東大の前期教養課程では文理問わず幅広い授業を受けられるリベラルアーツ教育が行われている。ここでは文科理科ともに一定以上の単位数が要求される「総合科目」を取り上げる。総合科目は各講義が取り扱う分野によって七つの系列に分類される。今回はその中からD〜Fの三つの系列の、記者おすすめの講義を紹介する。これを読んで前期教養課程の履修を想像してみよう(授業の担当教員や扱うテーマは年度によって変わることがある)。(構成・山本桃歌)
D系列(人間・環境)「社会システム工学基礎I」田尻清太郎准教授
皆さんは「建築」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。「建築学」と一言に言っても扱う範囲は意匠や構造だけではなく、材料、歴史、音や光など多岐にわたる。毎回異なる講師が講義を行うオムニバス形式の本授業では、さまざまな視点から建築やまちづくりに関する研究内容や現在の課題について学ぶ。東大の教員だけではなく、官民問わず建築を扱う現場で実務に就く人の講義も聴けるため、実際の住宅設計や都市開発、現場で使われる最新技術について知ることができ、建築学と社会、そして自分の生活との思いも寄らぬつながりを発見できる。普段の生活と切っても切れない建築。幅広く奥深いその世界を垣間見ると、いつもの景色の見え方が変わる。建築や人の生活文化に興味がある人におすすめの授業だ。
E系列(物質・生命)「現代生命科学I(文科生、理一生)」矢島潤一郎教授
「生物は暗記教科である」という誤解があなたの中に芽生えつつあるのなら、ぜひこの授業を受けてほしい。高校生物までで学んだことをただの単語の集合として覚えているだけではもったいない。原理・原則を理解し「生命とは何か」を考える足掛かりとしてこそ、我々人間がいまだ再現できない生命の奥深さと向き合えるだろう。
本講義は主に文科生に向けて開講される。感染症対策や食糧問題等の生物学的な社会課題を科学的に議論するための、生命科学の初歩的な知識を習得することを目指す。今日では理解が欠かせないゲノム編集に加え、コロナ禍で関心が高まったウイルスや細菌が引き起こす感染症と免疫の関係などを扱う。遺伝やエネルギーについて理解しイメージできるようになることで、生命の動的な一面が見えてくることが魅力だ。
F系列(数理・情報)「アルゴリズム入門(文科生向け)」森純一郎教授、山肩洋子教授
文理を問わず現代社会の基盤を支える「アルゴリズム」は、「どう考えるか」という問題解決の設計図そのものだ。本講義は、特に文科生のために、プログラミング学習を最小限に留め、この設計図の基本概念を習得することを目指す。もし共通テストの「情報」が得意ならば、内容は非常に馴染みやすいだろう。講義ではプログラミング言語Pythonを使い、データの分類やシミュレーションに挑戦する。発展課題の「ライフゲーム」は、単純なルールから複雑な生命の動きを再現する、示唆に富んだ楽しいテーマだ。この授業で、論理的な思考力を鍛えるだけでなく、現代の情報社会の本質を見抜く力を養うことができる。コンピュータは苦手でも大丈夫。「なぜ?どうやって?」を追求したい、すべての文科生に開かれた有益な授業だ。












