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2016年8月20日

7泊8日で政策を練る政策立案コンテスト 子供の就学前成育環境に「学生」が向き合う

 18歳選挙権の下での初の国政選挙が実施された今、若者の政治参加の在り方を考え直す機会が増えている。若者、特に学生と政治との関わりは今後ますます活発化していくことだろう。

 

 学生と政治をつなぐイベントが18年間にわたって毎年夏に開催されている。それは「学生のための政策立案コンテスト」だ。コンテストは学生団体GEILが主催しており、今年は8月22日から29日まで、7泊8日の合宿形式で実施される。参加者の定員は80人で、今年は定員の約3倍に及ぶ応募者の中から、課題文などの審査を経て選抜された。専門家による基調講演や官庁訪問、実際に政策を作る立場の人々から話を聞くフィールドワークを経て、参加者は4人1組のチームで自らの政策を作り上げていく。そしてコンテストでの優勝チームの政策案は、実際に各官庁へ提言される。

優秀政策を提言する昨年の様子(写真はGEIL提供)
優秀な政策は実際に提言される(写真は昨年の様子、GEIL提供)

 

「学生のための政策立案コンテスト」

 「女性の就業に関する政策プログラム」「日本社会の構造的変動を考慮した農業政策」──。これらはいずれも「学生のための政策立案コンテスト」で過去に扱われたテーマだ。就業政策から農業政策まで、コンテストで取り扱われるテーマは多岐にわたる。

 

 今年のテーマは「子どもの就学前成育環境デザイン」。小学校入学後、放課後などに子どもを委託する施設が限られてしまい、育児と仕事の双方に支障が出てしまう状況を指す「小1の壁」と呼ばれる言葉がある。この言葉に象徴されるように、就学前の成育環境というものには、議論がなされるべき問題が多く存在する。待機児童問題や里親制度の課題、虐待問題──。コンテストでは学生特有の視点を組み込んだ政策が作り上げられ、ぶつかり合う。

昨年のコンテスト政策立案の様子(写真はGEIL提供)
昨年のコンテスト政策立案の様子(写真はGEIL提供)

 

学生と政策のつながり

 「政策」と聞いたときに思い浮かべるのは、政治家や官僚だけが関わっていく、人々にとって遠いものといったイメージではないだろうか。そんな「遠い」政策に学生が携わっていく意義はどこにあるのだろうか。

 

 現代社会が掲げる数々の問題を解決するためには、まずはそれぞれの問題の現状分析を行う必要があるだろう。ただ、この現状分析は、問題解決に至らない単なる抽象論に陥る可能性を持っている。

 

 コンテストを主催する学生団体GEILの中でイベント設計を担当するケース局の荒木克仁さん(文Ⅰ・2年)は、政策は公の意見とそれを立案した個人の経験や考えが色濃く反映されるものだと説明する。抽象論を個々人の経験を踏まえて具体論へと変換し、諸問題の解決に向けての糸口にしていくもの、それが政策なのだ。

 

 GEIL代表の田本英輔さん(文Ⅰ・2年)によると、政策は「政治における未来の設計図」。現在の学生が作る政策は、彼らが社会を引っ張っていく世代になったときに彼ら自身に影響していくものである。この点で、学生と政策は互いに深く関係しているのだ。

 

学生団体GEILとは

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 GEILは1999年に設立され、以後18年間にわたって「学生のための政策立案コンテスト」を主催してきた。関東圏の学生によって組織されており、現在はおよそ100人の学生が所属している。彼らは大学入学後からおよそ1年半の任期で活動を行っており、活動の質を向上させるため、週に1度の全体ミーティングを実施している。

 

 組織は、代表と副代表の他に四つの局に分けられる。イベントの運営を総括する運営局、団体外部との関係構築を担当する渉外局、各イベントの内容を構築するケース局、そしてGEILの価値と魅力を社会に発信する広報局だ。

 

 彼らが理念として掲げているのが「政策立案を通して学生と政治をつなぐ」ということ。GEILとはドイツ語の単語であり、英語のGreatに当たる。学生であっても高いレベルの政策を立案したい、という思いが込められているという。

 

 今年のコンテストではどのような政策案が作り上げられるのか。参加する学生はどのような思いでコンテストへ臨むのか。東大新聞オンラインでは、実際のコンテストの様子を追っていく。

 

(取材・石井達也)

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