就活

2014年4月25日

「仕事と生活、どっちが大事?」AERA記者・現役女子大生・育メンの三人が教える、ワークライフバランスの実態

将来の自分の姿を想像した時、多くの大学生が持つ疑問、それが「自分は仕事と生活、どちらを大事にしていくのだろう」という疑問ではないだろうか。定年までバリバリ働き続けたい、子供ができたら息子とキャッチボールがしたい、育児を終えたら仕事に復帰したい。だがそんな願望を持っていても、それが本当に会社で実現できるのか。悩める大学生のために、朝日新聞メディアラボとschooが授業を行った。

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3月27日、朝日新聞メディアラボ×schooの第一回授業配信が行われた。

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初回のテーマは「就活前に知っておきたいワークライフバランス」。これから就職活動を始める大学3、4年生に、企業におけるワークライフバランスの実情を少しでも知ってもらい議論してもらおうという企画だ。「先生」となるのは自称「育メン」でメディアラボの竹下さん(写真右)、AERAの記者で2児の母である小林さん(写真中央)、上智大学の新三年生である槇さん(写真左)である。この授業の特徴は、3人がトピックについて語り合いながら、ネット上で受講者の声をリアルタイムで汲み取りながら進めていく点だ。アンケートや意見、疑問をその場で三人がチェックし議論に繋げていく、いわゆる参加型授業となっている。

まず一つ目のトピックは、「仕事と出産の両立」について。大学生でこれから就職活動が始まる槇さんは、「今まで勉強など頑張ってきたと思っているので、いい仕事がしたいなと思います。でも、もし行きたい企業に行けたとしても、出産や育児でキャリアアップができないかもしれない。一回仕事を辞めてから、もう一度働けるスキルがその時自分に身についているか自信が無いし、そう考えると頭の中がぐしゃぐしゃしてしまいます」と不安を語った。小林さんは、仕事と出産の両立を考えた時、大切になるのは職場の理解や家で仕事ができるかどうかだと言う。さらに周囲の環境、例えば実家が近いか、夫が育児に協力的か、近所に信頼できる人がいるか、など様々な要素も話にあがった。

二つ目のトピックは、「男性のホンネ」。男性がパートナーに対して何を求めているか、その本音をアンケートから読み解くというものだ。35歳から54歳までの男性に対し、「育児・家事と収入、どちらをパートナーに求めるか」聞いたところ、パートナーには家事や育児に専念してほしい、という意見が61%という結果が出た。これに対し槇さんは「だったら私達は大学とか行かないで、家事とか勉強した方がいいってことになるんですかね…」とコメント。受講者の反応も「結局女は社会に出るな、ということになってしまいますよね」と女性陣はシビアな結果にショックを受けているようだった。

三つ目のトピックは、「専業主婦」。受講者の意見で、世界と日本の家庭事情の違いをもっとメディアで報じてほしい、というものがあった。家事=女性がするもの、という構図は日本特有なのかという議論の中で、女性側の問題として家事を夫に任せたとき、夫の雑さに文句をつけてしまいその後に繋がらないという問題点も出た。そこで竹下さんが「確かに、せっかく手伝ってやってるのになんだよ、とか思っちゃいますね」と共感を口にしたところ、女性陣が「手伝うって言葉が、おかしくないですか?」と反論。家事とは家のことで、子供は二人のものなのに、奥さんが主体で夫が手伝うという図式ができてしまっていることに問題がある、という女性陣の意見が強く表れた。

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ここからメインテーマである就活関連の議論を深めるため、質問コーナーが始まった。最初に質問は「就活の時からワークライフバランスを考えていますか?」

槇さんは、「バリバリ働く企業に行きたいという気持ちもありますが、その先の育児とかを考えたりもしなくちゃいけなくて大変です」とコメント。ここで小林さんから、バリバリ働く「バリキャリ」と、両立しながらゆるめに働く「ゆるキャリ」、その中間にいる人たちの割合は、2対2対6、というデータがある、という話が上がった。結局、仕事と家庭を両立していると、したくなくても自分の中で仕事と家庭を天秤にかけてしまうタイミングが出てくる。子供の世話を人に頼んでまで、会社に出てきてやりたい仕事がそこにあるかどうか考えてしまい、そのこと自体に悩んでしまうという実体験も語ってくれた。

どのように就職活動中、ワークライフバランスについて調べていくのか、という話題になり「OB訪問」という意見が槇さんから上がった。だが、そこで社員の方の本音を聞けるかどうかは疑問が残るようだった。緊張感のある状況の中で、相手が求める学生としてふるまおうとするとなかなか本音を聞き出す雰囲気にはなりづらいようだ。また、就活における大学生に関する調査で、バリバリ働く旦那を見つけるために、彼にスペックの高いお給料の高い企業を勧める女子大生がいるという衝撃的な話があがった。受講者からは「就活ハイになっているのではないか。その先が見えていないのではないか」という意見があがった。

仕事と家庭、仕事と育児。就職活動の時点では答えの見えない課題だが、多くの女性が共感する悩みであることは確かなようだ。このような企画での議論を通して、課題への理解を促したり共有したりしていくことで、多くの人々が働きやすい環境が少しずつ整っていくことが期待される。

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