キャンパスライフ

2014年5月3日

駒場の留学生が見る、東大の国際化 東大の隠れた少数派―PEAKとは?

2014年4月15日とは、世界各地域に在住している61人にとって重要な日だと考えられる。2014年度秋入学制度で、61人の外国人が、東京大学のPEAK(Programs in English at Komaba )に入学し、日本で留学する機会を与えられたのである。

東大の隠れた少数派_写真_ディオン.JPG

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「国際化拠点整備事業(大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業)」を行っている文部科学省は、日本における留学生数の増加を狙い、「グローバル30」という取り組みを2010年から促し始めた。日本国内の13大学が国際化に向け、留学生のニーズに相応しい環境を提供している。その中、東京大学はPEAK(Programs in English at Komaba )を開催し、2012年10月に第一期の留学生を招いた。現時点では、総人数が50人であり、­­16ヶ国の国籍を持っている。

「卒業まで4年間、駒場キャンパスで授業を受けること」、「日本語学習の授業以外、ほとんどの授業が英語で行われていること」、「少人数のクラスで西洋教育方法に従い、学生中心の教え方」や「多様化した環境に暮らしている留学生」等がPEAKの特徴として知られている。さて、PEAK生の生活を少し覗いてみよう。

PEAKの専攻分野

PEAK生は理科2類と文科3類の二つの所属に分かれている。4月入学の学部生と異なり、予め決まった専門で教養学部の後期に進学することになっている。理系のPEAK生は「環境科学 International Program on Environmental Sciences」の専門に進む一方、文系のPEAK生は「東アジアにおける日本International Program on Japan in East Asia」に専攻する。

PEAKのカリキュラム

PEAKの授業は、西洋の典型的なリベラルアーツを規範として、一般教養的な教育方法に基づいて行われている。PEAK生は前期課程(第一・二・三・四学期)を渡ってそれぞれの分野を幅広く学習することにより、自分の専攻に限らず、理系と文系の両方に関わる知識を広げる。

PEAK 専用の授業は日本語、英語、人文科学・社会科学、自然科学と様々な総合科目等に分別されている。一般の学部生は時折PEAK専用授業を受けることもあり、PEAK生は日本語能力に応じ、一般の学部生の授業を受けることも可能である。

日本語学習

それぞれ異なる背景を持つ海外の高校生にアピールするために、Global30のプログラムは学生たちの日本語能力を求めないことになっている。しかし、PEAKは、駒場キャンパスの国際化を目指し、留学生と日本人との交流が増えるように、前期課程に日本語の学習を必修科目にした。帰国子女枠でPEAKに入った日本人であっても、日本語の初学者であっても、入学して日本語能力試験を受け、自分のレベルに適した日本語の授業を受けられる仕組みが整備されている。PEAK生たちは初級、中級、上級とネイティブの四つの段階に組まれ、学期によって週に少なくとも2~4コマの日本語授業を受けることになっている。

大学生活

駒場キャンパスから徒歩7分程度の位置にある東大インターナショナルロッジがPEAK生の住宅である。そこではPEAKだけでなく、留学している大学院生もおり、日本ではあまり見られない国際色豊かな環境が生まれてきた。東京大学の国際交流サークルや他の団体が行う交流パーティーも最近普及してきた。

その上、PEAK生は一般の学部生と同様に、部活、サークル、アルバイトや海外留学等にも熱心に活躍している。

今後の方針

にも関わらず、PEAKについての事柄はまだ東京大学の学生によく知られていない状態である。しかも、東京大学が国際化を推進する初期であり、PEAK生を日本の大学環境に融合させる段階に達するために、PEAK生の声を聞き続けながら少しずつプログラムを改善することは大事だと思われる。

東京大学をグローバル化するために、PEAK生の力だけでなく、日本人の学生と教員の方からの協力と思いやりも非常に大切だ。秋入学制度で学年が海外の大学と大体同じだが、普通4月から始まる日本の学年とずれており、新入生として部活やサークル等に入る機会もあまりない。

PEAKの発展と拡大の背景にあるのは、ある意味で東京大学の伝統に及ぼした国際的な影響だ。現在の世界の進展に付いていけるように、伝統を守ると同時にPEAKの潜在能力を開発してキャンパスを多様化していくことが必要ではないか。東大の隠れた少数派と多数派との関わりを強めることは、国際化への大きな一歩となるであろう。

文:ディオン・ン

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