硬式野球部(東京六大学野球)は9月14、15日、早稲田大学とリーグ戦を戦いそれぞれ20-0、1-12で連敗した。2日続けて投手陣が早大の強力打線に飲み込まれる苦しい展開となるも、多くの新戦力がリーグ戦のデビューを飾った。(取材・高倉仁美、新内智之、清水央太郎、吉野祥生、宇城謙人)
1回戦 投手交代が6回続くも攻撃止まらず 20点差で惨敗
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待ちに待った秋季リーグ戦が開幕した。先発はエースの平田康二郎(育・4年)。フライアウト3つで初回は無失点に抑えたものの、二回に6番・小澤に許した初安打をきっかけに先制点を奪われた。再び上位打線と対する三回。平田の様相が変わり始めた。ストライクが入らず四球が続く。一死一三塁で打席に立ったのは4番・印出。なんとか踏ん張りたい場面でセンターへ適時打を放たれ追加点を献上した。
悪い流れを断ち切るべく、四回からは長谷川大智(文・4年)にマウンドが託された。だが連打を浴び、打者わずか3人で降板。引き継いだ鈴木太陽(経・4年)も不調の様子。登板早々の連続四球で押し出し。なお満塁で相手副将・吉納にもストライクが入らない。3ボール1ストライクからの5球目を豪快なスイングで運ばれボールはセンターへ消えていった。重すぎる5点を失い鈴木はマウンドを降りた。
五回以降は今後が大いに期待される成長株が続々登板した。五回は、リーグ戦初出場の江口直希(理Ⅰ・2年)。二塁打を打たれたものの、なんとか持ちこたえ、1失点に抑えた。同じくリーグ戦初出場の横山景一(文Ⅲ・2年)は先頭・吉納から三振を奪い、球場は拍手とわずかな期待に包まれた。しかし、相手4番・5番打者に安打を打たれると、四死球が続き4失点。ホロ苦デビューとなった。
七・八回は、春季リーグ戦でも好投を見せた佐伯豪栄(理Ⅱ・2年)が無失点で実力を示し、13-0で九回に突入。最終回でマウンドに登ったのは松本慎之介(理Ⅱ・1年)。甲子園への出場経験があり、春季リーグ戦でも2イニング無失点に抑えた有望投手だ。相手ベンチは5人連続で代打を送る。先頭打者に四球を与え、続けて4連打を浴びる。一死後、満塁ではこの日3回目の登場となる吉納が打席へ。ストライクを取るのに苦労しつつフルカウントからの6球目。大きな放物線がライトへ。この日2本目の満塁ホームランで三塁側は大盛り上がりだ。点差はとうとう20になった。
長い相手の攻撃を何度見せられても、点差がどれだけ開こうとも、最後までボルテージが下がることのない東大スタンド。だがそんな思いに応え意地を見せたい打線もわずか4安打と沈黙した。初回こそ左膝靱帯の負傷で今年の春季リーグ戦への出場が叶わなかった酒井捷(経・3年)が復活早々ライト前ヒットを放ち得点機を作ったものの、相手先発投手・伊藤樹の力投により、二回以降は三塁を踏めず、東大は得点できないまま初戦を終えた。
必死の采配で7人もの投手が登板したが、全員ストライクを取るのに苦渋した。どう巻き戻すのか、ここからが見どころだろう。
2回戦 投打で圧倒され2日連続の大敗 今季初得点は今後への光明か
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前日の秋季リーグ開幕戦で20点差の大敗を喫した東大。雪辱を晴らすべく選手が一丸となって2回戦に挑んだ。
1回戦に引き続き、1番には酒井が入る。2期ぶりの復帰となった1回戦で早速安打を記録した酒井。相手先発投手の制球が安定しないと見るや、ボールを見極めて四球で出塁。続く2番・中山太陽(経・3年)の打席では積極的に走っていく姿勢をみせ、2球目で盗塁を試みる。完全にセーフのタイミングだったが、快速のあまり二塁をオーバーランし、タッチアウト。痛いミスで、初回の攻撃は3人で終わった。
東大の先発投手は公式戦初先発の”サブマリン”渡辺向輝(農・3年)。初回は春季リーグ戦の首位打者である相手先頭打者・尾瀬を空振り三振に切るなど、無失点で抑える上々の立ち上がりを見せる。
前日の大敗もあって投手陣が活躍を見せたいところだったが、先発の渡辺が早大の強力打線に捕まってしまう。この回いきなり三塁打と四球でピンチを背負うと、次打者に5球目をライトへ打ち返され、与えたくなかった先制点を許してしまう。なおも無死一、三塁のピンチをなんとか切り抜けたいところだったが、続く打者との勝負では一塁走者がスタート。捕手の悪送球の間に三塁ランナーが生還。相手に傾いていく流れを断ち切りたい東大だが、さらなる守備の乱れにつけこまれ、適時打を浴びるなど、5失点を喫した。続く打者でなんとかこの回初めてのアウトを取って迎えるは、プロ注目相手3番・吉納。前日2本のホームランを浴びているだけあって一矢報いたいところだったが、6球目をジャストミートした吉納の打球は無情にもライトスタンドへ。2日間で3本目のホームランに、スタンドはため息に包まれた。渡辺は後続をなんとか打ち取り直後の3回表で代打を送られて降板。投げている球自体は決して悪くなかったものの、ほろ苦い先発デビューとなった。
0-7の3回裏からは前田理玖(文Ⅲ・2年)がマウンドに。先頭打者を中飛に打ち取り、悪い流れを断ち切ったかと思われたが、続く打者にヒットを許すと、不運な内野安打に四球でランナーをため、1アウト満塁から相手2番・山縣に押し出し四球を与えてしまう。続く吉納は空振り三振に抑えるも、後続に連続タイムリーを打たれてこの回5失点となった。
0-12のまま迎えた7回表。先頭の酒井がセンター前ヒットを放ち、この日のチーム初安打を記録する。今度はしっかり盗塁を決めると、続く中山もヒットを放ちノーアウト二三塁の大チャンス。3番・内田開智(文・4年)も堅実に四球を選び好機拡大。しかし後続は相手2番手投手・高橋煌稀の豪速球になすすべもなく打ち取られ、絶好機を前に無得点。悔いが残る攻撃となってしまった。
7回裏は6回から引き続き、リーグ戦初登板の森岡舜之介(農・4年)が無失点に抑え、圧巻のデビューを飾る。すると8回表、森岡の好投に応えるかのようにようやく打線が奮起した。先頭の6番・杉浦海大(法・3年)がセンター前ヒットで出塁すると、一死一塁から代打・府川涼太郎(文・4年)が放った打球は左中間を真っ二つに破る適時二塁打。熾烈な正捕手争いを繰り広げるふたりで価値あるチーム今季初得点を奪った。
8回裏は鈴木太陽(経・4年)が登板し、無失点に抑える。続く9回表の攻撃ではさらなる反撃を期待してスタンドから大声援が送られるも、早大の絶対的守護神・安田が織りなす変幻自在の変化球を前にクリーンナップが三者凡退となってしまった。
2日連続の大敗となってしまった東大。しかし森岡の無失点デビューやチーム初得点など、今後への好材料が多い試合となった。