COLUMN 2019年10月3日

火ようミュージアム 恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019

 

デイノケイルス全身復元骨格 ©Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences

 

最新の「太古のロマン」を体感

 

 上野の国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」。会場に足を踏み入れると、白亜紀に生息した小型の肉食恐竜・デイノニクスの足の化石が、ライトに照らされ目に飛び込む。鋭い足の爪で獲物を押さえ付ける様子がありありと浮かび、心は一気に太古の昔へ連れていかれる。

 

 本展の目玉展示の一つは「恐ろしい手」を意味する大型恐竜・デイノケイルスだ。近年その全容が明らかとなり、全身復元骨格を本展で世界初公開する。頭骨、脊椎骨、足にそれぞれ異なる恐竜の特徴を併せ持ったこの恐竜は、展示パネルでは「へんてこな恐竜」と形容されている。しかしその復元骨格は手の爪だけでも人間の顔ほどの大きさがあろうかというスケール感。子供も大人も夢中になってシャッターを切る中、記者も「恐ろしい手」の在りし日の姿を想像した。

 

 もう一つ見逃せないのが、むかわ竜。03年に北海道勇払郡むかわ町で発見されたこの化石は、当初地元の博物館の倉庫に放置されていた。しかし後にその学術的価値が認識され、さらなる発掘・調査が進んだという異色の経歴の持ち主。全長8メートルを超える全身の骨格がほぼ完全に残された貴重な存在だ。このたび新属新種であることが認定され「カムイサウルス・ジャポニクス」という学名が決定した。記者がお目にかかるのは17年のむかわ町での公開以来2度目だが、当時よりも化石のクリーニングが進み、復元骨格を構成する骨の数が増えたため、より精密な姿でお披露目されている。場内のミニシアターでは、むかわ竜の生活の様子を再現したハイビジョン動画も鑑賞できる。

 

 隕石の落下で恐竜など生物の大量絶滅が起こった、地質年代上の中生代と新生代の境を表すK/Pg境界に見立てたトンネルも見どころの一つ。トンネルをくぐると、境界前後の生物の化石標本などが展示され、その後現代に至るまでの生物の盛衰が視覚的に分かりやすく展示されている。恐竜自体の迫力を体感するだけでなく、地球の生命の営み、そして彼らが現在の生物たちと少なからずつながっていることに感動を覚える。

 

 会場内には恐竜研究に貢献した人物たちの業績を紹介するパネルや、恐竜に対するイメージ・常識を覆す契機となった化石の展示・説明も設置。読むことで得られる情報の豊富さも魅力の一つだ。恐竜を知り尽くせる本展覧会に、ぜひ足を運んでほしい。

【柴】

 


この記事は2019年9月17日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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火ようミュージアム:恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019
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