LATEST NEWS 2020年1月3日

宇宙初期の巨大雲発見 宇宙進化の定説を覆す

アルマ望遠鏡で観測した18個の銀河の炭素ガスのデータを重ね合わせ、ハッブル望遠鏡による銀河の星の分布画像と合成した画像。画像全体の視野は3.8秒角×3.8秒角(128億光年かなたの宇宙における実スケールで7万光年×7万光年)に相当する クレジット:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, Fujimoto et al.

 

 藤本征史ドーン・フェロー(コペンハーゲン大学)、大内正己教授(宇宙線研究所)らは、宇宙初期の銀河の周囲に、巨大な炭素ガス雲があることを発見した。これまでの理論モデルではその存在を予言されていなかったため、従来の宇宙進化の考え方を覆す発見となる。成果は昨年12月16日付の米科学誌『アストロフィジカル・ジャーナル』(電子版)に掲載された。

 ビッグバン直後の宇宙には水素とヘリウムしか存在していなかった。宇宙で星が生まれると、星の内部で核融合反応が起こり、水素やヘリウムより重い、炭素などの重元素が生まれたと考えられている。

 重元素のガスには、特定の波長の電波を強く放つものが多いため、従来の観測では、電波の波長帯で感度の高いアルマ望遠鏡を使用していた。宇宙誕生数億年後の銀河内部に重元素が存在することは分かっていたが、初期銀河の外にどれほど重元素が広がっているかは不明だった。

 今回の研究では、電波の波長帯で最も明るい輝線を放つ炭素ガスに注目。アルマ望遠鏡で観測した複数のデータを基に、高感度のデータを得ることに成功し、初期銀河の周囲に半径約3万光年の炭素ガス雲を発見した。ハッブル望遠鏡なども駆使して解析した結果、銀河中の星の分布より約5倍も広がった、巨大な構造であることが判明。宇宙初期に生まれた星の核融合反応で作られた炭素が、超新星爆発やブラックホールのエネルギーで広がったと推定される。

 

【記事修正】2020年1月4日11時32分 第一段落の日付を修正しました。


この記事は2020年1月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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