インタビュー

2016年1月5日

「野球を、恵まれた環境で」東大硬式野球部 浜田一志監督インタビュー

 2015年春季リーグ戦で連敗を94で止め、秋季リーグ戦でも勝利するなど躍進を見せた東大硬式野球部。監督の浜田一志さんは硬式野球部を率いる傍ら、学習塾Ai西武学院の塾長も務めている。浜田さんに監督に就任してからの2年間を振り返ってもらうとともに、塾長としての一面にも迫った。(取材・古川夏輝 撮影・竹内暉英)

 

写真1

 

守備力の強化に注力

 

――15年の躍進の要因は

 何よりも守備力の強化です。僕が監督に就任した13年は守備が崩れて大量失点し、そのまま敗北という試合ばかりでした。そこで、4―3で勝つことを目標に掲げ、守備練習に力を入れました。今ではエラーの数が就任当初の半分以下になり、他の大学よりも少ないほどです。

 打撃についてはあまり特殊な練習はせず、素振りを重視しています。とにかくバットを振ることが力強いスイングを生むからです。選手にはボールに当てに行くようなスイングをせず、全力で振るように指導しています。その結果、本塁打などの長打が出るようになり、得点力が付きました。

 

――普段の練習の様子は

 基本的に午前8時から12時まで全体練習を行い、その後は個人練習となります。最上級生と学生コーチを中心に毎週ミーティングを行い、その週の反省をするとともに次週の全体練習のメニューを決めます。

 僕は練習の優先順位を、①食事②ランニング③筋トレ④守備⑤打撃としています。食事も練習の一環だと考えており、1日5000キロカロリー摂取が目標です。現状は1日4300キロカロリーほどで、もう少し食べてほしいところですね。

 ランニング、筋トレといった体づくりも重視しており、投手は1日4時間、野手は1日1時間のランニングで下半身を強化しています。筋トレは学生コーチと選手が話し合い、個別にメニューを作成しています。

 将来リーダーとして活躍してほしいという願いから、普段の練習から常に東大生であることを肝に銘じよということも伝えています。東大生としてのプライドを持ち、責任感のある人間に育ってほしいですね。

 

――桑田真澄さん(元巨人)を臨時コーチとして招聘したことが話題になりました

 僕は野球に限らず、あらゆることについて、基本を守る、モチベーションを保つ、そして身近なお手本を用意することが大切だと考えています。桑田さんを呼んだのは、選手の身近なお手本になってほしかったからです。甲子園の常連校にはOBでプロ野球選手となった人が多くいるように、身近なお手本がいることで選手の力量も伸びます。

 

――今年はどのようなチーム作りをしていく予定でしょうか

 昨年活躍した投手が多く残っており、投手陣は厚いです。課題は昨年主将としてチームを引っ張り、守備の要だった飯田(=飯田裕太選手(農・4年))の穴をどう埋めるかですね。今年は昨年以上にハラハラする試合が増えると思います。ご期待ください。

 

写真2

 

脱サラして塾長に

 

――東大を受験しようと思ったきっかけは

 高校2年生のとき、練習に来た高校のOBに「君は東大に入って4番バッターになりなさい」と言われたのがきっかけです。早稲田大学、慶應義塾大学の受験を考えていましたが、先輩の言葉に感化されて東大を目指すことにしました。

 

――東大在籍時の生活は

 東大では野球部に入り、寮で生活をしていました。午前中は授業、午後は練習という生活でしたね。1日5時間くらいグラウンドで練習をしていました。

 

――卒業後は新日鉄に就職後、学習塾Ai西武学院を立ち上げました

 当時はバブル景気で、「脱サラで起業」というのが一つのはやりでした。そこで、自分も部活をしながら東大に受かったという成功体験を生かして学習塾を経営したいと思いました。「東大専門塾」なども考えましたが、大手予備校との違いを出したいと思い、「部活をやっている子専門の塾」として開業しました。

 Ai西武学院では時間の管理を重視しています。部活動がある間は学校の授業に加えて2時間家庭学習をするように指導し、学校の授業を入れて勉強時間が8時間、部活に充てる時間を5時間としてスケジュールを組みます。焦って睡眠時間を削ったりせず、メリハリのある生活を送ることが大切だと考えています。部活を引退してからは部活に充てていた時間を全て勉強に充てさせます。

 生徒と接するときには褒めるのと叱るのが半々くらいです。他の学習塾に比べ叱る割合が高いとは思いますが、生徒の保護者には「ちゃんと叱ってくれる」と評価してもらっています。

 

――スカウト部長としても活動をされています

 活動のきっかけは、野球部OB会の会長に「学習塾での経験を生かして、スカウト活動をしてほしい」と言われたことです。07年からさまざまな高校を回り、練習に参加して選手と話したり、講演会を開いたりしています。

 東大は研究の質が高く、卒業後の就職先も恵まれています。専門を入学後に決めるため、自分の将来をしっかり考えられるのもいいところです。野球という面でも、部員が100人以上いるような強豪校とは違って部員数が少ないため、試合に出る機会も多くなります。そんな環境で一緒に野球をしようと呼び掛けているのです。

 

写真3

 

 


浜田一志(はまだかずし)監督

 89年工学系研究科修士課程修了。修了後は新日鉄(現・新日鉄住金)に就職し、94年に独立して学習塾Ai西武学院を開業。13年に硬式野球部監督に就任し、午前中は「監督」として、夜は「塾長」として活躍している。スカウト部長として全国の中学、高校での講演や東大合格を目指す高校球児への支援も行っている。

 

この記事は、2016年1月1日号(新年号)からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

2745_1_1pop-01

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit
koushi-thumb-300xauto-242

   
           
                             
TOPに戻る