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2025年12月6日

【総長選考2026】卓越大計画を実行できる「非常時」に合ったリーダーを 運営方針会議が提案

 

 東大の運営方針会議(議長=本田桂子・早稲田大学教授)は10月8日、総長選考・監察会議に対して次期総長の選考方法に関する意見を回答した。東大は「平時ではなく非常時にある」として、次期総長には従来にないハイレベルの経営能力が重要だとした。

 

 運営方針会議は、止まらない運営費交付金の削減などで今年度は40億円以上の赤字が見込まれる財務状況の深刻化と、急激な少子化を踏まえ、東大は「非常時にある」と分析。国際卓越研究大学(卓越大)の申請にあたり掲げた大学ランキング「世界トップ10入り」(英教育専門誌THE(Times Higher Education)の最新のランキングでは26位)の目標達成へ向け、次期総長には従来にないハイレベルの経営能力が最重要であるとした。

 

 総長に必要な資質は多岐にわたるため、優先順位を示すことが必要と提案。最重要なのは卓越大申請にあたり掲げた計画を着実に実行し、世界トップ10入りするための資質であるとし、そのためには東大の強みを活かした具体的な戦略を立案できる力や、必要に応じ「スクラップ&ビルド」も断行できる変革推進力が大切であるとした。その上で学術的組織を経営した実績があると望ましいとした。

 

 その次に重要であるものとしては、①国際化推進力②海外の研究機関や産業界とのつながり③研究者としての業績④年120億円超(寄付金額を前年比で4倍近く伸ばした昨年程度)の寄付を集められる資金確保力⑤教育者として優れていること⑥高い倫理感や学内への配慮と、誠実さと嫌われることをおそれない胆力を持ち合わせること─とした。

 

運営方針会議が示した総長に求められる資質の案に関する表
最重要な資質としては、経営能力─特に変革推進力と世界トップ10へのコミットと未来を切り拓く意志が挙げられた。
その次に重要なものとしては国際化推進力(含 国際的な戦略的パートナーシップ構築力)とネットワーク力、学問的業績、資金調達力、教育者としての秀逸性、高い倫理感を持ち、多様な人材(学生、教員、職員ともに)の活躍に配慮できること。誠実さと嫌われることをおそれない胆力を持つことが挙げられた。

 

 運営方針会議は結論として、総長に必要な資質の優先順位を明らかにし公開することで、より状況に即した候補者探しが可能となり、選考プロセスの透明性が高まるとした。

 

 運営方針会議は、大学経営者としての秀逸さは研究者や教育者としての能力とは必ずしも関わりないとし、学術的業績とは別に経営手腕を厳しく問う姿勢を示した。さらに東大が長らく学内から総長を選出してきた経緯を踏まえ、学内での大学経営人材の育成や、成果を上げた総長の任期延長を可能とする制度設計の検討もありうると選考のあり方そのものにも言及した。

 

 運営方針会議は、国立大学法人法の改正により、大学の中期目標・中期計画、予算・決算などの大学運営の管理を目的に今年東大に設置された組織。文部科学大臣が承認した学内委員と学外委員7名ずつで構成される。内規により、委員の藤井輝夫総長は総長選考に関わる議論には参加できない。

 

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