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2021年4月24日

2年目のオンライン新歓 各団体はどう臨む?

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年度に引き続き対面での実施が制限されている本年度の新歓活動。各団体はオンライン中心の新歓について、どのような見通しを立てているのか。昨年度の新歓も踏まえて試行錯誤する三つの団体への取材から、2年目となるコロナ禍の新歓の実態を探る。

取材・中村潤、長廣美乃)

 

運動会:各部の連携を重視

 

 課外活動の禁止や大会の中止などで大きな影響を受けた東京大学運動会。運動会の56部門を統括し、予算管理や広報を担う運動会総務部の委員長を務める寺田響さん(工・4年)は、昨年度の新歓について「うまくいった部といかなかった部で差が付きました」と振り返る。

 

 寺田さんは新歓を始めるに当たって各部の担当者と面談を重ね、昨年度の新歓の状況を聞き取り。アメリカンフットボール部など、例年の半分程度しか新入生が入らなかった部がある一方、男子ラクロス部など、例年より多くの新入生を獲得できた部もあった。

 

 活動制限との関係は明らかではないが、寺田さんは「オンライン新歓では運動会が有利だった面、不利だった面のどちらもあるのではないか」と語る。有利になったと感じるのは元々の知名度。運動会に所属しない運動系サークルが活動内容や実績などを発信しづらい一方、運動会は規模も大きく実績も豊富だ。結果、発信力を強化しなくてもスポーツに興味のある新入生を相対的に取り込みやすかった面もあるのではないかと推測する。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため兼部・兼サークルを制限したこともあってか、対面での練習や大会への参加は制約を受けているにもかかわらず定着率は下がっていないという。

 

 ただし全体として見れば新歓が成功したのは一部の部にとどまる。「運動会として連携して新歓を行うことができず、各部独自の新歓に依存することになりました」と寺田さん。以前から通年で新歓活動を行う体制を整えていた部や、多くの部員や卒業生がいることを生かしてオンライン新歓へスムーズに移行した部がある一方、元々少人数だった部などは新歓活動に苦戦。新入生を獲得できず、部員の引退でさらに人数が減ってしまうという悪循環に陥っていたという。総務部も昨年度は対面新歓を前提とした企画を立案していたため、イベントは中止に。そのため「新歓に苦戦している小規模な部も含めた運動会各部の新歓情報を効果的に伝えられなかった」と悔やむ。

 

 本年度は各部間の連携を重視し、総務部として新たにイベントスケジュールなどをまとめたウェブサイトを作成。活動内容や、実績を丁寧に記載し、新入生が自分に合った部を探しやすいように「#文化部出身者歓迎」「#両立可能」などのハッシュタグを付けて工夫する。「これらの仕事は、そもそもコロナ禍前から総務部として取り組むべきことだったと思っています」。また、1年生がクラス単位で参加し、親睦を深める駒場運動会などを再開して学生向けに運動会の魅力を伝えたいとも話す。

 

 

運動会総務部が作成したウェブサイトでは多様なハッシュタグで自分に合った部を探すことができる

 

 一方で、オンラインでの新歓活動には限界もあるため、今後は対面新歓も通常通りできるようになることが望ましいと語る。「運動会だけに限らないと思いますが、対面活動の制限で部員数の減少に苦しんでいる部もあります。多様なサークル活動は学生生活の魅力の一つでもあるため、廃部などに追い込まれる部活やサークルがあると選択肢が減ってしまいます」。今後は新歓にとどまらず、普段の練習や大会への参加などの正常化も、東大の新型コロナウイルス対策タスクフォースへ掛け合っていきたいという。

 

 新入生には「運動会には高校では経験できない競技もできる多種多様な部があることを知ってほしい」と寺田さん。「運動会は厳しそうだからと選択肢から除外してしまうのではなく、自分に合った部を見つけてもらえたらうれしいです」

 

現代国際法研究会:昨年度の成功生かす

 

 オンライン活動の利点を生かし、順調に新歓を進めているサークルもある。国際法や国際政治などに関する勉強会を開催し、国際人道法模擬裁判大会などの国際大会にも数多く出場している東京大学現代国際法研究会。昨年度は、例年を上回る40人程度の新入生が入会した。

 

 代表の本廣秀行さん(文I・2年)は「はっきりとした理由は分からない」としつつ、オンラインでの積極的な活動の様子をアピールできたのが成功の要因だったのではないかと語る。昨年は国際法だけではなく、国際政治や宇宙法、法哲学などに関する勉強会も新たに始めた。また入会に当たっては選考などもない。副代表の山本紘生さん(文I・2年)も自身の入会の経緯を振り返り「インターネットで情報を収集する中で、入会のハードルが低く、活動も充実した様子だったのが決め手でした」と話す。

 

 昨年度は新型コロナウイルス流行の影響で、米国で開催される予定だった国際大会もオンラインに。例年は教室を借りて行っていた普段の活動も、ほとんどがオンラインになった。しかし、1年生が活動から離れやすくなったということはないという。「定着率はかえって例年より上がっていると思います」。加えて、従来は交流することが難しかった他大学の団体との間で、オンラインを通じた練習試合が可能になるなど、オンライン活動のメリットを感じていると語る。

 

 本年度の新歓では、広報に力を入れて動画を作成。ツイッターやLINEに加えてフェイスブックやインスタグラムなどのSNSを活用する他、ディベート系の他サークルとの合同新歓の数も増やす。ただし、昨年度の成功を受けて、新歓の大まかな方針を変更する予定はないという。

 

 一部で実施・拡大を求める声が上がる対面新歓については「対面でないといけないとは考えていない」と話す。一方で、新歓という枠を超えて、新入生に国際法・国際政治を扱う魅力を幅広く伝えるためには、活動の実感が湧く対面の方が優れているのではないかと指摘する。

 

 新入生には「オンライン授業の割合が大きい中で、触れ合いの場としてのサークルの役割も重視してほしい」と本廣さん。「現代国際法研究会では、オンラインでも充実した活動ができることを知ってほしいと思います」

 

本年度の新歓でも、さまざまな勉強会の魅力をオンラインで発信している(写真は東京大学現代国際法研究会より提供)

 

インカレは「より影響大きい」

 

 大人数で一つの作品を作り上げる音楽系や演劇系などのサークルも、新歓や普段の活動に苦戦してきた。東京大学フィロムジカ交響楽団の新歓担当・小西真梨明さん(文I・2年)は、自身が新入生として入団した昨年度の活動を「Sセメスターはほとんど活動ができていなかった」と振り返る。オーケストラは大人数で集まる必要があり、また管楽器の担当者はマスクを着用したまま演奏ができないなど、新型コロナウイルス流行に伴う活動制限による障害が多い。

 

 新歓でも例年開催していた公開練習や特別演奏会などが昨年度は実施できなかった。ツイッターでの情報発信や団体紹介パンフレットの電子配布、東大の音楽系サークルによる合同新歓「おとつど」への参加など、昨年度実施して手応えがあったものは今年度も続ける予定だ。また「直接会ってお互いを知れないのは、新入生にとっても団員にとっても不安要素です」。団員とZoomを用いてオンラインで話せる場を、昨年度よりも増やした。新たにインスタグラムのアカウントも開設し、練習中の様子を動画や写真で投稿している。依然先行きは不透明だが、昨年度中止になった新歓合宿も5月に実施する予定だ。

 

昨年12月に行われた定期演奏会(写真は東京大学フィロムジカ交響楽団提供)
全体練習の風景をインスタグラムで発信している(写真は東京大学フィロムジカ交響楽団提供)

 

 フィロムジカはさまざまな大学の学生が参加するインカレサークルだが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため他大生は東大構内に入れない(4月8日時点)。そのため、新歓用の立て看板の作製はキャンパスに入構できる東大生から人員を募らざるを得ず、確保が難しいなどの支障があるようだ。「東大生だけで構成される部活やサークルよりもインカレサークルの方が活動制限による影響が大きいと思います」と小西さん。普段の活動でもキャンパス外のオーケストラの練習場所の確保に苦労している。「コストがかかるだけではなく、打楽器などの大型楽器をキャンパスから持ち出す労力も必要。7月の定期演奏会までは外部の練習場所を確保していますが、制限が解除されるなら新歓や普段の活動は東大構内で行いたいです」

 

 ツイッターで匿名の質問を受け付ける中、「経験が浅い初心者だが大丈夫か」、「受験期のブランクがある」など、入団に当たり不安を持っている新入生も多いという。「フィロムジカは初心者から熟練者までが在籍する開かれたサークルです。新歓で上級生とオンラインで直接話し、ぜひ団の雰囲気を知ってから入部を検討してみてください」

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