COLUMN 2019年1月4日

【駒場のアツいゼミ特集①】高山ゼミ 徹底した研究と議論でゼミ生と至高の時間を

 駒場の前期教養課程の授業は、大半を一方的な講義授業が占め、退屈に思っている学生も多いだろう。しかし中には学生が目を輝かせて参加する、双方向的なゼミも開講されている。今連載ではそんな駒場の熱いゼミの実態に迫る。

 

27年の歴史 「高山ゼミ」

 

(取材・武沙祐美)

 

 扱うテーマは国内外の政治から最新の科学技術についてと幅広い。授業の大半は学生の発表と議論で構成され、議論が白熱し授業時間が延長することも。授業終了後も、ほとんどの学生が帰り支度も片手間に教室に残って議論を再開する熱心ぶりだという。

 

合宿でのひとこま(写真は高山教授提供)

 

 ゼミの目的は、メディアが発信する国際社会のさまざまな情報の取得・分析方法を学ぶこと。「国際社会における日本の立ち位置を把握し世界を主導できるノブレス・オブリージュの精神を持った人材を育成したい」と、高山博教授(人文社会系研究科)は話す。メンバーは毎年4月に1年生から募集され、応募者約40~70名のうち9人が選出される。ゼミ生としての活動期間は原則2年で、やむを得ず欠員が出た場合にのみ追加選考を行う。授業は1・2年生各9名の計18名が主体だ。

 

 学生は毎週、高山教授が指定する欧米の雑誌・新聞記事を読み、授業での討論に臨む。さらに学生は世界の各地域を割り当てられ、担当地域に関する外国語の記事を見つけ内容の報告と分析を発表。その内容についてのゼミ全体での議論が続く。こうして2年間で読む外国語の記事は140本以上。「これで学生はだいたい世界で今何が起きているかを知り、議論を重ねることで今後の勉強の基本となるような知識と自分なりの考えを持つようになります」。議論中、高山教授はほとんど口を挟まないそうだ。

 

毎年、OB・OGも参加する総会が行われる(写真は高山教授提供)

 

 毎週課題の英語の記事を読んで内容について調べ、年2回担当する自分の発表に向けA4の用紙20枚にも及ぶレジュメを作成するのはかなりの負担だろう。それでも「一週間で高山ゼミの時間が一番楽しみ」と学生に言わせる、ゼミの最大の魅力は「他のゼミ生」だ。皆熱心かつストイックで、「ゼミの準備で読んだり調べたりしている時間も楽しいので『負担』ではない」と断言するほど。自主的に授業時間外にも集まり、互いのレジュメに対し意見交換しているという。「議論を通じて自分にない考えを得られるし、自分も負けていられないと奮い立たせられる」とある学生は声を弾ませる。「議論終了を告げるタイマーが鳴った瞬間、『もっと議論したかった』と思う時が一番楽しい」ともう一人。

 

2001年から毎年度末に発行しているというゼミの論文集『飛翔』(写真は高山教授提供)

 

 27年も続く高山ゼミにはOB・OG組織もあり、就活の手助けもするなど縦横のつながりは深い。3年後に定年を控える高山教授だが、教授の熱い思いは脈々と引き継がれていきそうだ。

 

 

高山博(たかやま・ひろし)教授

90年米エール大学大学院歴史学博士課程修了。Ph.D.。英ケンブリッジ大学客員研究員や一橋大学助教授などを経て、04年より現職。16年紫綬褒章受章。(写真は高山教授提供)

 


この記事は、2018年12月11日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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