COLUMN 2019年7月31日

【東大新聞オンラインPICK UP】〜研究編〜 興味の数だけ広がる世界

 年に一度、東大が全学部の研究内容を公開し、東大を目指す人に学生や教員と交流する機会を大々的に提供するオープンキャンパス。普段なかなか知ることのできない世界を味わえるこの2日間に、特別な関心や期待を寄せる人も多いだろう。そこで今回は、東大新聞オンラインで過去に公開された記事の中から、東大の興味深い研究に関するものを多分野にわたって紹介する。気になる記事はぜひ本文を読んでみてほしい。

 

 まずは東大ならではともいえる、その道の「第一人者」の研究だ。記事「【東大教員からのメッセージ】河合祥一郎教授インタビュー 現場から入ったシェイクスピアの研究」では、シェイクスピア研究で活躍する河合祥一郎教授(総合文化研究科)に、自身の研究や東大を目指す高校生へのエールを寄せてもらった。友人たちと文学研究会を立ち上げるなど、高校時代から文学や演劇に熱中したという河合教授。大学に入ると、演劇や劇場での英語の通訳を通してさらに演劇の世界にのめり込んだ。自分の純粋な興味がどのような経緯で学術的な関心へと発展したのか、実践的な経験と研究がどのように関連しているのか。現在の研究内容も交えながら自身の研究の道のりを明かす言葉からは「自分の好きなこと」を探究する極意を知ることができる。

 

 「学際性」も東大のレベルの高さや自由さ故の大きな魅力。記事「【東大教員からのメッセージ】鄭雄一教授インタビュー 工学からひもとく道徳の構造」は、学際性という観点から東大の強みに焦点を当てる。骨を研究する「骨博士」として有名な鄭雄一教授(工学系研究科・医学系研究科)は、細胞を使い、欠損した組織を補う組織工学を研究。さらに工学の研究から獲得した視座を応用し、道徳の構造のモデル化にも取り組む。文理の枠にとらわれず幅広く知識を吸収したという鄭教授が、「道徳」をキーワードに異分野融合の醍醐味(だいごみ)を語る。

 

 現代社会の問題に学問的知見から切り込む研究も。記事「表象文化論の専門家・田中純教授インタビュー 情動の政治利用を暴け」は、SNSでの意見の分裂など、さまざま

 

な表現に潜む情動と政治性の関係への気付きを提供する。表象文化論が専門の田中純教授(総合文化研究科)は、芸術表現の内容や制作に至る時代背景や経緯などを多面的に考察。例えば、ドイツのナチズムについて。ナチ体制は「伝統」の名において中世ドイツや古代ギリシャの文化を自らの権力の根拠付けに利用したが、それは人々にはるか昔から価値を持つものという印象を与える、と田中教授は指摘。表現に含まれるそれらの意図や政治的な背景に惑わされない態度へと議論を発展させる。

 

 記事「西成活裕教授インタビュー 渋滞学・無駄学の第一人者に聞く 流れを見渡す重要性」は独創性あふれる研究の過程を紹介。もともとは航空宇宙工学を専攻していた西成活裕教授(先端科学技術研究センター)。修士課程2年生の時に転機が訪れ、最終的に渋滞の仕組みを学術的に解明しようと決心した。現在はその知見を生かして東京オリンピック・パラリンピックの委員としても活躍。どのような経緯で、それまで誰も対象としていなかった「渋滞」を研究しようと思ったのか、研究者としてのモットーは何なのか。西成教授の学生時代を追いながら、独創性の源に迫る。

 

 学問の対象に限界はない、と言っても過言ではない。記事「『初音ミク』10周年 知れば知るほど奥深いボカロの世界」で紹介される通称「ぱてゼミ」は学生からの人気も高い。東大卒で初のボカロP・音楽評論家としても活躍している鮎川ぱてさん(教養学部非常勤講師・先端科学技術研究センター協力研究員)がボカロを多面的に分析。ジェンダー論や記号論、精神分析を用いてボカロの隆盛を研究している。ツイッターを使った講義の実況を認めるなど、斬新な授業スタイルも話題。前衛的な研究の存在は、東大の知の豊かさを象徴しているといえよう。関連記事「初音ミクでエンタメはどう変わったのか? 東京大学初のボカロPによるゼミに迫る」もお薦めだ。

 「東大新聞オンラインPICK UP」は東大新聞オンラインに掲載された過去の記事から、特定のテーマに沿ったお薦めの記事を紹介するコーナーです。

 

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