INTERVIEW / PROFESSOR 2018年4月4日

さよならチムニー

 

 本郷キャンパス赤門近くの居酒屋「チムニー本郷店」が2018年3月14日に閉店した。150人収容可能な店舗で大規模な飲み会ができ、2000円程度の予算でも十分お酒や料理を楽しめる手頃な価格が魅力だった。1994年の開店以来、20年以上にわたり東大生や教員に愛された店だ。

 

(取材・福岡龍一郎 撮影・石井達也、横井一隆)

 

 

 

「チムニー先生」の憂鬱

 

 西村義樹教授(人文社会系研究科)は一時期、周囲の大学院生から「チムニー先生」と呼ばれるほど店に通い詰めた常連客。ビールの種類が豊富で、広い店舗の開放的な雰囲気が気に入っていた。

 

チムニーでくつろぐ西村教授(写真は西村教授提供)

 

 自身の本郷での生活を振り返ったとき、チムニーは大切な節目に登場する店だったと西村教授は話す。退職する同僚の送別会などの後、みんなでチムニーに繰り出して2次会をするのが定番だった。「学生の進学や卒業を祝うコンパも大概はチムニーでしたね(笑)」。チムニーで第1回目の打ち上げを行った駒場・本郷キャンパス合同の言語学の研究発表会は12年たった今でも続いている。

 

 さまざまな思い出が詰まっているからこそ、閉店を知ったときは「本当にショックで、これからどうすればよいのか途方に暮れました」と寂しそうに話す。

 

 

高橋教授、チムニーに500万支払ったってよ

 

 

 高橋伸夫教授(経済学研究科)はこれまで自身がチムニーに支払ってきた飲み代を計算し、累計500万円を超えることが分かり仰天したことがある。20年近く毎週のゼミの後、学生とチムニーで飲み会をしてきたためだ。頻繁に通っているうちにゼミの存在をチムニー側にも認識され、店が混んでくると、ゼミの最中に店側から「今日は予約しときますか?」と確認の電話が掛かってきたほどだ。

 

 チムニーを巡るゼミの逸話も数多い。過去にはゼミ生が「居酒屋の経営」という卒業論文でチムニーについて言及した。卒業生への記念品として店で使われているロゴ入りビールジョッキを店に頼み込んで購入して贈呈したこともある。「閉店したら大人数のゼミ生で入れる店をまた一から探さなきゃならないね」。高橋教授も落胆した様子だ。

 

チムニーにて高橋ゼミの学生と。写真はおよそ10年前に撮影されたもの(写真は高橋教授提供)

 

チムニー閉店、東大生は「大人しくなった」

 

 

 チムニー本郷店の芳賀安男店長によると今回の閉店の理由は「オーナー経営者の体調悪化」のため。閉店を1カ月前に知らされるなど店側からしても急な出来事だったという。また近年は客数も過去に比べると減少し「大規模な店舗を維持するのが難しくなっていた」ことも事実だ。

 

 芳賀店長は12年前からチムニーの厨房で働き始め、2年前から店長に。長年、飲みに訪れる東大生を観察して思うのは「最近の東大生は昔と比べて大人しくなりましたね」。大酒を飲んで酔っぱらい、馬鹿騒ぎをする学生が減った印象だ。「それも時代の流れなのでしょう」

 

 それでも、適量のお酒は仲間との関係をより親密なものにすると芳賀店長は力説する。チムニーは閉店してしまったが「すてきなお酒とともに、学生生活をぜひ満喫してくださいね。今までチムニーをご愛顧いただき、本当にありがとうございました」。

 

2017年4月5日12:50【記事訂正】写真のキャプションに提供元を追加しました。

 


この記事は2018年4月3日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

ニュース:「民間試験導入、再考を」 大学入学共通テスト 東大教員から批判の声
ニュース:日本学士院賞 松村教授・豊島教授ら5人が受賞
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企画:歴史のロマンをあなたにも 元「プロのサムライ」が語る歴史の楽しみ方
ミネルヴァの梟ー平成と私:2.安田講堂の復活
地域の顔 本郷編:チムニー本郷店
はじめての論文:青山和佳教授(東洋文化研究所)
東大今昔物語:1963年1月16日発行号より 自ら開塾する東大生たち
赤門恋愛相談室:お悩み解決 恋に煩う東大生へ
キャンパスガイ:伊藤悠貴さん(理Ⅰ・2年)

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