INTERVIEW / FEATURE 2018年5月16日

【AIの社会実装と応用②】起業家の交流拠点作る 株式会社ディープコア社長・仁木勝雅さん

 近い将来、現在の仕事の大半が人工知能(AI)に取って代わられると言われる現代。車、駅、ビル、街全体の自動化の可能性が出てくるとともに、農業機械・農作業の自動化も見込まれるように、機械学習の可能性は多方面に広がっている。しかし、機械学習研究が日々進歩を遂げその可能性が広く認識されている日本でも、車の自動運転をはじめ機械学習の社会実装にはまだ道のりがあるように思える。

 

 AI研究の進展の鍵を握るのが機械学習だ。そして機械学習に使えるデータの種類やその有無で社会実装の可能性が影響される。日本における機械学習研究の現状と課題はどのようなものか、データの収集と活用のあり方はどうあるべきか。これらを明らかにしつつ、日本でのAIの社会実装の意義、それに伴う課題や予想される社会の変化に迫る。

 

 今回は、AIに特化した起業を支援する会社・ディープコアの社長・仁木勝雅さんに話を聞いた。

 

(取材・曽木悠美、撮影・須田英太郎)

 

 

 「破壊的イノベーションのコア(核)になる」ことを社のミッションに、AIに特化した起業を支援するディープコア。社長の仁木さんは「起業家支援をすることで日本の既成のビジネスに革新をもたらし、産業界を盛り上げたい」と語る。新卒一括採用や終身雇用など、伝統的な雇用体系が今でも根強い日本では、優秀な人材が埋もれてしまうことも多い。「優れた能力を自由に発揮できない社会は停滞し続けます。前例主義を貫くのではなく、起業を促進することで新しい可能性を生み出していきたいです」

 

 元々は、ソフトバンクの執行役員としてM&Aや投資を担っていたという仁木さん。海外のテクノロジー企業に投資する中で、「技術で世界を変える起業家を日本からも生み出したい」と考えたのがディープコア立ち上げのきっかけだという。「AIはあらゆる産業に変革をもたらします。起業を支援することで日本に新しい流れが生まれるのではないかと思いました」

 

 ディープコアは起業支援をするにあたって、「さまざまな人との交流の場を提供する」ことを目指し、技術者たちのコミュニティー「KERNEL HONGO」を本郷に今夏オープンする。「優れたアイデアは偶発的に生まれることが多いです」。昨今はオンライン上で簡単に誰とでも意思疎通ができるが、実際に会って議論をすることで初めて、予想外の化学変化は起きるのだと仁木さんは力説する。

 

 

 

 

 また、起業支援の決定をする際には「人を見ることが第一」。「成功する」という強い意気込みを見せてくれた起業家を信じることから起業家育成は始まるという。ビジネスの世界では、ある程度成功が見込まれる企業への投資が一般的だが「私たちは起業初期の、成功の予測もつかない段階から投資を行います。既存の価値観を変えるようなアイデアは、もうけが前提となるところからは生まれません」。企業などとの実証実験を積み重ねつつ、さまざまなバックグラウンドを持つ専門家が、起業家を力強く後押しするのが会社の強みだという。

 

 ここ最近では、東大出身、または現役東大生の起業家が増えてきているという。「起業のハードルが高いという認識が根強い日本で、起業ブームが起こっているのは非常にいいことだと思います。実力があればどこに行っても食べていけるという、チャレンジしても損にならない世の中ができつつあるのかもしれない。変わりつつある時代をバネに、成功を収めてほしいですね」

 

 

仁木勝雅さん(にき・かつまさ)(株式会社ディープコア社長)

 91年神戸大学経済学部卒。05年に現ソフトバンクグループ株式会社に入社後、執行役員投資企画部長などを経て17年より現職。

 

2018年5月25日12:00【記事訂正】株式会社ディープコアの表記を「DEEPCORE」から正式社名の「ディープコア」へと訂正いたしました。

 

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AIで農業機械を自動運転 海津裕准教授

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都市設計の最適解探る 羽藤英二教授


【AIを自身の研究や開発プロジェクトに活かしたい学生やAI研究者必見!】

五月祭特別座談会「人工知能を用いた応用研究の射程と社会実装の課題」

【登壇者】
杉山将 教授(新領域創成科学研究科・情報理工学系研究科)
羽藤英二 教授(工学系研究科)
海津裕 准教授(農学生命科学研究科)
仁木勝雅さん(株式会社ディープコア 代表取締役社長)

機械学習の基礎理論研究の魅力や、AIを他分野の研究に応用することの面白さ、またそれを社会に実装することの意義と難しさについて、4名の専門家が話し合います。

統計的機械学習の基礎理論研究を行う杉山先生と、AIを用いた応用研究を行う羽藤先生(都市計画・交通計画)と海津先生(農業機械)、AIの社会実装に特化したインキュベーション事業を行うディープコアの仁木さんとが、白熱した議論を行います。

【主な話題】
・機械学習、ディープラーニングの基礎研究の魅力
・応用研究や開発にAIがどう活かされるのか、またその困難は何か
・都市計画や農業にAIがもたらしうるもの
・AIを用いた応用研究を社会に活かすための産業の取り組み
・産学連携の課題と解決策

【申込方法】
少人数(約60名)のダイアログですので、事前にお申し込みいただいた方を優先いたします。こちらのフォームにご記入ください。
https://goo.gl/forms/O0yAzlUC5RBUPTx73

【日時・場所】
5月20日(日)15時-16時30分
工学部3号館35号講義室

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