INTERVIEW / PROFESSOR 2016年3月22日

「ひたすら実験、全てが楽しかった」ノーベル物理学賞受賞・梶田教授インタビュー

 梶田隆章教授(宇宙線研究所所長)は素粒子の一種であるニュートリノに関する研究で2015年にノーベル物理学賞を受賞した。梶田教授はニュートリノが質量を持つことを実験的に明らかにし、従来の理論を超える考えを示した。岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデという観測装置での観測が今回の発見につながった。梶田教授に今回の研究、東大での思い出などについて話を聞いた。

(取材・古川夏輝、石原祥太郎 撮影・田辺達也)

 

梶田教授写真

 

――埼玉大学から東大の大学院に入ろうと思った理由は

 学部生時代に量子力学などの学問に興味を持ち、大学院では素粒子の研究をしたいと考えていました。素粒子の研究を通して自然の根本的な法則を探りたいと思ったのです。そこで、当時素粒子の研究を牽引していた東大を受験しました。東大の学部から大学院に上がってきた人は圧倒的に学力が高く、入学後は追い付くために一生懸命勉強しましたね。

 

――大学院ではどのような研究をしたのでしょうか

 大学院では02年にノーベル物理学賞を受賞した小柴先生(=小柴昌俊東大特別栄誉教授)の研究室に入りました。そこで先輩に誘われ、入学直後からスーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデでの観測に携わりました。修士の2年間はカミオカンデで観測するための準備期間で、企業に泊まり込んで光センサーの性能を確かめたり、神岡に行って装置を組み立てたりしました。修士論文提出後から博士課程にかけては実際にカミオカンデで得られたデータを解析しました。

 当時はカミオカンデに熱中していて、ひたすら実験の日々でしたね。実験装置を作ること、得られたデータを解析すること、全てが楽しかったです。

 実はカミオカンデで研究をすることになったのは偶然のことでした。当時は研究室のホームページなどはなく、研究室の情報は大学院の募集要項に書かれている数行の説明文のみ。小柴研究室の説明文にはカミオカンデについての記載は一切なく、研究室に入って初めてカミオカンデについて知りました。

 

――小柴研究室での思い出は

 小柴研究室は学生が修士課程のときは3人だけ、博士課程になってもう1人入ってきたという具合でした。少人数だったため、研究室の雰囲気はアットホームでしたね。

 小柴先生には研究者のあるべき姿を教わりました。特に「常に研究の卵を持て」とよく言われましたね。大学院生は研究テーマを与えられることが多いですが、独立したときに主体的に研究を進められるよう、興味のある研究テーマを常に持っていなさいということです。また、常々「研究費は絶対に無駄にしてはいけない。我々の研究は国民により支えられていることを忘れるな」とも言われました。

 実際の研究手法や実験手技はスーパーカミオカンデの建設で中心的な役割を果たした戸塚先生(=故戸塚洋二東大特別栄誉教授)、鈴木先生(=鈴木厚人岩手県立大学学長)に教えてもらうことが多かったです。小柴先生は権威のある先生でしたのでなかなか近づきがたかったため、細かいことは戸塚先生、鈴木先生に教わっていました。

 


この記事は、2016年3月10日号(前期合格記念号)からの転載です。続きは紙面でお楽しみいただけます。

・ニュートリノの観測を始めたきっかけ

・学生へのメッセージ

・今後の活動予定

などを聞きました。ニュートリノ振動についての詳細な解説も掲載しています。紙面はこちらのページでご購入いただけます。

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梶田 隆章(かじた・たかあき)教授(宇宙線研究所所長)

 86年理学系研究科博士課程修了。理学博士。宇宙線研究所助手などを経て、99年より宇宙線研究所教授。08年より宇宙線研究所長を務める。スーパーカミオカンデでの観測によりニュートリノが質量を持つことを示し、15年にノーベル物理学賞を受賞した。

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