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2023年2月5日

色が3回変わる花を発見 身近な植物「ヤブカラシ」で

 古川友紀子さん(岐阜大学修士課程=研究当時)、塚谷裕一教授(東大大学院理学系研究科)らは、ヤブカラシの花が開花中に3回色を変えることを発見した。花のカロテノイドの含量が性成熟のタイミングと同調して変化することによって花色の変化が起こることも明らかにした。成果は昨年12月1日付の英科学誌『Scientific Reports』オンライン版で発表された。

 

(図)花の縦断面。左から、開花直後の雄しべが成熟した段階(オレンジ色)、雄しべが脱離した段階(ピンク色)、雌しべが成熟し伸長した段階(オレンジ色)、雌しべも老化した最終段階(ピンク色)

 

 開花中の花色の変化は花粉を媒介する昆虫にどの色の花を訪れると効率よく蜜を集められるかを示すシグナルだと考えられている。花色が開花中に一度、不可逆的に変化する例はソメイヨシノやランタナなど数百種以上の植物で見られるが、一度変化した花色が元に戻るのはアフリカに生えるマメ科の植物で、特殊な条件下で不完全な花色の復帰が見られる例のみだった。

 

 ヤブカラシは日本で身近に見られる植物。研究では、ヤブカラシの花色が1日半〜2日程度の短期間で合計3回、開花直後のオレンジ色からピンク色、再びオレンジ色、最後にピンク色と変化することを発見した。連続撮影映像を観察し、花色の変化と花の性成熟のタイミングが同期することを示した。開花直後は雄しべだけが成熟しており、雄しべが散ると花色がピンク色に、次に雌しべが成熟すると再びオレンジ色になり、最後は花が生殖機能を失いピンク色に戻る(図)。一連の花色の変化は組織構造の変化によるものではなく、カロテノイドの含量の増減によるものだということも明らかになった。花色変化の進化や植物におけるカロテノイド量の制御についての研究が進むと期待される。

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