インタビュー

2022年4月5日

生まれ変わった「駒場で最もハードなゼミ」 前期教養課程・馬路ゼミに聞く

 

 これまで30年にわたって前期教養課程で開講されてきた「高山ゼミ」は、主催していた高山博教授(東大大学院人文社会系研究科)の定年退職によってその歴史に幕を下ろし、本年度からそれを引き継いだ「馬路ゼミ」が開講されることとなった。今回ゼミが引き継がれた背景にはどのような思いがあるのか。そして、ゼミ生が「駒場で最もハード」と語る活動の内容とは。新歓の時期に合わせ、馬路ゼミで初代ゼミ長を務める外園駿さん(文Ⅰ・2年)に話を聞いた。(取材・中野快紀)

 

ゼミ生全員が1〜2万字の論文を執筆

 

━━馬路ゼミとはどんな団体なのでしょうか

 

 馬路ゼミは昨年度まで30年間続いていた高山ゼミのメンバーが本年度から立ち上げたゼミで、前期教養課程の全学自由研究ゼミナール、つまり単位が認定されるゼミとして開講されます。主催するのは総合文化研究科准教授の馬路智仁先生で、毎週英文記事に関する議論を行うとともにゼミ生全員が毎セメスター1本の論文を書くことが特徴です。

 

━━外園さんは昨年度まで前身となる高山ゼミに所属していて、今回の馬路ゼミの立ち上げに関わったとのことですが、どのような思いで立ち上げに関わることになったのでしょうか

 

 私たちの代は高山ゼミに1年間しか所属できなかったのですが、高山ゼミというすてきなゼミを駒場に残したいというのが同期の共通見解でした。高山ゼミを主催していた高山博先生は「ハードアカデミズム」という言葉を掲げており、私たちもゼミを通じてかなりハードでインテンシブに国際政治学を学ぶことができました。そうした環境は貴重であると同時に、知的好奇心を持った学生がゼミに集まっていることから、良いコミュニティとして機能しています。そういったコミュニティがなくなってしまうのはあまりにもったいないと考えました。

 

 そこで高山先生の退職に当たり、どのようにしてゼミを残すのかを議論していく中で、高山ゼミの卒業生でもあり、以前代打でゼミを担当していただいたこともあった馬路先生にゼミを引き継いでいただけないかというアイデアが出ました。昨年8月ごろに馬路先生に打診してみたところ、前向きな返事をいただけたため、私たちとしても最も良い条件でゼミを残すことができました。

 

━━馬路ゼミの詳しい活動内容を教えてください

 

 先ほども簡単にお話した通り、活動は英文の雑誌・新聞記事に関する議論と論文の執筆から構成されます。高山ゼミ時代には英誌「エコノミスト」の記事のみを扱っていましたが、馬路ゼミではそれ以外の記事も扱う予定です。

 

 ゼミは金曜日に行われるのですが、その週の火曜日までに全ゼミ生が記事の感想、要約をまとめるとともに、その文章からどのような議論ができるかという「論点提示」を行います。それを基に各回の担当者が論点まとめの資料を作成し、授業では事前に出された論点に基づいたフリーディスカッションが行われます。

 

 論文の執筆については、全ゼミ生を「ガヴァナンス(統治・政策)」「メディア・コミュニケーション(媒体・情報)」「エシックス(規範・倫理)」という三つのグループに分け、各自が所属するグループのテーマに関連する論文の執筆を進めます。授業では毎回1人が自分の論文に関する報告を行います。

 

━━外園さんご自身が、高山ゼミで一番学びになったと考える点はどういったところでしょうか

 

 自分で論文を書く力がついた点かなと思います。高山ゼミ・馬路ゼミでは、ゼミ生全員がセメスターごとに1〜2万字程度の論文を書くことが課せられます。私自身大学に入るまで論文を書いた経験もなく、入学した1年前には、自分が1〜2万字の論文を書くことになるなんて想像もしていませんでした。授業のレポートなどで論理的な文章を書くスピードや、内容の深さが鍛えられました。他にも記事の分析を通じて情報取得能力や分析能力も身に付いたと思います。

 

外園駿さん(文Ⅰ・2年)

 

「駒場一の同志」と熱い議論を

 

━━所属している学生の科類や進路、関心分野の特徴を教えてください

 

 高山ゼミに所属しており本年度馬路ゼミに参加する学生は14人です。ゼミとしてはいろいろな関心を持つ学生を歓迎しているのですが、やはりゼミのテーマである国際政治・経済・社会に関心を持っている学生が多いです。そのため文Ⅰの学生の割合が大きいのですが、私たちとしては全ての科類の学生に門戸を開いているという点は強調したいです。

 

 進路についてはアカデミア、官庁、民間などさまざまです。確かに、東大生一般と比べるとアカデミアに進む学生は多いですが、際立って多いというわけではありません。

 

━━ここまでのお話を聞いていると、最初から国際情勢に関する知識が必要なのではないかと感じました。ゼミに入るための選抜や、入るに当たり必要なスキルを教えてください

 

 ゼミの選考は馬路先生が行います。4月8日の初回授業の際、関心のある現代的課題や関心を持った理由、その課題の背景にある原因などをまとめたA4・1枚程度の文書を提出してもらいます。その資料を基に馬路先生が面接を行い、ゼミ生を選抜することになります。

 

 スキルや前提知識は全く求めません。ただ、学びたいという意欲と、知的好奇心は持っていてほしいと思います。高山先生自身「小賢しい人よりも不器用でも意欲のある人、目の輝きのある学生が欲しい」とおっしゃっており、馬路先生もそのような方針は受け継いでいると思います。

 

━━外園さんが感じる、高山ゼミ・馬路ゼミの強みや、他のゼミとの違いを教えてください

 

 馬路ゼミは「駒場で最もハードなゼミ」をうたっています。活動内容でいえば他のゼミでも同じことができるかと思いますが、内容の密度の濃さや質の高さでいえば馬路ゼミが一番です。例を挙げると記事に関する議論では全ゼミ生が毎回精読を求められ、論文の執筆では自分以外の全ゼミ生から、自分の論文に関するフィードバックをもらうことができます。

 

 また、馬路ゼミの魅力には、コミュニティとしての側面も大きいです。馬路ゼミには政治や学問の話をすることがはばかられるような空気は存在せず、互いの関心領域を認め合って肩肘張らずに議論することができます。また学問に関係することにとどまらず個人的な相談事もできるような関係性で、まさに「駒場一の同志」を得ることができます。各ゼミ生の世界の捉え方が交差することで非常に大きい学びを得られるため、これほどのコミュニティはありません。

 

━━ここまで記事を読んでくれた、ゼミに興味を持っているであろう新入生にメッセージをお願いします。

 

 知的好奇心や熱意が尊重され、伸ばせる場が駒場には存在します。それが馬路ゼミです。大きなテーマの中で自分の突き詰めたいことを突き詰められる馬路ゼミにぜひお待ちしています。

 

馬路ゼミの新歓情報は公式Twitterから

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