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2023年4月15日

【六大学野球】王者明治と互角の戦いも 最終盤に勝ち越される

 硬式野球部(東京六大学野球)は4月8、9日、明治大学とリーグ戦を戦い、1回戦は2─3、2回戦は6―3で敗れた。2試合とも投手陣の粘りで昨年の春・秋を制した明治大学相手にロースコアゲームを展開したが、初戦は延長十回に、2戦目は九回に勝ち越しを許した。(取材・清水央太郎、新内智之)

 

1回戦:粘投で一時逆転も 延長10回力尽きる

 

東大 |0000000200 |2

明大 |0100000101X|3

 

 先攻の東大は初回、先頭の酒井捷(文Ⅱ・2年)がフルカウントから安打で出塁。矢追駿介(農・4年)が送って得点圏にランナーを置くが、続く3・4番が凡退し得点にはつながらない。

 

 この日の先発は鈴木健(育・4年)。二回に先制点を奪われるも、三回以降は連打を許さず安定した投球を見せ、この日は7回1失点。力のあるストレートにスライダーや新球種のチェンジアップを効果的に混ぜ、緩急で相手打線を翻弄(ほんろう)した。

 

好投の鈴木 三振でピンチをしのぐ
好投の鈴木。三振でピンチをしのぐと雄叫びを上げた(撮影・安部道裕)

 

 鈴木の力投に応えたい打線だったが、苦しい攻撃が続く。積極的にストライクゾーンで勝負する相手先発・村田の前に七回まで散発3安打。しかし八回、先頭の青貝尚柾(文Ⅰ・2年)がこの日初の長打となる中堅越え二塁打を放つと、チャンスは広がり2死二、三塁。2番矢追の放った強い打球は三塁正面のゴロで3アウトかと思われたが、送球が大きくそれる間に走者2人が生還。思わぬ形で逆転に成功した。

 

 逃げ切りたい東大がその裏にマウンドに送ったのは松岡由機(経・4年)。投手陣の二枚看板を惜しむことなく投入し勝利への執念を見せるが、内野安打で出塁を許すと、盗塁刺殺を狙った送球がそれ、1死三塁のピンチ。この大事な局面で今度は暴投が発生し、もったいない形で同点に追い付かれた。

 

八回、投手ゴロ ベースカバーがおらず内野安打に
八回、松岡が打球処理に入るも一塁ベースカバーはおらず。これが逆転を招いた契機となった(撮影・安部道裕)

 

 同点のまま試合は延長へ突入。十回裏、明大の先頭は4番上田。ぼてぼての打球が一二塁間を抜けると、長打警戒で深めの守備が裏目に出て一気に二塁を陥れられる。犠打で送られ1死三塁のサヨナラのピンチで、6番堀内の放った打球はレフト前方の飛球。タッチアップで三塁走者は本塁へ。微妙なタイミングだったが、バックホームが一塁側にわずかに逸れタッチできず。惜しくもサヨナラ負けとなった。

 

敗戦投手となった平田
敗戦投手となった平田(写真中央)。試合後に天を仰ぐ(撮影・安部道裕)

 

2回戦:ロースコアの接戦も 九回に悪夢

 

明大|300000003|6

東大|020001000|3

 

 この日の先発は前日にリリーフ登板した松岡。初回、リーグ屈指の長打力と機動力を兼ね備えた明大打線に得点圏まで走者を進められると、適時打と本塁打で3失点。しかし、ここでズルズルと失点を重ねないのが今年の松岡。二回には立ち直ると、その裏に打線が奮起。下位打線が強攻策を交えながら2死満塁のチャンスを作ると、リードオフマン酒井の2点右前適時打が飛び出し1点差に。

 

 さらに五回裏、またも下位打線の躍動で、2死満塁の絶好機を迎える。ここで病気療養中の井手監督に代わって指揮をとる大久保裕・助監督は好投を見せていた松岡に代打を送り、勝負に出る。ベンチの期待を一心に背負った代打大原海輝(理Ⅰ・2年)の放った打球は低い弾道でバックスクリーン付近へ。しかし、この大飛球は相手中堅手のファインプレーに阻まれ逆転ならず。流れを引き寄せ切れないままグランド整備を迎えた。

 

 しかし集中力を切らさなかった東大は直後の六回裏、2死一、二塁の好機で5番の和田泰晟(農・4年)の中前適時打で同点に追い付く。さらにこの日2番手としてマウンドに上がったスリークオーターハンドの平田康二郎(育・3年)も強力な明大打線を多彩な変化球で翻弄し、3イニングを無失点の好投を披露。3ー3の同点のまま、試合の行方は九回の攻防に託された。

 

3回無失点の好投 2人目の平田
3回無失点の好投を見せた2人目平田(撮影・新内智之)

 

 九回表、3番手の鈴木太陽(経・3年)は140km中盤の速球を主体に明大打線に立ち向かったものの、2死一、二塁のピンチで迎える打者は途中出場の菅原。抑えればサヨナラ勝ちの機運も高まるこの局面で鈴木が投じた外角高めの速球は、フラフラと右中間へ。中堅手の別府洸太朗(育・4年)が懸命に伸ばしたグラブのほんの数センチ先で、白球は無情にも芝生の上で2度弾んだ。結局3点を失った東大はその裏の攻撃を3人で終え、敗戦。またも終盤の失点で接戦を落とす悔しい結果となった。

 

 悔しい敗戦が2試合続いたものの、優勝候補筆頭と目される明大相手に互角の戦いをみせた東大。2年生の酒井や青貝といった新戦力が攻守で躍動し、神宮球場に鮮烈なインパクトを残した。長いリーグ戦はまだ始まったばかり。東大旋風の到来を予感させる開幕カードだった。

 

大久保助監督のコメント

 

 多くの主力選手が抜けた為リーグ戦経験の少ないチームながらも3連覇を狙う明治大学との開幕戦に善戦出来た事は、昨秋から取り組んで来た練習の成果がそれなりに出たものと考えています。ただ、大事な場面でのミスも色々出てしまい勝ち切れずにまだまだ力不足な事も痛感しました。様々な失敗も含めて明治戦2試合で経験した事を糧に更にチーム力をつけてこれからのリーグ戦に臨んで行く所存です。引き続きのご声援をよろしくお願い申し上げます。

 

梅林主将のコメント

 

 2試合とも投手陣の活躍により、力のある明治打線を抑え、接戦に持ち込むことができたことは収穫でした。しかし、チャンスで得点を積み重ねることができず、どちらも最終盤に競り負けてしまい、明治大学の底力を感じました。チームとしての底力を鍛え直し、今後の試合に活かして参りたいと思います。

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