学術

2025年7月11日

【戦後80年】1945年7月11日 祖国は学徒に期待す 国民の陣頭に率先立て 航空機・食糧絶対確保に総決起(『大学新聞』1945年7月11日)

 

 2025年は終戦から80年の節目。戦争の当時を語る人々は減り、「当時」は遠い存在となりつつある。

 

 1944年7月から1946年4月の間、全国の学生新聞は『大學新聞』に一本化され、本紙の前身『帝國大學新聞』の編集部が編集を主に担っていた。

 

 今回は、1945年7月11日発行の「大學新聞」より、「祖国は学徒に期待す 国民の陣頭に率先立て 航空機・食糧絶対確保に総決起」を転載する。当時の大学生が自らの使命をどう考えていたか。当局による検閲下で編集部により書かれた本記事を通じて「当時」について考えるきっかけにしてほしい。

 

1945年7月11日 祖国は学徒に期待す 国民の陣頭に率先立て 航空機・食糧絶対確保に総決起

 

 戦はこれからである、本土決戦は既に現実の課題として我々の眼前に迫った、日々苛烈化する、戦局を我々は冷静に直視する秋本土決戦の我に絶対有利なる事が知られる、この事を今学徒諸君に説く要はないであろう、又同時に本土決戦に皇国の安危を賭けた一戦なのであり、我々はこの一線を断じて護り断じて勝ち抜かねばならぬ、三千年の伝統を有する神国を汚す者は断じて撃砕し以て皇国護持に当らねばならぬ

 

 その責務は、若き皇国青年にあり就中資質共に優れた学徒の双肩にある、諸君の総決起こそ今日に措いてないのである、率直に言って沖縄の戦局の重大段階突入以来ともすれば国民の意気にやや沈帯の気あるを残念乍(なが)ら認めざるを得ないが然し一度理性の底に絶対必勝体制の布陣成れるを考える時、我々はこの戦局を転回せしめ得る必勝の方途あるを知る、

 

 既に学徒隊の結成着々成り学徒は勇躍生産陣に一層の敢闘を続けている、諸君は今こそ中堅国民として学徒の矜持と自信のもと率先国民の志気昂揚に務めると共に生産増強に敢然挺身せよ、諸君の実践力憂国の至情に祖国は絶対の信頼と期待を捧げるものである、

 

 云うまでもなく本土決戦を控え航空機生産の飛躍的増強、食糧絶対的確保こそ今日只今我々に課せられた国民的責務である、この緊急非常生産に諸君は若き力と情熱をぶち込め、隘絡(あいらく)があれば諸君の熱で打開せよ、諸君の熱と力によって国民陣頭に立て、諸君年輩の同胞は特攻機を駆って皇国の悠久の大義に生きつつある、諸君又この後に続け、而らば必ずや国民こぞって諸君の後に続くであらう、戦局は将に学徒諸君の優れたる叡智と若き逞(たくま)しき学魂広志と若さを誇る力を要請しているのである、学徒諸君今こそ総決起、各々生産に敢闘せよ

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