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2023年1月2日

2022年東大の研究者の功績は? 各賞受賞者の活動を紹介【文化勲章・文化功労者編】

 「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績」を挙げた人に授与される紫綬褒章など、多くの東大の研究者が今年も栄誉ある賞を受賞した。それぞれの受賞理由や、どのような研究をしているのかについて研究に関わるキーワードを挙げながら解説した。対象としたのは2022年に紫綬褒章、文化勲章の受章、文化功労者の認定、恩賜賞、日本学士院賞の受賞を受けた13人。今回は文化勲章と文化功労者を取り上げる。各賞の違いも踏まえ、東大の研究者たちの活躍をまとめて見てみよう。(構成・清水琉生)

 

文化勲章    

 

 日本の文化の発達に顕著な功績のあったものに対する勲章。受章者は11月3日に、天皇陛下から親授される。原則として前年度までの文化功労者の中から閣議決定される。

 

小さな世界の支配者に迫る研究

 

別府輝彦名誉教授

 

 

 応用微生物学、バイオテクノロジー開発分野の基礎となる成果などが認められ受章。遺伝子組み換え技術により子ウシ由来のキモシンをクローン化し、容易にチーズ製造へ利用可能としたことや、観察の困難な微生物同士の共生系の発見により現在の微生物生態学の発展の道を開くなど業績は多岐にわたる。著作に『見えない巨人―微生物』(ベレ出版)など。

 

キーワード:発酵学、アロイソクエン酸発酵、放線菌、キモシン、トリコスタチン

 

榊裕之名誉教授

 

 

 半導体電子工学分野で、電子の量子力学的な効果を用いた新機能開発へ貢献した業績などが認められ受章。固体物理学やナノサイズの電子工学分野の新領域を開拓した。トランジスタや半導体レーザーの基幹をなす超微細構造について独創的な研究を行い、量子細線や量子ドットの構造に基づく電子制御方法の高度化へ寄与した。著作に『全図解ナノテクノロジー―その全貌と未来』(かんき出版)など。

 

キーワード:ナノエレクトロニクス、半導体、高性能FET、量子細線、量子ドット

 

文化功労者

 

 文化の向上、発達に関し特に功績の顕著な者を顕彰するために設けられたもの。11月3日に、文部科学省から授与される。

 

思想と自然のライブラリを紐解く

 

関根清三名誉教授

 

 旧約聖書のテクストに並ぶ「象徴」を解釈し、「超越」(神)を仰ぐキリスト教倫理思想の構造を明らかにする研究が国際的に高い評価を得たことなどが認められ受賞。また、ヘブライズムやヘレニズム、内村鑑三や和辻哲郎による旧約聖書解釈を研究するなどの業績を挙げる。著書に『ギリシア・ヘブライの倫理思想』(東京大学出版会)など。

 

キーワード:旧約聖書、キリスト教倫理、ヘブライズム、ヘレニズム

 

吉田稔教授(東大大学院農学生命科学研究科)

 

 

 化学生物学の発展へ寄与した業績などが認められ受賞。天然化合物のライブラリから創薬に適切なものを選ぶスクリーニング技術、およびその評価系と機器システムなどを開発。真菌を用い、代謝や老化機能の仕組みを化学遺伝学から紐解いた他、抗がん性活性物質であるスプライソスタチンAを発見した。微生物、創薬関連の出版物への分担執筆多数。

 

キーワード:トリコスタチンA、エピジェネティクス、大規模高速スクリーニング、スプライソスタチン

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