東大と三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、東大のさまざまな財産を生かし「日本の再成長」を先導するための連携協定を締結したと、4月17日に弥生キャンパスで開かれた会見で発表した。
SMBCが3年間で30億円ほどを東大に拠出する一方、東大側もさまざまな財産を提供する。会見では「従来と違う」連携の形である旨が強調された。社会的価値を重視し、両者がリソースを提供し合う形は珍しい。通常の産学連携は企業が研究費用を負担する代わりに利益の還元を受けるもの。

SMBCと東大は、双方のアセット(財産)を組み合わせることで新たな可能性を探る。まずは共同で森林GX(グリーントランスフォーメーション)プロジェクトを立ち上げる。東大の演習林や人材を生かし、森林調査のDX(デジタルトランスフォーメーション)化や都市部におけるバイオマス資源の利用拡大を通じ、森林システムの上流から下流までを包括したイノベーションを目指す。
発表では、東大の価値をSMBCが生かしていくさまざまな試みが示された。SMBCのメガバンクとしての強みを生かし、①社会貢献に関心ある富裕層の東大への寄付の促進②フィールドスタディ型政策協働プログラムの受け入れ自治体の仲介③東大と連携して新たなスタートアップの創出・育成──などを進めていく。スポーツ分野での連携も予定される他、毎年東大総長とSMBC社長との間で協議を行い、新たな連携の可能性も探る。
相原博昭理事・副学長によると、東大への30億円もの寄付は過去最大規模。
