受験

2021年3月14日

【東大不合格のその後】落ちたことへの「償い」がモチベに 他大学に進学した3世代にインタビュー①

 東大入試の結果が発表されて4日がたった。手にした合格を喜ぶ人がいる一方で、合格には一歩及ばず失意に沈む人もいるだろう。ここでは浪人と進学で迷う受験生や、他大学に進学した時の将来を不安に思う方に向けて、「東大不合格のその後」をお伝えしたい。東大に落ちて他大学に進学した3世代の方々に、その後の生活と不合格に対する心境をインタビューした。

(取材・松崎文香)

 

前田郁哉(まえだ・いくや)さん

2019年に理II、2020年に理Ⅰを受験するも不合格。同2020年に慶應義塾大学経済学部に進学した。

 

  東大受験の結果が出たときの状況や心境を教えてください

 

 現役の時は、本郷キャンパスで行われる合格者の受験番号の掲示を両親と兄と一緒に見に行きました。家族は受かっていると思っていたようで、番号を探す僕を父がビデオカメラで撮影していました。残念ながらあと1点足らず不合格だったので、僕が「(自分の受験番号が)なかったわ」と言って顔を歪めるシーンが収められています(笑)。東大は掲示板での発表の30分前にウェブサイトで合格者の番号が発表されるので、多くの人は受かったのを確認した上で来ているんです。僕たちは一生に一度の瞬間だから、と結果を見ないまま向かったのがまずかったですね。周囲の喜びの声を聞いたり、合格者と勘違いされてアメフト部に勧誘されたりするのが辛かったです。

 

 その日のうちに浪人を決めて、予備校で1年間勉強しました。現役の時には取れなかったA判定やB判定が模試で安定して取れるようになり、友人にも恵まれたので精神的には落ち着いて過ごせました。ただ、今考えるとそれが慢心に繋がったのかもしれません。以前から成績には波がありましたが、2年目も不合格となってしまいました。

 

 2年目で辛かったのは、予備校の友人で東大に落ちた人がほとんどいなかったことですね。一緒に勉強していた仲間は皆受かっているのに「なぜ自分だけ」という思いが強かったです。両親はもう1年浪人してでも東大を目指して欲しかったようですが、東大から送られてきた入学試験の得点開示を見て、実力が足りなかったのだと自分の中で納得できました。精神的にもう1年勉強するというのは難しかったので、既に合格していた慶應義塾大学に進学することを決めました。

 

  慶應義塾大学に進学されてどのような学生生活を送っていますか

 

 大学では小学生の頃に始めたアイスホッケーを中学生ぶりに再開しました。体育会に属するチームに参加しており、リーグ戦優秀選手を集めたオールスターゲームでは優秀賞を受賞しました。その他にも長期休みには所属するダイビングサークルで上級のライセンスを取得したりと、課外活動に励んでいます。

 

 それでも東大に通う友人と話したり、メディアで東大が取り上げられているのを見たりすると、自分はその場に立つことはできなかったのだとやるせない気持ちになります。

 

  仮に東大に進学していたら、大きく違っただろうなという点はありますか

 

 理Iに入っていたら経済の勉強はしていないでしょうね(笑)。英語の資格試験を受けたり企業の情報を集めたりといった、就活への取り組みも今ほど熱心にすることはなかったと思います。「落ちたことへの償い」がモチベーションになっているというか。親に対しても結果を出せなかった申し訳なさがあるし、東大生じゃない自分には「何か光るものがなければ」という焦りもある。東大に入学していたらそれで満足していたと思うので、不合格がプラスに働いている面もあるのかな。

 

  今年東大に合格した人と不合格になった人、それぞれに向けてメッセージを

 

 受かった人には「君たちは凄い!」と言いたい。自分には成し遂げられなかったことなので。後は、君たちの合格の陰で入れなかった人もいるということも知っておいてほしいです。いやー、羨ましいなあ(笑)。

 

 不合格になった人には「その気持ちは痛いほどわかる」ということをまず伝えたいですね。他大学に進学する人は、本気で目指していた人ほど東大という手に入らなかった物の大きさを感じるかもしれない。ただ僕は落ちた時「これで人生終わりだ」と思ったのですが、今もなんとか生きてはいけている。そこは今の予想と違うと思いますよ。

 


第2回は文Ⅲに不合格となり早稲田大学法学部に進学・卒業され、現在は大学院で法律の研究にいそしむ春藤優さんにお話を伺います。

 

【関連記事】

【東大不合格のその後】合否は大学生活のプロローグ 他大学に進学した3世代にインタビュー②  

【東大不合格のその後】不合格は人生の分岐点 他大学に進学した3世代にインタビュー③

TOPに戻る