キャンパスライフ

2023年11月18日

駒場祭委員会渉外局・環境局に迫る 人と人とのつながりを大切に

 

 

 4年ぶりに入構制限・飲食物提供制限なしで開催される駒場祭。協賛企業や来場者が増加し、去年以上の盛り上がりを見せることが予想される。駒場祭を運営する駒場祭委員会は、企業などの外部の組織とどのように交渉・連携しているのだろうか。また、当日のごみ問題に対しどのように対応しているのだろうか。駒場祭委員会渉外局長の吉田美涼さん(文I・2年)と環境局長の五十嵐佳祐さん(理I・2年)に話を聞いた。(取材・赤津郁海)

 

渉外局 駒場祭をより豊かに

 

 駒場祭は毎年多くの企業の協賛を受けて開催される。駒場祭委員会の中でも、企業協賛を取りまとめるのが渉外局だ。準備期間を中心に活動し、企業の協賛や個人賛助のための交渉を行なっている。1年生、2年生がそれぞれ11人在籍しており、2年生は広告協賛と物品協賛、個人賛助の担当に分かれる。企業への電話やメールなどは高校生までに経験したことがない人がほとんど。そのため、新入生向けの講習会を開いてビジネスマナーなどを一から教える。渉外局は駒場祭自体の説明をする機会が他の局より多い。駒場キャンパスの散歩などを行い、駒場祭全体の理解が深まることを意識して1年生の育成に努めている。

 

電話で交渉する様子(写真は駒場祭委員会提供)
電話で交渉する様子(写真は駒場祭委員会提供)

 

 地域交流の取りまとめを行うのも渉外局の仕事だ。駒場祭は地域の人からの多大な支援により成り立っている。例えば、駒場祭当日の委員のお弁当の一部は地域のお店に発注したものであり、当日の混雑も地域の人々は受け入れてくれている。お世話になっている地域の人々への恩返しとして、駒場祭委員会は地域のお祭りへの参加・手伝いなども積極的に行っている。

 

 去年に比べ、さらに開催規模が大きくなった今年の駒場祭。より多くの広告協賛、物品協賛が求められるが、協賛に対し興味を持つ企業が増えた一方、撤退する企業も増えたという。昨年協賛してくれた企業に改めてお願いを出すのはもちろん、新たな企業にもアプローチする必要があった。委員それぞれのアイデアを大切に、少しでも可能性がある企業にはどんどんアプローチをした。去年も新しい企業のリストアップ自体は行ったが、あまり協賛に結び付かなかった。今年はこの反省を踏まえ、新しい協賛企業について検討を行う作業会を開くなど、時間をかけたことで新しく協賛に結び付いた企業が増えた。

 

 渉外局はメールの送信や封筒への書類封入など単純作業が多い。企業に合わせてメールの文面の細かいところまで変更し、データのチェックも隅々まで行う。お金や物品が関わる仕事であるため、一つのミスが命取り。企業に失礼があっては、駒場祭委員会全体の信用が失墜してしまう。

 

 やりがいは、人とのつながりを強く感じられること。たとえ協賛に結びつかなかったとしても、温かい言葉やねぎらいの言葉をかけられると心が温まる。「局長になってみて、改めて全体を見てみると、多くの人に支えられて駒場祭が成り立っていることに気が付きました」

 

 「渉外局は駒場祭を支える立場であり、地道な作業も多いけれど、すごく楽しい仕事です。多くの人の思いが詰まった駒場祭をより豊かなものにできるように頑張っています」

 

渉外局長 吉田美涼さん(撮影・赤津郁海)

 

環境局 駒場祭を無事に終えるために

 

 環境局は駒場祭で出るごみの回収、処理、業者への引き渡しを担当する。駒場祭当日、来場者のごみを回収するごみステーションと企画からのごみを収集する集積場でのごみの回収、分別の呼び掛けが主な業務内容だ。現在、1年生が15人、2年生が11人在籍する。新入生の育成で一番大切にしていることは駒場祭当日の活動。「委員が最も成長できるのは当日の3日間です。実際、私もそうでした」

 

集積場の案内(写真は駒場祭委員会提供)
集積場の案内(写真は駒場祭委員会提供)

 

 環境局は「えこプロジェクト」の担当でもある。「えこプロジェクト」は来場者に向け、駒場祭の環境対策を周知させる企画。環境問題が世界的な関心となっている今、駒場祭の開催においても環境に配慮すること、それを周知していくことは重要だ。毎年内容は変えており、ごみステーションの近くにスタンプ台を置いて来場者に巡ってもらうごみすてラリーや、公式ウェブサイト上で分別を楽しく学べるクイズなどを実施している。

 

 今年の駒場祭は入構制限・飲食物提供制限なしで開催されるため、ごみの量の増加が大きな懸念材料である。制限下にあった去年でも飲食物提供企画の近くのごみステーションは混雑したという。今年はその混雑がキャンパス全域で起こるかもしれない。ごみステーションが混雑して待機列が長くなり過ぎると、ポイ捨ての発生につながったり他の企画やキャンパス内の移動に支障を来したりする可能性もある。混雑の緩和のために、ごみステーションの一方通行化、分別の迷いをなくすためのパネルの制作など工夫を凝らしている。

 

 環境局の委員は体力が必要になる。駒場祭の分別法は家庭のものよりも細かく、間違いも多い。細かい注意点はごみステーションの脇に委員が立って口頭で呼び掛けている。当日の公開時間が終わった後、各企画からのごみの回収が始まる。再分別の呼び掛けを行うことも多く、夜遅くまで作業が続く。駒場祭委員会の片付けもあり、ごみを全て業者に引き渡し終わるのは翌日の朝になるという。「環境局は元々、駒場祭を無事に終わらせるために存在します。当日期間は大変ですが、業務が全て終わり元の駒場キャンパスに戻った時には、なんとも言えない達成感があります」

 

 「駒場祭の運営は、全員がやりたくてやっているもので、人と人とのつながりがとても大切になります。私が駒場祭に対して愛を持ち続けているのは仲間の力のおかげです。仲間と何かを目指して一緒に頑張ることはとても楽しいことです」

 

環境局長 五十嵐さん
環境局長 五十嵐佳祐さん(撮影・赤津郁海)

 

テーマ 「あそびがみ」

 

 今年の駒場祭のテーマは「あそびがみ」。祭りは「なくてもいい」からこそ、代えることのできない魅力を持つ。人生をほんの少し豊かにするような祭りを、ここ駒場につくりたい。そんな意味が込められたテーマに対する2人の思いを聞いた。

 

 「極論ですが、たとえ渉外局がなくても駒場祭の実行は可能で、その意味ではあそびがみ的存在かもしれません。ただ、渉外局があることで来場者に喜びを与え、より豊かな駒場祭の実現に貢献していると考えています」(吉田さん)

 

 「あそびがみとは、必要性に駆られたものではないが、ほんの少し人生に豊かさを添えるもの。環境局は駒場祭の実行には欠かせない存在であるという自負があり、むしろあそびがみとは逆の存在なのかもしれません」(五十嵐さん)

 

 4年ぶりに入構制限・飲食物提供制限なしで開催される駒場祭。ぜひ来場して「あそびがみ」的な豊かさを過ごしてほしい。そして、その豊かさをつくり上げるのに欠かせない駒場祭委員の活躍にも注目してみてほしい。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る