COLUMN 2019年11月15日

【記者が体験!】能ー見る人それぞれの切り口で広がる楽しみ方

十人十色の楽しみ方

 

阪本 昂平(さかもと こうへい)さん(理Ⅰ・2年)

 

 「新しいものやことが増えていく中で、古いことにも目を向けて能を見に来てくれたらうれしいです」と語るのは現役東大生でありながら能楽師である阪本昂平さん(理Ⅰ・2年)。10月初旬、記者は阪本さんが能の主役である「シテ」を務めた櫻間會(さくらまかい)例会「羽衣」へお邪魔した。

 

「羽衣」で天女を演じる阪本さん

 

 中高生の頃音楽や歴史の教科書で目にしたのと同じ能楽堂。簡素な舞台には役者に加え、歌を扱う地謡(じうたい)や楽器担当の囃子方(はやしがた)も位置している。能の上演の前に1人の演者が座って謡(うた)う「独吟」と、能の最も面白い部分だけを舞う「仕舞」が上演された。記者にとって初めての能楽公演。最初は少し戸惑ったが、次第に朗々とした声の響きに魅せられ、能「羽衣」が始まる頃にはすっかり心地よい世界に浸っていた。

 

 「羽衣」では阪本さん演じる天女が舞台上で羽衣に着替える。その衣装の美しさに目を奪われるとともに、謡い、楽器の演奏、天女の舞がそれぞれ融合していくクライマックス部分が印象的だった。舞台で美しい天女を演じていた阪本さん。能面をとれば今どきの大学生だ。「公演が終わり一区切りついたので勉強を頑張ります(笑)」

 

 阪本さんの属する金春(こんばる)流の櫻間家当主・櫻間右陣(うじん)さんは「能には謡い、楽器の演奏、装束、演劇としての物語性、総合芸術としての美、とさまざまな魅力があって、人それぞれ自分の感じ方があります」と語る。「10人いれば10通りの見方ができるのが一番の魅力です」

 

 能は敷居が高いものだと感じる人もいるかもしれない。だが「元々の成り立ちは庶民の楽しみとしてできたものなので、どんどん能楽堂に足を運んでほしい」と櫻間さん。「理解しようと思うと苦痛になってしまうので、自分の分かる範囲で感じられるものを感じ取り、独自の切り口で面白さを発見していただければと思います」。音楽が好きな人は音楽から、文学が好きな人は文学から。自分の切り口を見つけに、次の休日は近くの能楽堂へ赴いてみてはいかが。

(取材・米原有里)


この記事は2019年11月5日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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