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2022年12月5日

【東大新聞×KADOKAWA】東大生ミステリ小説コンテスト・大賞受賞者インタビュー!

 

 今年8月にかけて作品を募集し、10月に受賞作が決定した「東大生ミステリ小説コンテスト」。大賞に輝いたのが、浅野皓生さん(法・3年)による作品「殺人犯」だ。とある医師が意図的に患者を殺したとする告発文を起点に、東大の学生メディアの記者である主人公が謎を追う本作は、満場一致の高評価での受賞となった。法学の知識も活かしたこの作品を、浅野さんはどのように書いたのか。受賞後に本人に話を聞いた。

(取材・佐藤健、撮影・高橋祐貴)

 

「殺人犯」あらすじ

東大のウェブメディア・「UTディスカバー」で記者を務める学部2年生の橋部は、弁護士を辞めて医師になった東大の卒業生・伊田を取材する。伊田が医師になった理由の背後に不穏なものを感じながらも記事をまとめる橋部。記事公開後、部室には「伊田智ハ人殺シノ医者ダ。記事ヲ即刻削除セヨ。」という告発状が届く。果たして、伊田の過去に何があったのか、人殺しとはどういう意味なのか——。

 

 

──賞に応募しようとした理由は

 

 UT-BASEのLINEで賞の存在を知りました。日頃からスマホに小説などのネタをメモしているのですが、去年の夏ごろに思い付いたアイデアを使う良い機会だなと思って応募しました。1カ月くらいで書きましたね。イギリスへの短期留学の時期と被っていて、時間がなく大変でした。内容もですが、字数を超過してしまい、削るのが難しかったです。

 

──小説は何歳ごろから書き始めましたか

 

 小学生の時に先生に褒められたことがきっかけで書くようになりました。中高時代は文芸部でした。ミステリーが好きで、中3の頃『このミス』大賞に応募したこともあります。当時は小説家になりたいと思っていました。大学入学後は小説を書くつもりはなかったのですが、授業の自由課題で小説を書いたところ高評価を頂き、また書くようになりました。その後もミステリー以外の賞に何度か応募はしていました。

 

──作品に込めたメッセージは

 

 自分としては特にメッセージを込めたつもりはありません。書いてみたら社会的な内容を扱ったものになったという感じですね。以前、銀杏並木文学賞という学友会が主催する賞に出した作品には強いメッセージを込めたのですが、選評で描きこみが足りないと言われ、メッセージを伝えるために登場人物やプロットを動かしていたなと反省しました。なので、今回はメッセージではなく、あるアイデアを基に、人物の心情に沿った展開を意識して書きました。その結果、プロットでは想定していなかった結末が加わっています。地の文は語り手が変わらないため、作者の恣意性が入ってしまったり、同じような表現が続いてしまったりするので苦労しましたね。

 

──受賞が決まった時の気持ちは

 

 うれしかったです。他の事も忙しく、ぎりぎりで書いたこともあり、結果はあまり期待していなかったです。もうそろそろ結果発表かなと少し気にしていたら見慣れない人からメールが届いたので、びっくりしました。

 

──影響を受けた作家や作品は

 

 ドラマ「相棒」です。全シリーズ見ていて、並大抵の影響ではないと思います。他の刑事ドラマも見ることが多いですね。小説だと宮部みゆきさんの現代ミステリーの大ファンです。横山秀夫さんや堂場瞬一さんの警察小説も読んでいました。今は、ミステリーよりも法哲学などの学術書を読む機会が増えました。

 

──今後の抱負は

 

 これからどうなるのかは全く分からないのですが、書きかけの長編小説があるので、世に出るかなど関係なく、完成させたいです。ミステリー以外でもいろいろと書きたいですね。そして、身の程をわきまえずに言うと「相棒」の脚本を書けたら本望です。

 

浅野皓生(あさの・こうせい)さん(法・3年)

 


今回の受賞作「殺人犯」は、加筆修正の上、来年KADOKAWAより刊行予定のアンソロジー単行本に収録される予定です。お楽しみに!

 

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