広かったことに驚いたという。サンリオは“One World,Connecting Smiles.”という企業ビジョンのもと、教育事業やゲーム事業、スポーツのスポンサーなどさまざまな分野に展開している。昨年12月には仮想現実(VR)空間に「Virtual Sanrio Puroland(バーチャルサンリオピューロランド)」も常設化され、「会社の流れの変化の中で、触れる分野も広くなりました」と山口さんは振り返る。
現在は広報として、サンリオキャラクターのグローバル展開にも力を入れている。既に国内外で人気を集めている「ハローキティ」以外にもさまざまなキャラクターを海外に広めるのが目的だ。「その国や地域の風土・風習によって、人気の出るキャラクターも変わってきます。実際に海外に触れる機会が多いと、より具体的にイメージができるので、まとまった休みが取れる学生時代にもっと海外旅行に行っておけば良かった、と思うこともありますね」と振り返ってくれた。
就職活動を始めた当初から興味のあったテレビ業界も、今となってはキャラクターを介して関わることが多い。「就職活動の最中は肩肘を張ってしまったり、不安になってしまったりすることも多いと思いますが、自分自身に正面から向き合う良い機会だと思って前向きに取り組んでみてください」とエールを送る。












