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2023年3月7日

【寄稿】遂に開幕のWBC、一次リーグのヤマは韓国戦 東大→ソフトバンクのアナリスト齋藤周さん解説

 

 3月8日にWBCが開幕する。概要や見どころについて東大の卒業生でプロ野球・ソフトバンクでデータ分析を担当する齋藤周さんから寄稿してもらった。(寄稿=ソフトバンクホークス・齋藤周さん)

 

大会概要

 

 まずは今回のWBCの試合方式を見ていきましょう。今大会は、全20チームが4つのプールに分かれて総当たりで戦う1次ラウンドがあり、各プールの上位2チームがトーナメント形式で順位を決めていきます。

 

 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表する世界ランキングでは1位の座に輝いている日本代表ですが、直近2大会はいずれもベスト4で敗退しています。5回目の開催となる今大会では、第2回大会以来となる王座奪還を目指しています。

 

1次ラウンドの展望

 

 次は3/9から東京ドームにて開催される1次ラウンドについてです。日本代表はベスト8への勝ち残りをかけて、5チーム総当たりの1次ラウンドを戦います。日本の所属するプールBには、過去の大会で日本代表と数々の熱戦を繰り広げてきた韓国をはじめ、オーストラリア、中国、チェコが入っています。実力的には日韓の2強とそれを追う3カ国という構図になっているので、日本代表としては韓国以外との3試合は落としたくないところです。1位突破か2位突破かによってトーナメントの組み合わせが変わってくるため、韓国に勝って1位で突破できるか、というところが1次ラウンド最大の見どころとなるでしょう。

 

(図1)日本の所属するPool Bの5カ国

 

侍ジャパンのメンバー(投手編)

 

 今大会に出場する侍ジャパンのメンバーについても見ていきましょう。まずは投手編です。今大会の日本代表で最大の見どころは、なんといっても大谷翔平選手でしょう。大谷選手は史上初めて投手と打者の両方で出場選手登録されており、二刀流での活躍が期待されます。また今大会チーム最年長の36歳であり、今もメジャーで活躍し続けているダルビッシュ有選手にも注目です。代表経験も豊富であり、プレーの面はもちろんチームの精神的支柱としても重要な役割を果たすことになりそうです。投手では他にも、完全試合を達成して話題となった佐々木朗希選手や、昨年圧倒的な成績を残してオリックスを日本一に導いた山本由伸選手がメンバーに入っています。初めてのWBC出場となる若い選手たちが、世界を相手にどこまで実力を発揮できるかも楽しみな点です。

 

侍ジャパンのメンバー(野手編)

 

 野手に目を向けると、2022年の歴史的な活躍により「村神様」のニックネームが年間流行語大賞にもなった、村上宗隆選手が打線の中心となるでしょう。今年からメジャーリーグのレッドソックスに移籍した吉田正尚選手の活躍にも期待がかかります。さらに今大会はカージナルスでプレーするヌートバー選手も、母親が日本人であることから日本代表としてメンバー入りしています。日本のプロ野球に在籍した経験はありませんが、現役のメジャーリーガーがどんなプレーを見せてくれるのかに注目です。

 

ここに注目!

 

 ここからはWBCで個人的に注目してほしいポイントをご紹介します。まず1つ目の注目ポイントは、周東佑京選手です。今回の代表に選ばれたほとんどの野手メンバーが打撃や守備を強みとする中で、周東選手の武器は類稀な走力です。2019年に開催されたオーストラリアとの国際試合では、1点ビハインドの場面で代走として登場し、二塁と三塁への盗塁を決めた後に後続選手のセーフティバントで相手のタッチをくぐり抜け、見事にホームへ生還しました。今大会でも「なんとかして1点がほしい」という場面で、最後の切り札的な存在として起用されることが予想されます。したがって周東選手が登場したら、いよいよ栗山監督が勝負をかけてきたという意思表示と考えてよいでしょう。そのようなプレッシャーのかかる場面で、なおかつ相手にもマークされる中、周東選手がどんな働きを見せてくれるのか、ぜひ注目してみてください。

 

 2つ目の注目ポイントは、声出し応援の解禁です。コロナウイルスが拡がり始めた2020年からの3年間、日本のプロ野球では声出しによる応援が禁止されており、球場の熱気という点ではやや物足りないところがありました。しかし今回のWBCからはその制限がなくなり、現地だけでなくテレビ越しでもエキサイティングな観戦ができそうです。特に1次ラウンドの4試合と準々決勝は東京ドームで開催されるため、スタジアムに詰めかけたファンが一体となって日本代表に声援を送ってくれることと思います。選手たちのハイレベルな戦いを見るのはもちろん、球場の盛り上がりも感じながらWBC観戦を楽しみましょう!

 

(図2)日本代表の試合日程(1次リーグ)

 

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