EVENT 2020年6月13日

初心者でも6週間でサービス開発 東大生主体のプロジェクトUTokyo Project Sprintに迫る

 経験の有無にかかわらず、わずか6週間でゼロからサービスを開発できる──そんな機会を提供する、東大生主体のプロジェクト「UTokyo Project Sprint」が、現在進行しています。今回は、小社編集部員も参加している学生団体「Discovering HONGO」が、UTokyo Project Sprintの概要について取材した記事を転載します。(転載に際して表記統一やリンク挿入を施した箇所があります)


 

 新型コロナウイルス流行下で大学生活が大きく変わり、社会も急変した中で、時間の余裕が生まれた学生に開発の機会を提供するべく、学生主体で生まれたUTokyo Project Sprint。「短距離走」を自称する本プロジェクトが東大生のアントレプレナーシップ教育に一石を投じるだろうと注目し、細かく取材させてもらったので、5月3週目までの様子を2回に分けてお届けする。初回は企画の概要と、参加学生の声を取り上げる。

 

 

①プロジェクト概要

 

 

 本プロジェクトでまず注目に値するのが、数人の学生が起ち上げたとは思えないほどの規模に発展したことだ。参加チームは3人1組のところが半数ほどで、合計で82チーム、延べ204人がプログラム内容に本応募している。学生向けインキュベータープログラムとしては国内最大級の規模での開催となった。

 

 

 プログラム内容は、サービスアイデアから開発、そしてローンチ後のユーザー獲得までを6週間で走り抜ける。まさに短距離走を彷彿させるプログラム設計だ。ここまでの週ごとのプログラムを簡単に取り上げてみる。

 

 

Idea (1週間):最初のアイデアやサービスを考える期間。アイデアを提出したチームが、本企画に正式に参加したものとされた。運営が新型コロナウイルスに関する現状の考察など「アイデアのヒント」を発表した。

 

 

Prototype (2週間):サービスを実際に構築する期間。初心者も少ない労力でWebサービスを構築できるようなサポート(後述)を用意。(5月1・2週目)

 

 

Launch (1週間):サービスをいよいよ公開。この際、チームの分割や統合を支援する機会「Team Migration」が用意された。(5月3週目)

 

 

②メインパートナー桝田さんのコメント  

 

 前述のように、本プロジェクトは学部3年生を主体にして、生まれた企画である。彼らの思いはどこにあるか、メインパートナーの桝田拓磨さんから貰ったコメントを以下に掲載する。

 

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 昨年暮れには誰も予想していなかった状況に私たちは直面しています。コミュニケーションや消費、生活習慣など多くのものが変革を迫られています。‬このような状況に「何かを作る」ことは利益をもたらし得ると私は信じています。Project Sprintはまさにその機会です。たった6週間でサービスを作れるように私たちはさまざまな方向から支援します。この6週間が終わった日に、色とりどりの花が咲き誇っているのを心待ちにしています。

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③参加者の声

 

 何かを作ってみるという経験を提供する本プロジェクトは、実質的な開発期間は2週間ばかりと密なスケジュールなので、如何にコアとなる機能を見定め、開発していくかが肝となっている。これまで手を出すことが出来なかったサイト開発に取り組んでみて、大変ながらも少しずつ開発が進んで動くプロダクトが出来上がっていく中で、今後も開発に携わりたいと思っている学生も多いようだ。また、本プロジェクトがもたらす東大生への変化について、主催学生の多くが所属する電子情報工学科・電気電子工学科(EEIC)から本プロジェクトに参加する学生も多数おり、学科内での雑談で「こういうサービスがあったらよいな」という会話で終わっていたところが、「じゃあ、作ってみるか?」と続く声が生まれているという。

 

主催者層以外の学年からも広く参加があった

 

 本プロジェクトの大きな特徴である、初心者向けのサポート体制については、開発し始めるときにどの言語やフレームを使うべきか悩むところをQiitaで運営がまとめた記事が用意された。他にも全チームが詰まったところについて運営学生やプロジェクトSlackの「質問掲示板」へ質問ができ、希望者についてはソニーの現役エンジニアへ技術的な相談をする機会も設けられるなど、素人目からしてもかなり充実している。

 

 

 また、本プロジェクトにはサイト開発初心者でないチームの参加も見られた。特にものづくりを普段から行うテックガレージからいくつかのチームが参加している。彼らからは、サポートを実際に利用している訳でないが、毎週の講義と〆切があるお陰で、モチベーションをチームとして維持しやすく、言語習得や言語とチームの相性が良いかどうかの検証にはとても良い機会になっているといった意見が上がっている。

 

 

 この他に、上述の「質問掲示板」サポートに対して、実際に質問せずともそこに上がる質問を見て、他チームの進捗をおおよそ確認し、モチベーションに繋げているチームもあるようだ。100近いチームが同じ密なスケジュールで開発し、その様子が互いに伝わるから、モチベーションそして実際の開発ペースが維持されている様は、まさに短距離走で自分の走りに集中しつつ他のランナーを意識してる物に近い。

 

 

 一方で、本プロジェクトの枠組みでは開発要件などに強い制限はなく、開発の遅れによるペナルティもないため、開発スケジュールや作りこみについてはチームごとでかなりの差が見られるようだ。次回の「注目チーム」でも一部取り上げるが、ウェブサービスを構築するという作業よりもユーザーの課題を洗い出すことにリソースを集中させ、ウェブについては既存のウェブページ作成サービスを利用してサービス公開に至ろうとしているチームも見られる。本プロジェクトの枠組みが学生主体であり、大学のプログラムのように〆切や課題によって参加者をコントロールし過ぎないことが開発内容の多様性を生んでいる点も、他のアントレプレナーシップ教育プログラムに見られない独自性と言える。

 

 プロダクトの種類は趣味や娯楽、個人のニーズに則したものが多い

 

 また個別のチームに対する取材では、本プロジェクトが新型コロナウイルスの流行下という特殊な状況でなくても参加を検討したという声が多く聴かれ、今後もこのような初心者も気軽に参加できる短期集中型のサービス開発体験プロジェクトについて、学生の間で十分なニーズがありそうだ。各チームの様子は次回の記事で紹介する。

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