COLUMN 2020年4月8日

【東大ミス・ミスターコン、そろそろ辞めません?③】過去の出場者のホンネ

 2019年駒場祭で上がった、東大ミス・ミスターコンテスト開催への反対の声。だがそのコンテストの中核には学生生活の約半年間を懸けて参加する10人の東大生がいる。過去のファイナリストたちは「ミスコン&ミスターコンを考える会」の意見についてどう考えるのか。(全4回)

(取材・武沙佑美)

 

「今後も開催してほしい」

 

 近年のファイナリストたちは、反対の動きについてどう考えているのか。東京大学新聞社が意見を募ったところ、過去のミス・ミスター各4人から回答を得た(下図)

 

 

 コンテストに出場して良かったかを聞くと、全員「良かった」と答えた。理由としてはさまざまな人と関わり世界が広がった、セルフブランディングや自分磨きをする機会となったなど、経験の貴重さが多く挙がった。

 

 次に「ミスコン&ミスターコンを考える会」の意見を読んでもらった上でコンテスト開催の賛否を聞いた。6人は「賛成」で、「どちらかというと賛成」「わからない」が1人ずつだった。コンテストのエンタメ性や主催者と出場者、応援する人の思いを重んじる意見が複数出た一方で、反対派の提示する懸念やコンテストの影響力を疑問視する声もあった。

 

(参考)過去のミス・ミスター8人の回答

 

(質問)ミス・ミスターコンテストに出場して良かったと思う理由を教えてください。

 

<ミス1>

単純に楽しかった
世界が広がった
大学生活がかわった

 

<ミス2>

視野が広がる、自分がどういう人間なのか発信を通じて向き合えるようになった

 

<ミス3>

様々な経験をすることができたから

 

<ミス4>

(非公開を希望のため、掲載を見送りました。)

 

<ミスター1>

ミス・ミスターコンには人それぞれの想いをもって出場されています。私自身ミスターになることで生まれたご縁も多くあり、そのつながりは現在の仕事でも大変大きな要素を占めています。そうした縁を作ることのできたミス・ミスターコンには大変感謝しております。

 

<ミスター2>

視野が広がりました。もともと出場前は、開催に反対とは言わないまでも、言ってしまえばルックスの人気投票のコンテストだと思って好ましくは思っていませんでした。しかし、ちゃんと見てもいなければ出場もしていないのにそのような批判をするのはどうかと思い出場を決めました。今では出場前の自分の考えはかなり視野が狭かったと思います。外見にしろ内面にしろ結局はそれぞれの好みの問題であり、コンテストの醍醐味は自己プロデュース力なのかなと思います。2019年はは特にコンテスタントの多様性がありましたし、見ている側も学園祭の催しとして楽しんで頂けたのかなと思っています。

 

<ミスター3>

確実に人生で二度味わうことはできない1年間だったから。良くも悪くも様々な人と関わることができて、自分の人生の知見が広がった。また、自身のPRのために、どうやってSNSを運営していくか、マーケティングに近い能力が付いた。

 

<ミスター4>

自分磨き(特技をつくる、ツイートの内容の工夫、パフォーマンスの練習など)、精神力(SNSの誹謗中傷、知り合いなどからの評価に耐える)、さまざまな人との出会い。

 

(質問)あなたは、ミス・ミスターコンテストの開催に賛成ですか、それとも反対ですか。そのように答えた理由を教えてください。また、「ミスコン&ミスターコンを考える会」の主張に対してご意見等ございましたら、併せてお聞かせください。

 

<ミス1>

賛成。こんなこと考えてる人がいるんだなとびっくりです。そうしたら容姿を売りにしている芸能人などの職業は全部アウトということなのかな。ドレス屋さんのカタログとかも??(男女ペアになって歩くのはドレスの協賛会社に指示されていることだと思います。)わたしはそこまで細かく気にするタイプではないのでなんとも思わないし、興味がなかったらそもそも見ないので何の感情もわきません。

 

<ミス2>

賛成。自分の人生を自分で切り開きたい人にとっていい機会だと思う。ミスコン自体は表面的な美の闘いだけではないと思う。

 

<ミス3>

わからない。コンテストへの参加は自由意志で決まる。開催そのものが主張で挙げられている異性愛の規範を強制したり、容姿での理想の姿を非参加者に強制したりすることはないはずである。参加者が非参加者に対して、また、投票者や賛同派が非参加者や反対派に対してコンテストと同じようなルールや判断基準を適応した例があるなら別だが、そのような例はあまり聞かない。また、意思に反して参加させられた(主張のような「容姿で判断される場」に出場させられた)例を聞かない。最後の協賛の部分に関しては賛同するが(商業主義からは自由であるべきと思う)、ルッキズム、差別を「コンテストの開催」や「参加」が助長しているかという点に関しては疑念を拭いきれない。

 

<ミス4>

(非公開を希望のため、掲載は見送りました。)

 

<ミスター1>

賛成。

・開催について
あくまでエンターテイメントだと考えています。それぞれの思いはあるにしろ、学園祭のメインイベントとして盛り上がっていることは良いことであり、開催には賛成です。問題がニュースで取り上げられることもありますが、準備していただいている関係者の方々、半年以上本番のために努力してきた出場者たちはみんな本気です。その気持ちは尊重してあげた方が良い。

・否定的な意見に対して
それぞれの言い分はあると思います。公に出るコンテスト、かつ世間的注目度の高い東大の性質上仕方のないことで、ただ楽しいだけでなく否定的な意見は必ず出ます。毎年と言っていいほどネットでも誹謗中傷を受けます。SNSの時代では一部の意見が世間すべての意見のように広まってしまうので、そうした声に冷静に対処し、決めたことは何を言われようとやりきるべきだと考えます。ただ、駒場祭のルールから外れているかどうかについては一個人としては意見できるものではないので、ルールや目的はしっかりと順守するか関係者で話し合うしかないと思います。これからも参加される皆さんを心から応援しております。

 

<ミスター2>

どちらかというと賛成。

・絶対必要ではないという意味で「どちらかというと」
・当該団体の主張は、開催を中止する積極的な理由にはならないと思う
[以下、当該団体の主張が開催中止の積極的な理由とならないと思う理由]
ーグランプリがステレオタイプだったところで、ステレオタイプ以外が否定されるわけではない。リンゴを描けと言われて赤いクレヨンを使うことがリンゴは全て赤いと主張するわけではないのと同様に。
ー現行のコンテストの形式で多様性を認めることは可能。例えば千葉大のミスコン出場者が志願してタキシードを着用した例がある。
ー協賛企業については駒場祭委員の認めるところであるから現状問題ないのではないか(コンテスト台本などは駒場祭委員と入念にすり合わせてあると聞いた)
 
論理とかではなく個人的な感情で意見するならば
・学園祭の催しとしてはおもしろいからいいのでは
・何事にも不快感を覚える人はいる。「不快感を覚える人がいるから」という理由での自粛するムードは加減の問題なように思う。もちろんデリケートになる必要はあるが
・例えば過去に「東大狩人の会』にヴィーガン団体が抗議した例があるそうだが、それと似ている
・今の状況は「批判しやすいものを批判する」という構図にみえる。「これは差別だ」という主張に対する反論は、本当は「これは差別だとは言い切れない」であるが、悪意あるいは無知をもって解釈されると「これは差別ではない」という断定として解釈され、差別主義者のレッテルを貼られかねない。これは批判される側が不利な構図だといえる。
→この部分はこの問題を考える上で常々危惧していたことであります。どうか編集におかれましてはミスコン支持側に差別主義者のレッテルが貼られてしまわないよう慎重な言葉遣いや読者への注意をしていただけると幸いです。
 
当該団体への意見
・「考える」という程をとりながら、実際は開催中止を求める主張に終始してしまっているように思う
・開催中止という結論ありきで主張をなさるため、弁証的な解決の道が閉ざされてしまっているのではないか
・主張自体は今の時代にあって「考える」必要が大きい内容だと同意する。なので結論を急がず慎重な議論がなされることを願う
 
<ミスター3>
 
賛成。

・コンテストを通じて、幸せになる人が想像よりたくさん居るから。

自分も出るまでは、なんとなくミスミスターとして活動して、学祭での発表を待つだけ、と思っていました。しかし、参加者の自分自身が応援してもらって、幸せになるのはもちろんですが、家族や友人も想像より応援してくれ、結果が出たときには喜んでくれ、また、活動を通じて知り合った応援してくれる人たちも、毎日自分の活動や気持ちを発信していくことで、本当に喜んでくださりました。ここで、この応援してれている人たちも幸せになっています。自分も含めてですが、普通に生きていたら得られなかった可能性が高い活躍の機会が得られます。テレビに出たり、雑誌に出たり、それによって新たな人生の道が開けました。

 

<ミスター4>

賛成。

・容姿の評価と言うが、順位に関しては違うところもある。受賞の基準はブラックボックス。ウェブ票と当日票の重みの違いなど、一切明かされない。順位は研究会の人が決めているのではといまだに少し疑っているくらい。「組織票」で決まる部分も結構大きい。例えば人数の多い大きなサークルや全力で応援してくれるクラスに入っていると、ウェブ投票したりパンフレットの応募券を買ってくれたりする人が多い。あとは自己投資、例えば自分のお金でパンフレットをたくさん買って自分に票を入れることで勝つこともできる。自分が出場していた当時は、10~20万円あれば(自己投資すれば)逆転できると言われていたが、年々勝つための費用が上がっているらしい。つまり順位に関しては、容姿はあまり関係ない。

・審査の基準は明確にしてほしい。出場者側も何を目指せばいいかわからない。

・「考える会」の言う「規範」:スポーツ、勉強でも一緒。容姿については、芸能界の方がよほどそう。規範を抽出することによって(容姿コンテストの面を)悪く浮き彫りにしている、印象操作ではないか。

・東大という場でやることについて:やることは、表現の自由では? 出場者は、募集があったイベントに参加し一番になりたいという思いで参加している。あまりこの問題については考えたことがない

・代替案として、(性別の枠がない)人間コンテスト、外部でやる、などの案については、それだったら自分は参加しないと思う。出場の目的は自分を高めることであり、それが達成できるかどうか。

・ミスコンは認知度も低く大したことがない、容姿よりも組織票などだし、それで規範がどうのこうのというなら、芸能界を批判するべき。

 

 

【関連記事 東大ミス・ミスターコン、そろそろ辞めません?】

【東大ミス・ミスターコン、そろそろ辞めません?①】今、ミスコン開催の是非が問われる理由

【東大ミス・ミスターコン、そろそろ辞めません?②】ミスコン反対の声に、主催者の反応

【東大ミス・ミスターコン、そろそろ辞めません?④】専門家は論点をどう見る


この記事は2020年4月7日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:新型コロナ 全部局対面型授業取り止め 不要不急の外出自粛を要請
ニュース:早大と協定締結 「日本の変革加速を」
ニュース:Society5.0 共同研究の成果を発表
ニュース:東大の足元は今④経営 より柔軟な経営へ 法人化以降の歩みをたどる
ニュース:駒場祭、ミス・ミスターコンを考える
企画:ミス・ミスターコンを問う
企画:ジェンダー教育を考える 価値観の違い乗り越え共存へ
研究室散歩:@技術経営学 坂田一郎教授(工学系研究科)
東大CINEMA:『一度死んでみた』
キャンパスのひと:上田開さん(文Ⅲ・2年)

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