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2018年6月14日

筋肉と機械の融合進む 二つの骨格筋組織を活用

 竹内昌治教授(生産技術研究所)らは、樹脂骨格の上に二つの骨格筋組織を培養したロボットの開発に成功した。ロボットの動きを観察することで、運動時の骨格筋の生理学的現象の解明や、運動に関連する病気の治療薬の研究の前進が期待される。成果は5月30日付の米科学誌「サイエンス・ロボティクス」(電子版)に掲載された。

 

 

二つのロボットが動き、四角いフレームを持ち上げている(写真は竹内教授提供)

 

 培養で構築された骨格筋組織は、再生医療、生物の運動を再現したロボットの開発などへの応用が期待される。従来のロボット研究では単一の骨格筋組織を搭載するのが主流だった。しかし単一組織では時間経過と共に筋肉が縮まり続けて硬直し、3日程度で収縮ができなくなる。そのため、大きな駆動と長時間の駆動を同時に行えるロボットの実現が求められていた。

 

 今回竹内教授らは、樹脂骨格上に二つの骨格筋組織を向かい合わせの形で配置したロボット(写真)を作成。これにより一方の骨格筋組織がもう一方から引っ張られるため、単一組織の培養時に起こる硬直が起きず、7日もの間収縮性能を維持できるようになった。さらに各骨格筋組織をそれぞれ独立して電気刺激で収縮させることで、骨格筋組織の伸縮を利用した関節の大きな駆動を実現した。

 

 この技術は互いに力の釣り合う筋肉の特性を探る運動モデルなどへの応用が見込まれる。竹内教授らは以前神経刺激による骨格筋組織の収縮に成功しており、神経刺激で駆動するロボットとしての発展も期待される。


この記事は、2018年6月12日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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