ニュース

2021年2月17日

新型コロナウイルスによる嗅覚障害研究に進歩 「ウイルス暴露量は関係ない」

 浦田真次研究員(東大医学部附属病院)らは、新型コロナウイルス感染後早期に確認される嗅上皮(鼻の奥の匂いを感知する部位)の脱落がウイルス暴露量とは無関係に発生し、感染から21日後も完全な再生には至らないことを報告した。嗅上皮の傷害程度や再生速度には部位によるばらつきがあった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)早期診断の指標にもなり得る嗅覚障害のさらなる理解に寄与する。同研究はテキサス大学医学部ガルベストン校と共同で実施され、成果は1日付の米科学雑誌ACS chemical neuroscience」(オンライン版)で発表された

 

 通常、ウイルス感染によって嗅上皮が脱落した場合、再生されて正常な厚さに戻る。しかし傷害が重度なら、その後の再生が不完全になることが知られている。これまで新型コロナウイルス感染後に嗅上皮が正常化するかについては不明だった。

 

 同研究ではハムスターを用いてCOVID-19に類似したモデルを確立し、さまざまなウイルス量で実験を実施。その結果、いかなるウイルス量においても感染後3日でほぼ全領域の嗅上皮が脱落した。感染後21日で嗅上皮の大部分が正常な厚さに再生したが、背側・外側の鼻甲介(鼻腔の出っ張っている部分)など一部で傷害が残り、正常な厚さに戻っていなかった。

 

 従来の実験で使われていたマウスは、新型コロナウイルス感染後数日間で死に至ることが研究の障壁となっていたが、今回の実験で使われたハムスターに発熱などの症状は確認されず、COVID-19モデル動物としての有用性が示唆される。同研究によりCOVID-19モデル動物の変化を嗅上皮だけでなく全身臓器で解析することも可能となり、嗅覚障害のみならずさまざまな形での応用が期待される。

 

 一方、より厳密にモデルの妥当性を確認するには、嗅覚障害の有無や、再生した嗅上皮が正常に機能しているか、再生に至らなかった部分の傷害は永続的かなどを調査する必要がある。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit
hidari_handle




TOPに戻る