INTERVIEW / FEATURE 2016年2月29日

「民主主義って何か、誰も分かっていない」 おときた駿・東京都議インタビュー

 18歳選挙権成立後、初の参議院選挙が予定される今年、若者と政治の関係が注目を集めつつある。そんな中、ブログという手段を使って、政治の世界に新たな風を吹き込もうとしている若手政治家がいる。2013年より東京都議会議員を務める、おときた駿さん(32)だ。当選以来、毎月 30回以上のペースでブログの更新を続けており、2014年の東京都議会やじ問題では、女性差別的なやじを強く批判した記事が大きな反響を呼んだ。

 都政の現場で精力的に活動を続けるおときた議員は、今日の日本政治をどう見ているのだろうか。インタビュー第2回では、政治×ネットの今後、そして若者の政治参加について聞いた。

 

おときた2-1

 

―長い間、政治家の情報発信においては新聞やテレビが主なチャンネルだったと思います。その中で、橋本徹さんやおときたさんのように、ブログやSNSを通じて情報を発信する方が増えてきていると思います。今後も、その流れは続くと思いますか?

 ネットというものが広がっていくかぎり、小さくなることはないでしょうね。世代交代も進んでいるので、ネット投票もずっとできない訳ではないだろうし。ただ、そのスピードにどこまで追いつけるかっていうところで、公職選挙法がネット解禁したのは一昨年か。その時はまだメールができないとかいう状況でしたが、今はルールも政治家の脳みそもまったく追いついていないので、そこをどう合致させていくかっていうところは、課題として残り続けるでしょうね

 

―動きが遅い理由は、世代間の差でしょうか?

 おっさんが引退しないからかな(笑)。あと、結局政治家は国民にあんまり情報を出したくないというか、早い話4年に一度の選挙以外あまり触れたくない、いろいろと口出しされたくない訳ですよ。

 粛々とやっていることなので、オープンにすればするほど文句を言う人が出てくる。なるべくいいことだけ外に出して、不都合なことは隠しておいて、決まったら説明だけするというのが基本的な官僚的やり方で、日本の政治家はすっかり官僚に取り込まれているので、それを踏襲しているんですよ。

 ネットというのは彼らにとって一番不都合なものだから、「何としてもそれはやりたくない」という抵抗勢力がいる。ただ、僕らの世代ではもう情報はオープンが基本であって、「隠すのは何か悪いことがあるから隠すんだ」と思っている。大体30代くらいからそういう人たちが増えてきているから、そのボリュームが大きくなれば、オープンにならざるを得ないということになっていくと思います。

 

―おときたさんのように、若手でネットを使ってどんどん発信していくということをやっている方って他にもいらっしゃいますか。

 地方議会では何人かいるんじゃないですかね。国会議員でも、たとえば自民党で大田区の平(将明)さんとか。ただ自民党系の議員さんは、自民党がガイドラインを引いていて、その中でしか発信していないというところが透けて見えているから、たぶんあまり人気がない。地方議員に関しては僕みたいなはぐれ狼のような人がいるけども、知名度的にもまだまだ十分できていないという状況です。

 大抵は「議論の見える化を!」と言って当選しても、半年もすればそんな志はどこかに行って、みんな取り込まれてやらなくなります。もうSNSが墓場みたいになっていて(笑)、選挙前までみんな毎日ぶわーっと更新していたのに、終わった瞬間「当選しました」の報告から全然更新がないとかね。

 

おときた2-2

 

―若者の低投票率が長年の問題になっていると思いますが、若者の政治に対する関心を高めるための方法って何だと思いますか。

 基本的には、情報開示とか、政治家がいけない でしょうね。あとは主権者教育って最近よく言われていますけれども、学校現場でもっと政治の話をするとか、そういうことはもっとやらなきゃいけないんじゃないかと思っています。

 ぶっちゃけで言うと投票率なんて上がる訳がなくて、先進国を全部見れば、投票率が下がるというのは、もう歴史上の必然です。なかなかここから劇的に回復するのは難しいので、今後は何か抜本的な改革が必要になってくると個人的には思っています。

 

―抜本的な対策というと…。

 選挙制度の改革ですかね。一番僕が押しているのはドメイン制度と言って、0歳から18歳の選挙権がない人たちの選挙権は親権者が代行するっていう、要は1人2票とか3票持っている人がいるという制度。それで、将来世代、若い世代が自分たちの意見が反映されるんだと思えば、選挙に行くようになるかもしれない。そっちの発想から攻めていかないと、「行かないから意思が無視されるんだよ」ってみんな言うけれども、結局危機感を煽ったって行かないものは行かないんですよね。

 あるいは義務投票で、行かなかったら3000円罰金ですってやるとか。若者っていま少ないうえに投票に行かないから、多いうえに行く中高年との差が大きい。その落差が小さくなれば、やや若者の言うことが通りやすくなっていく。そうして若者のための政策が行われるようになって、若者も「選挙が変わるとこんなに変わるのね」と実感すれば、だんだん行く習慣がついてくるかもしれない。

 

―最近、被選挙権の引き下げも議論になっていますよね。

  それももちろんやった方がいいし、後は供託金(筆者注:売名や選挙妨害を目的とした立候補の乱立を抑制する目的で導入されたとされる。Wikipedia参照)。18歳まで下がっても、立候補のために300万用意できる高校生なんてこの世には存在しないので、それだけ下げても意味がない。もっと包括的に、この国は何がしたいのかってことを議論しないと。

 18歳選挙権も僕はやるべきだと思っていたけど、すごくなし崩し的に突然通った印象があって、世論調査したら50パーセントくらいが反対しているのに、なんで国会議員は720人全員賛成しているのかっていうところは、僕は意味がわからないと思っています。

 その議論が片手落ちになって、誰かがやりたかったから突っ込んだ感じがあるので、そもそも選挙って何だっけとか、なんで18歳が投票できて、被選挙権も下げなきゃいけなくて、供託金はなんでこれまで高かったんだっけってことを、ちゃんと議論しないと。そういうところに不信感を持っている人は結構いるんじゃないかという気がします。

 

―いま話に出た被選挙権の引き下げとかドメイン制度とか、そういうものについて議論を深めて実際に制度化していくためには、何が必要なのでしょうか。

  「民主主義って何だ」ってことをSEALDsみたいな人たちが言いますが、実際、民主主義って何だってことを誰も分かっていないんですよね。政治とは何かとか民主主義とは何かって、わからないまま運動だけが盛り上がっている。選挙というのは民主主義をつくるための制度で、民主主義というのは再配分をするためのもので、限られた資源、つまり税金というものをどうみんなで再配分するか、ということを決めるのが原則的なルールな訳ですよ、政治学的に言えば。

 だから、そのために若者のボリュームがあまりに低すぎると、高齢者にばかり配分されるのは当たり前の話で、それを是正しなければいけないから投票率が低いのはまずい、というのが理屈なんです。でもこの理屈をわかって投票率を上げろって言っている人は、たぶん5パーセントくらいしかいない。その辺りの議論をみんな丁寧にする気があるのか、というところに僕はフラストレーションが溜まっています。

 

―おっしゃる通りだと思うのですが、難しいですよね。

 だから、今のところをちゃんと主権者教育でやらなきゃいけない。「そもそも民主主義って何だっけ」というところは、あんまり馬鹿にしちゃいけなくて、中長期的に投票率を上げていこうと思うなら、そこから見直していくのが大事です。カンフル剤とか奇跡の魔法はないですから。

 有名人を集めてパネルディスカッションをやれば面白いけれども、もうちょっと基礎的なところから授業をするようなこともやっていかないと、なかなか抜本的な解決にはならないだろうな、と思います。(続く)

 

 おときたさん2-3

 

取材を終えて

 「若者の投票率を上げるにはどうすべきか」という長年の問題に対し、おときた議員はドメイン制度や義務投票、供託金の引き下げを提案する。しかし同時に、昨年のSEALDsのように運動を盛り上げるだけではなく、「民主主義って何だ」というレベルから議論をしなければならないという。私たち学生は、どこかでこうした問題に真剣に向き合う必要があるように思った。

 次のインタビュー第3回では、政治家のやりがいを聞く。

 

(聞き手・文:井手佑翼 聞き手・写真:須田英太郎)

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