硬式野球部(東京六大学野球)は9月13日、早大と開幕戦を戦い、3-6で敗れた。初回に2点を先制するなど中盤まで東大がリードする展開だったが、終盤に早大の強力打線が爆発した。(取材・撮影 吉野祥生、吉田直記)
東大 200010000|3
早大 11001003X|6
ついに秋季リーグ開幕 初戦は黒星
今年で100周年を迎える東京六大学野球の秋季リーグ戦が9月13日に神宮球場で開幕した。開会式では吹奏楽の演奏とともに各大学の選手がグラウンドに入場。4年生にとっては最後のリーグ戦となる。春の優勝校である早大主将の選手宣誓が残暑の長引く九月の空に爽やかに響く。開会式に続いて行われる開幕日第1試合は東大と早大の対戦となった。

1回表、東大は早大のエース・伊藤樹を早くも攻め立てる。2番・酒井捷(経・4年)が中前打で出塁すると、3番・杉浦海大(法・4年)が左翼席へ飛び込む2点本塁打を放ち初回に2点を先制する幸先の良いスタートを切った。1回裏のマウンドには春季リーグ戦でも開幕投手を務めた渡辺向輝(農・4年)が立つ。初回に2点の援護をもらった東大のエースは3日前にプロ志望届を提出したばかり。プロも注目する中、大学4年生としてラストシーズンの秋季リーグ戦でも開幕投手の重責を担う。しかし先頭の1番・尾瀬雄大に中前打で出塁を許すと二盗、三盗を決められ、4番・寺尾拳聖にライトへの犠飛を打たれて1点を失う。続く2回裏には早大の5番・前田健伸に右翼席への本塁打を浴び、同点とされてしまう。

2-2で迎えた4回裏の早大の攻撃。先頭の5番・前田に左中間を破る二塁打を打たれるも、続く6番、7番を打ち取り2死二塁に。8番・吉田瑞樹には申告敬遠をして9番・伊藤との勝負を選択。伊藤の放った打球は左前安打となりこの間に二塁走者は三塁を蹴って本塁へ突入。やや逸れた本塁への送球だったが捕手・杉浦がうまくランナーをタッチアウトにしてこの回も無得点に抑えた。東大は毎回走者を許す苦しい展開だったが、チーム一丸となって強豪早大相手に互角の戦いを繰り広げた。

5回表、東大は先頭打者の秋元諒(文Ⅰ・2年)が失策で出塁すると、続けてけん制が悪送球となる早大の失策も味方して2死三塁の状況に。この好機に9番・樋口航介(理Ⅰ・2年)がレフト線に落ちる適時二塁打を放ち1点を勝ち越す。しかし5回裏、渡辺は先頭打者に死球に与えてしまうと暴投も重なり1死三塁に。3番・小澤にはセンターへきっちり犠飛を打たれ同点にされてしまう。

7回裏、これまで毎回走者を背負っていた渡辺だが、持ち前のアンダースロー特有の浮き上がる球を活かして打者3人をすべてフライアウトで打ち取る。三者凡退に抑えたのはこの回が初めて。

3-3の同点で迎えた8回裏、早大の攻撃。これまで均衡していた試合が大きく動いた。1死から5番・前田が中前打を放つと早大は手堅く送りバントで2死二塁の状況に。2死にしてでも得点圏に走者を進める早大の戦略からも終盤における一点の重みが伝わってくる。これまで3打席凡退だった7番・石郷岡大成の放った打球はレフト三塁線側へ。左打者特有の逆方向への打球には強力なスピンがかかり、レフト・大原海輝(文・4年)も懸命に飛びついたがわずかに届かず。これが適時三塁打となり3-4に。続く8番・吉田には左中間スタンドへ2点本塁打を浴び、3-6と一気に突き放された。これが決勝点となり、東大は黒星スタートとなった。