LATEST NEWS 2020年6月6日

新型コロナ感染拡大下の進学選択【後編】「情報量格差埋める働き掛けを」

 5月26日号では、新型コロナウイルス感染拡大によって進学選択に関し例年と異なる対応を迫られる二つの学部の動きを追った。しかし、感染拡大の影響を受けるのは大学側だけではない。本号では、新型コロナウイルスの感染拡大が進学選択を控える学生におよぼす影響について、進学情報センターの教員や学部2年生に話を聞いた。

(取材・中野快紀)

 

前編はこちら

 

 教養学部進学情報センターは、前期教養課程の学生に対して進学選択に関する情報や助言を提供している施設。文理1人ずつの教員が所属し、例年は対面やメールでの相談に応じているが、現在は駒場Ⅰキャンパスへの入構制限を受けてメールでのみ相談を受け付けている。進学情報センターの青木優准教授(東大大学院総合文化研究科)によると、本年度のメール相談件数(延べ件数)は例年の半数程度に減少。しかもそれらの相談には、進学情報センターの資料室が利用できれば学生自ら解決できる内容も多く、教員側での対応が必要なものは、ごく一部に限られているという。

 

 青木准教授は新型コロナウイルスの感染拡大が進学選択におよぼす影響として①オンラインでの対話はできているものの、対面コミュニケーションが困難なため進学先の教員の熱意を感じにくいこと、②進学先の情報を得る手段の制限、③進学情報センターの資料室が利用できないこと  の3点を挙げる。②については、学部からの情報提供にインターネットしか使用できないことだけでなく、学生の状況によって差が生まれることを危惧。「学生が得られる情報は、提供する学部・学科側の準備状況と学生側の検索能力の両方に依存します。そのため、格差はより大きくなり、学生の志望判断に影響をおよぼすでしょう」

 

 

 進学情報センターは例年4月に各学部から推薦された講演者を招き、進学選択シンポジウムを開催している。本年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受けてウェブ会議システム「Zoom」を使用して開催したが、例年の参加数を大幅に超える学生が参加したという。加えて、チャット機能によって活発な質疑応答が行われた。シンポジウムの例のように気軽に参加し質問ができることは、オンライン化の利点であると青木准教授は指摘する。実際、5月26日号で報じた理学部のガイダンスには例年の1・5〜5倍の学生が参加し、チャットでの質問も活発だった。

 

 キャンパスへの入構が許可される見通しはまだ具体的には立たないが、進学情報センターは学生の情報量格差を可能な限り減らし、学生にとって不利益にならないような働き掛けをしたいとしている。入構が可能になれば、青木准教授(理系)、永井久美子准教授(東大大学院総合文化研究科、文系)ら教員との面談や進学選択の成績分布グラフの閲覧が可能となる。青木准教授は「制限された中であっても、工夫できることはあります。進路を決定するのは自分自身であることを肝に銘じてください。意思決定のプロセスに進学情報センターを大いに活用してほしいです」と話す。

 

・学生の声

オンラインでも内容は充実

 

 

 文Ⅰの2年生Aさんは教養学部教養学科の複数コースのオンラインガイダンスに参加した。いずれも少人数のコースであり、ガイダンスが複数回実施されたこともあってか、参加者は数人しかいなかったという。

 

 参加者が少なかったこともあり参加学生も自己紹介を行うなど、学生と教員が相互にコミュニケーションを取る形で進行。「学生側も自己紹介を求められたことには驚きましたが、オンラインでも割とコースの雰囲気を感じることができたと思います」。ただ、進学情報センターが閉室しているため得点に関するデータなどを閲覧できないことには不便を感じていると話している。

 

 理Ⅱから工学部のある学科への進学を目指すBさんもガイダンスに参加。学科単位の開催にもかかわらず400人を超える参加者がおり「気軽に参加できるだけにライバルが増えるかもしれません」。原稿の読み上げが多かったが「コースに分かれて質問を受ける時間も設けられ、内容自体は充実していました」。


この記事は2020年6月2日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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はじめての論文:入江直樹准教授(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
キャンパスのひと:早川健太さん(理Ⅰ・2年)

 

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