LATEST NEWS 2020年7月15日

過度な心配は無用? コロナ禍の就活の実態

 新型コロナウイルス感染症の影響で選考方法や時期に変化が見られる就職活動。先が読めない中で企業は採用方法の見直しを迫られる一方、学生側も冷静な情報収集が求められている。2021年卒・22年卒の就活の実態とは。情報サイト「キャリタス就活」編集長で就活市場に詳しい株式会社ディスコの鈴木一史さんと、就活中の東大生に取材した。

(取材・高橋祐貴)

 

21年卒採用予定数は微減にとどまる

 

 コロナ禍で経済の減速が予期される中、新卒採用の縮小を心配する学生も多い。しかし「総合的には21年卒の新卒採用総数はそれほど減少しないと見ている」と鈴木さんは語る。採用予定数を減らすと公表している企業が少ない上、通信関連など業種によっては業績が向上し、採用数の増加を見込む企業もあるためだ。実際、ディスコが今年5月下旬に全国の主要企業を対象に行ったアンケート調査によると、採用予定数を「当初の計画通り」と答えた企業は7割に上る(図1)。21年卒予定で現在就職活動を進めるAさん(文・4年)も「新型コロナの影響で、就活で不利を被ったことはない」と語る。

 

 

 21年卒学生の7月1日時点での内定率はディスコの学生モニターに対するアンケート調査で77.7%となっており(図2)、昨年の同時期に比べ6.3ポイント低いが、これは企業の採用活動の遅れが原因と鈴木さんは見る。コロナ禍への対応に追われ最終決定を延期した企業も多く「今年は昨年に比べ1ヶ月半ほど遅れていると言えます」。

 

 

22年卒は厳選採用へ

 

 一方で現在インターンシップ募集が始まる22年卒の本採用は、企業の今年度の決算次第で減少する可能性がある。21年卒の採用はすでに立案されていた採用計画にのっとっているが、22年卒の採用計画はこれから立てられるためだ。「企業側も厳選採用に傾いていくため、そこはしっかりとした就活対策が必要になる」と鈴木さんは分析する。

 

 22年卒向けの夏のインターンシップは、例年通りに募集を開始していない企業も多く、昨年に比べると数は減っている。鈴木さんによると、これは長期化する21年卒の本採用に人事部のリソースが割かれ、インターンシップ運営にまで手が回っていないためだ。新型コロナウイルス感染症の状況が読めない現状で、インターンシップをオンライン化する企業も目立つが、それには手間と費用がかかる。そのためまずは21年卒の採用に注力し、インターンシップの企画は秋に体制を立て直して行おうとしている企業も多いという。「今年のインターンシップは秋冬の短期間のものが主流になるでしょう」

 

就活オンライン化の不安と利点

 

 コロナ禍は選考のオンライン化という変化ももたらした。これについて学生からは「同期の学生がどんな感じか想像しにくい」(Aさん)、「面接で会社の雰囲気をつかめない」(育・3年のBさん)といった不安の声が上がる。一方で「入室時のノックなど、細かいマナーを気にしなくて良い」(工・3年)、「移動がないため交通費がかからず予定も組みやすい」(経・4年)など、オンライン就活の利点を評価する声も目立つ。

 

 現在インターンシップへの応募を進めるコンサルティング業界志望のBさんは、新型コロナの影響で例年より選考の倍率が上がっているのではないかと感じている。「例年ならこの時期練習に打ち込んでいる運動部の学生や、留学が中止になった優秀な学生が就活に参戦しているのではないか」。これに関し鈴木さんは「一概にそうとは言えない」と答える。「確かに企業の人事担当者と話していると、インターンシップ選考でも要求水準が上がっていると感じることもありますが、一方でオンラインへの移行によって例年よりインターンシップ参加者を増やすことも可能になる場合を考えると、実際の倍率が上がっているとは限りません」

 

 新型コロナでさまざまな不安も渦巻くが「新卒採用がなくなることはないため、業界も幅広く見ながら落ち着いて就活を行ってほしい」と語る鈴木さん。過度な心配にさいなまれず、冷静に情報収集を行い準備を進めることが、コロナ禍での就活を乗り切る鍵になりそうだ。


この記事は2020年7月14日号に掲載した記事の拡大版です。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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